ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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番外編 元気を取り戻して、温泉でも行こう!ジュンブライト!

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はぁ~。あのばあさん、有名漫画に出てくる、変態ジジイをこえる変態だったぜ……。

「ジュンブライトくん、また元気がなくなったよ。」

「アルマ。お前、少しは空気読めっ。」

「はーい。」

「あれれぇ?ジャンくん、ボーとしてるよぉ。」

ほんとだ。いつも、「実におもしろい。」と、かっこづけいるジャンが、ボーとしている。

「ほっといてくれ。」

「なにかあったの?ジャン!」

「……恋したみたいだ。」

あー!そんなこと、言わないでおくれー!

「誰に?」

「……ワカバさん。」

もう、そんなことだけは、言わないでおくれー!
また、せつなーいあの日を思い出すからぁ!

「実にせつない。」

ジャン、それ以上、言わないでおくれ。

「ジャン、いいかげんにしなさい。ほら、ジュンブライトくんが落ちこんでるじゃない。」

はぁ~。

「ふっ。僕の愛は、誰にも止められないんだよ。今からワカバさんを口説きに行ってやる!♪優しくぅ親切ぅだけど見かけはいじわるよぉ~。」

歌を歌いながら、ジャンはスキップしながら、部屋を出た。

「……バカ。人がこんなに元気をなくしているのに。」

「リナン、ほっといてやれよ。人の恋をじゃまするのは、よくないぜ。」

「ソアンくん……。」

もう、恋とか、愛とか……。

「うっせぇーんだよ!」

俺のさけび声で、みんなが静まり返った。
俺、思わず叫んじまった。

「……俺、先に温泉に入る!」

俺はそう言って、部屋を出た。

「ジュンブライトくん……。」

「そんなに真莉亜ちゃんのことが好きだったんだな。」


                              ☆


カコーン。
気持ちいいなぁ。
俺、バカみてぇだなぁ。真莉亜のことしか頭に入んなくて。
こんな恋したの、初めてだぜ。
けれど、けれど……。

「入るぞ。」

ガラッ。
誰だ。

「俺だ。」

なんだぁ、アルマかぁ~。
アルマはなにも言わずに、温泉に入った。

「まだ好きなのか?真莉亜ちゃんのこと。」

あたり前だろ。

「お前にとって、初恋の人だな。」

あぁ。

「忘れられないのか?」

あぁ。

「愛しているのか?」

あぁ。とっても。てか……。

「それがどうしたってんだよ!初恋とか、愛してるとか、いちいちうるせぇーんだよ!恋をしたことがないお前なんかに、そういう人の気持ちなんか、わかるか!」

「わかるよ。」

え?

「俺、お前の言う通り、誰かに恋を落ちたことがねぇ、誰を愛したことがねぇ男だ。けれど、お前の気持ちはわかる。お前がそんなに人を愛してるの、初めて見たよ。また、真莉亜ちゃんに会える。だから、元気出せ。」

アルマ……。
ポタポタポタ。
俺の目から涙があふれてきた。

「ゔ……ゔぅ……。うわーん!」

俺の泣き声が、女子風呂まで響いた。

「そんなに泣くなよ。男はそんなにめぇーめぇーめぇーめぇー泣くもんじゃねぇって、言ってんだろ?」

……アルマ。

「なんだ?」

「はげましてくれて、ありがとう。俺、元気が出たよ。心配かけて、ごめんな。」

俺がニカッと笑いかけると、アルマが笑みを浮かべた。

「お前らしいな、ジュンブライト。久しぶりに見たお前の笑顔、忘れないぜ。」

あぁ!


                               ☆
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