ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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特別編 恋する乙女の恋愛スクープ!

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ふぁー、ねむいなぁ。
ねぐせを直す時間、なかったなぁ。

「おはよう、真莉亜!」

あっ、ジュンブライト。おはよう。
って、な・・・・・・なにじーっと、見つめているの?

「髪。」

あ・・・・・・。

「はねてるぞ。」

ちょっ、ちょー!私の髪を、さわらないでよ~!

「落ち着け!」

は・・・・・・はい。
ドキッ、ドキッ。
なんだろ。このドキドキ感。生まれて初めてだよ。
これって、まさか・・・・・・。

「これでよしっと。」

ありがとう、ジュンブライト。

「どういたしまして。」

と、ジュンブライトが私の方に向かって、二カッと笑った、その時。

パシャ!パシャ!

ん?シャッター音が聞こえたってことは、まさか、写真を撮られた!?
ど、どーしよー!

「ごめんね、驚かしちゃって。」

マニッシュスタイルで、青の髪の色をして、デジカメを両手に持った女の子が、私達の後ろに立っていた。

「さっき撮った写真、すぐ消去するから、心配しないで。」

あ・・・・・・あかねさん、お・・・・・・おはようございます。

「おはよう。真莉亜さん。潤君も、おはよう。」

「なぁ、誰だよ。」

山里あかねさんだよ。

「山里あかね?」

そう。あかねさんは、新聞部で、とても頑張り屋さんなんだよ。普段は、おとなしいけどね。
お父さんはジャーナリストで、お母さんは大空出版社という、出版社の編集長なんだよ。

「ふーん。」

「あかね様ぁ~!」

比奈多さん、どうしたんですか?

「あかね様の記事、とっても輝いていましたわ。」

「見てください!」

なぎささんが、ニコニコ顔で、ケータイを、あかねさんに見せた。
どれどれ?
『スクープ!花田中学校の中で、一番美しい美少女、月野比奈多に突撃インタビュー!』

???

「あかね様のおかげで、私の人気が高まって、ついに、CМデビューを果たしましたわ!」

このポスターに写っている人、もしかして・・・・・・。

「そう、私ですわよ。」

やっぱり!

「お父様から頼まれましたの。「世界一、美しい美少女は、お前だ!」って。」

「よかったねぇ。今度、『比奈多さんのお肌はなぜ、そんなに美しいの?』っていう記事、書いていい?」

「もっちろん!オッケーですわよ。じゃあ、教室で、またお会いしましょうね。潤様も♡」

そう言って、比奈多さん達は満足そうに、行っちゃった。

「・・・・・ねぇ潤君、明日、教室に残ってもらっていい?」

「あぁ。なんで?」

「『女子にモテモテ!花田中学校を代表するイケメン、黒月潤の素顔に迫る!』っていう記事を書くんだけど、
協力してもらっていい?」

「もっちろん、オッケーだぜ!」

「ありがとう。じゃあ、またね。」

そう言って、あかねさんは走って行っちゃった。
なんか、様子がおかしかったなぁ。



忘れ物、しちゃったよぉ!
もう、部活は全部、練習しているし、お空はもう、オレンジ色だし、やばいよ~!

「真莉亜さん?」

その声は・・・・・・。

「あかねさんっ。」

「偶然だね。こんなところに会うなんて。」

はい。今、部活、始まってるんですか?

「うん。これから、田野先生に、私が書いた新聞を、提出するところ。よかったら、見る?」

はいっ、ぜひ、見させてください!

「はい。」

うわぁ、こんなでっかい紙にかいてるんですね。

「うん。ときどき、時間がかかる時もあるんだよね。」

いそがしいんですね、新聞部は。

「でしょ?その新聞、早く広げなよ。」

わかりました。では、早速・・・・・・。
うわぁ、すっごい記事。
記事の内容は・・・・・・。

『黒月潤、バスケット部のキャプテンの代わりとして、大活躍!』

ジュンブライト、助っ人を頼まれて、その結果、見事優勝したんだ。

「私、潤君のことが、好きになったんだ。」

え?今、なんて・・・・・・。

「私、潤君のことが、好きになったんだ。」

えっ、え~!?

