ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第四十九話 「いざ、魔界へ!」

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はぁ~。
なんか、つかれちゃったよぉ。
だって、太陽がテカテカ光ってるし、熱中症になりそうなくらい、あついです。

「ジュンブライト、少し休憩とりたいよ~。」

「うるせーなぁ!俺だって、休憩したいんだよ!」

うわ!ジュンブライトの顔が、汗でいっぱいになっている!

「わたくしだって、少し休憩をとりたいです。もう、歳だから、あついのにたえきれません。」

お二人の気持ちはよくわかる。

「ほんなら、三人で休憩しようぜ。」

いいねぇ、それ!

「王子、なかなかいいことを提案しますなぁ。」

「だろ?」

ジュンブライトがニカッと笑った、その時。

「そこ三人!なにやってるの!」

ひぃぃぃぃ!ノア様が怒ってるぅ。

「なにって、休憩に決まってるだろ。」

「休憩はなしよ。さぁ、立ち上がりなさい。休憩すると、魔界に行く時間が、短くなるわ。」

はーい。
でも、暑い・・・・・・。
もう、のどまでかわいたよ~。

「じいや、なにか飲み物はねぇか?」

「ないですよ~。」

はぁ、ノア様って、けっこう厳しい人なんだね。

「リリア~、水、ないですか~?私、飲みたいですぅ。」

「あるわよ。」

リリアさんがマドレーヌちゃんに水が入った水筒を渡した。

「やったぁ!」

マドレーヌちゃんは喜びながら、水をゴクゴク飲む。
いいなぁ、マドレーヌちゃんは。
私達にも、休憩、くださいよぉ、ノア様。

「だめよ。マドレーヌちゃんは子供だから、休憩をしないと、熱中症になって、死んでしまうから、マドレーヌだけには、休憩をあげているのよ。」

そんなの、ひどいです~。

「そうだぜ!これを、差別って言うんだぜ!」

「うるさいねぇ!ノア様が考えたことだから、文句はなしだよ!」

「そうだ。大人なんだから、休憩ぐらいはがまんしろ。」

アルマさんとテレサさんが厳しくなったよぉ。

「あー!もうがまんできねぇ!マドレーヌが休憩している間に、湖を探してくるぜ!」

ジュンブライトはそう言って、走り出した。

「勝手に行けば?」

と、紅葉がつぶやいた。

そりゃそうだよ。わがまま全開モードになって、おまけに自己チュウモードになって、湖を探すとは、ありえません。
はぁ~。もう、死にそうです・・・・・・。

「おーい、真莉亜、じいやぁ!湖、見つけたぞぉ!」

「えぇ!?」

私とルクトさんは、声を合わせて驚いた。

「それは、本当ですかぁ?」

「あったり前だろ。早く来いよぉ!」

やったぁ!これで休憩できるぅ!
私とルクトさんは、喜びながら、声がした方へと走り出した。

「ちょっとあなた達!待ちなさい!」

うわ!後ろにノア様達が追いかけて来るよぉ。
はぁ、はぁ、はぁ。とうとう湖に到着~。
それにしても、とても大きな湖だね。
回りにはとても大きな石があって、まるで、温泉みた~い。

「これでおいしい水が飲めるぞ!」

もう、これで死なずにすむぞ~。

「神様、こんなところに連れてくださって、ありがとうございます!」

ルクトさんが、泣きながら、空に向かって、お祈りしている。

「よーし!思いっきり飲むぞぉ!」

「オーッ!」

喜びながら、私達は湖のところまで走った。
うっひょ~。
こんなに青く輝いている水なんて、初めて見たよ~。
では、さっそく・・・・・・。
ゴクゴクゴク・・・・・・。
ん~。この水、おいしいねっ、ジュンブライト。

「まるで、体が縮んだ気がするぜ~。」

ジュンブライト、今、声が変わらなかった?

「声が変わった?そういうお前も、身長が低くなっているじゃねぇか。」

あんたもだろっ。
ゴクゴクゴク・・・・・・。

「あー!この水、最高ですねぇ。王子、真莉亜様。」

私達のとなりに、かわいい男の子が、私達の方を向いて、にっこり笑った。
・・・・・・誰?

「誰って、わたくしですよ、わたくし。ルクトですよ。」

ルクトさん!?ルクトさんって、そんなにかわいかったっけ?

「かわいい?わたくしはかわいくありませんよ~。だって、もうおじいさんですから・・・・・・。え~!?」

ど、どうしたんですか、ルクトさんっ。

「わたくし、若返ってる・・・・・・。」

え?若返ってる?

「んなわけないだろ。だいたい、人間が若返ること、ないだろ・・・・・・。え~~!?」

ジュンブライト、どうしたの!?