「それ、本当!?」

「うん。」

あかねさんが、こくりとうなづいた。

「その写真を撮った時、かっこいいなぁっと、思って。」

それで明日、潤を取材に誘ったんだ。

「うん。あっ、このことは、秘密にしといて。」

わかりました。秘密にしときます。

「ありがとう、真莉亜さんっ。」

と、あかねさんは、にこっと笑った。



「なに?あかねっていうやつが、俺のこと、好きだとぉ?」

うん。

「大変なことになりましたねぇ。」

うん。

「ていうか、俺、ヴァンパイアだし。」

そうそう。

「ていうか、おっさんだし。」

そうそう。

「ていうか、嫁がいるし。」

そうそう・・・・・・。って、嫁って、誰のことよ。

「お前のことだ。」

私はあなたのお嫁さんになった覚えは、ありません!
もう、どこまでふざけてるのか、ありませんっ。



あ~。また忘れ物しちゃったよぉ。
私って、本当にバカだなぁ。

「好きな食べ物は、なんですか?」

「ナポリタンだ。」

「へぇー、意外ですねぇ。」

教室の方から、声が聞こえた。
誰がいるんだろ。教室を、のぞいて見ると・・・・・・・。

あっ、ジュンブライトと、あかねさんだ。
そっか。今、取材してるんだ。
一生懸命、メモをとっているあかねさんの姿が見える。

「じゃあ最後に、好きなタイプを教えてください。」


あかねさん、とても真剣な表情。
だって、ジュンブライトのことが、好きなんだもん。

「好きなタイプねぇ・・・・・・。ま、笑顔がかわいい子だな。」

「ふーん。笑顔がかわいい子・・・・・・か。」

あかねさんが、メモを書き終わると、メモとデジカメを机の上に置いて、ジュンブライトのところに駆け寄った。
な、なにするんだろ。

「実は、インタビューしたのは、あなたに告白するため。」

か・・・・・・顔が近すぎる・・・・・・。
あかねさんの様子が、おかしくなってるぞ。
あかねさんが、背伸びをして、ジュンブライトのほっぺを、両手でさわった。
ま、まさか!
チュッ・・・・・・。
ひゃー!今、キスしたよ~!

「潤君のことが、好きだった。」

告白、来たぁー!

「だから、付き合って。」

「え・・・・・・。」

ジュンブライト、慌ててる・・・・・・。

「私を、ぎゅっと抱きしめて・・・・・・。」

「こ、こうか?」

コラー!照れくさそうに抱きしめるなぁー!

「好きだよ、潤君・・・・・・。」

チュッ・・・・・・。
また、キスをした・・・・・・。
ジュンブライトは、操られたように、目をつぶっている。
パシャ!パシャ!

「ふざけあがって!地獄を見せてあげるわ!」



ふぁー。ねむいなぁ。

『好きだよ、潤君。』

昨日のあかねさんの行動が、まだ頭の中に残る・・・・・・。

「おはよー、真莉亜。」

おはよう・・・・・・。って、あれ?
ジュンブライト、元気ないね。

「あたり前だろ。」

顔がボーっとしているよ。

「ちょっと!あかね様!この記事、どういう意味なんですの!?」

「潤様とキスしたって、本当!?」

「はっきり言いなさいよ!」

「私達の潤様に、なにするんのよ!」

「ねぇ、謝ってよ!」

なんか、掲示板の前で、人がざわざわ騒いでいるぞ。
しかも、人数が、とてつもなく多い。

「行って見ようぜ!」

あっ、もう元気になったんだ。
私達は、掲示板のところまで走った。
そして、人混みの中をぬけると、あかねさんが、立っていた。
あかねさんの後ろにある、記事を見ると・・・・・・。

『スクープ!1年新聞部部員Yが、イケメンの黒月潤に、キスをした!』

き・・・・・・・昨日のキス、撮られてたんだ・・・・・・。
一体、誰がこんなことを・・・・・・・。

「ずいぶん有名になってるじゃなーい。山里さん。」

向こうから、ものすごく高い声が聞こえた。
後ろを振り返ると、水色のおだんごヘアーで、背がたかくて、モデルさん見たいな女の子が立っていた。

「し・・・・・・椎名先輩!」

「キスしやがって、なめてんじゃないわよ!」

こ、こわ~。

「これから、あんたの記事は、誰も見ないから、覚悟しとけよ。うふふふふ、ふはははははは!」



「ねぇ、このカメラ、捨てていい?」

「やめて!」

「いいって言うなら、捨てますわ。雪様、捨てていいですわよ。」

「はいはーい。」

雪さんが、あかねさんのカメラを捨てた。

「私達を裏切った罰として、あなたをいじめることにしますわ。」

「そうよ、そうよ。」

か・・・・・・かわいそう・・・・・・。

「あいつ、俺らと同じクラスだったのか。」

ジュンブライト!
今、大変なことになってるんだよ!

「比奈多達、椎名梅子に、操られているんだね。」

恵、椎名梅子って、あかねさんの先輩だったよね。

「そ。椎名梅子は、新聞部の部長で、彼女の新聞は、学校のみんなに人気だったの。けれど、あかねが入って来て、みんなは椎名の新聞に興味がなくなって、あかねの新聞が、人気になったわけ。」

椎名さんって、あかねさんをうらんでたんだ。

「うん。で、ここだけの話、椎名も潤君のことが、好きだったんだって。」

え~!?

「こわいよね、女子のうらみは。」

うん。あかねさん、これからどうするんだろ。

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