「お、俺、若返ってる!しかも、マドレーヌと同じ歳に戻ってる!」

そんなの、あるわけないじゃん。

「お前も見ろっ。さっき、体が縮んだのは、これのせいか!」

ちょっと~。私の手、そんなにひっぱらないでよ~。

「ほら、見ろっ。」

湖の水面を見てみると・・・・・・。
え~!?
私、子供になってるぅ!しかも、マドレーヌちゃんと同じ歳に戻ってるぅ!
これで、子供になるの、2回目です。

「あなた達!なにやってるの!」

ノ、ノア様~。助けてくださ~い。

「俺達、調子にのって、湖の水を飲んだら、若返ったんだよぉ!」

「しかも、王女様と同じ歳の子供にぃ!」

「あんた、誰なんだい。」

「ルクトです。」

すると、紅葉とマドレーヌちゃんとテレサさんの目が、急にハートになった。

「か、かわいい~♡」

「全然!かわいくなんか、ありません!」

ルクトさんの顔、真っ赤になってる。
本当に、かわいいなぁ。

「みんな、ちょっと来て!」

リリアさんの声で、私達はリリアさんとノア様とアルマさんのところまで走った。

「どうしたんですか?」

「三人が若返った理由がわかったわ。」

えぇ!?早く教えてくださいっ。

「これよ。」

ノア様が、指をさした方を見ると、そこには木でできた、立て札があった。
どれどれ?ん?

「この湖は、若返りの水です。飲むと若返ります。飲みすぎにはご注意を!」

え~!?この湖、若返りの水だったの~!?

「えぇ。」

と、ノア様がうなずく。
そういえば、若返りの水って・・・・・・。

「昔話だよっ。ある日、おばあさんがおじいさんに「うさぎをつかまえてこい!」っとぱしられて、山の中を探しても、全然、見つけられなかった!なぜなら、おじいさんはもう、歳だから。そんなおじいさんが家に帰ろうとしている途中、川があったんだよっ。この時、おじいさんはのどがかわいていて、水をゴクゴクと飲んだんだよっ。そうしたら、おじいさんはジャニーズ系のイケメンに若返って、うさぎをとうとう、つかまえだんだよ!で、家に帰るとおばあさんはおじいさんの姿を見て、びっくりして、おじいさんが若返りの水のことを全部話すと、おばあさんは大急ぎで、山に出かけて、若返りの水のところに行って、水をガブガブ飲みすぎて、赤ちゃんになったっていう昔話だよっ。その昔話を知らないやつは、バカとしか言いようがない!」

知っていますっ。てか、おばあさんがおじいさんをぱしるわけ、ないでしょ。
だいたい、昔話が大好きなのか、話が長すぎますっ。
ん?まてよ。
なんで若返りの水が、ここにあるんだろ。
昔話といえば、「ももたろう」に「うらしまたろう」に「おむすびころりん」・・・・・・あー!
ここって、おとぎの国だったのかぁ!
だから、若返りの水があるんだぁ。

「ここをなんだと思ったんだよ。」

ルーさんの家があったんで、ヴァンパイア界と・・・・・・。

「ルーの家!?」

あっ、ルクトさんが反応しちゃった。

「どこにあったんですか!?」

えーっと、確か、森の奥にありました。

「・・・・・・そうですか。」

ルクトさんがしょんぼりした。
よほど、会いたかったんだね。ルーさんに。

「ところでさぁ、ノア様。どうやって元に戻れるんだよ。」

私も気になります。

「早く教えてくださいっ。」

私達が必死で質問すると、ノア様はくるっと、後ろを向いた。

「あなた達が反省したら、教えてあげるわ。」

「え~!?」

そんなの、ひどいです!

「そうだ!俺達は若返りの水とは知らずに飲んでしまって、こんな姿になったんだぞ!なっ、じいや。」

ルクトさん、ニヤニヤしているけど、ど、どうしましたか?

「うれしいですぅ♡」

「はぁ!?」

ルクトさんがそう言うなんて、ありえませんっ。

「じいや!頭を冷やせ!こんな姿でずーっと、「かわいい~♡」って、言われるんだぞ!まさか、「かわいい~♡」って言われたいからって、元に戻りたくないって、言うんじゃないだろーな!」

ジュンブライトが怒ると、ルクトさんは左右に首を振った。

「いいえ、そうじゃありません!わたくしは、8歳に若返って、こんなに運動ができるようになったんですよ。ほらっ。」

ルクトさんが私達の前で、ラジオ体操をした。
うわぁ。今まで歳のせいで、運動できなかったルクトさんが、運動できるようになってる~。
そっか!ルクトさんはおじいさんだから、ルクトさんにとって、若返りの水は、とてもいい水なんだねっ。

「だから、元に戻りませ~ん。」

ルクトさんが、ニヤけながら、私達の方を振り向いた。

「この~!バカじじーめ!」

「ふっ、人の言うことを聞かなかったばちがあたったな。ちびジュンブライトくん。」

アルマさんが顔をニヤニヤさせながら、口をはさんだ。

「アルマ~!てめぇ、よくもなめやがったなぁ!お前も飲め!」

ジュンブライトが、アルマさんの手をぐいぐい若返りの水のところへひっぱっていく。

「やだよ!お前と一緒に、若返るのは、ごめんだ!」

「なんだとぉ!?」

はぁ・・・・・・。二人とも、うるさいです。


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