ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第四十六話 「真莉亜、脱走する!」

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なんか、うるさくなった音が急に、静かになったような気がする。
それより、早くここを出なきゃ!
・・・・・・でも、かぎがかかってるし、そんなの、無理だよ。
ここをどうやって出ようか・・・・・・。
キラキラ。
なにか、また光った。
魔法のランプ・・・・・・そうだ!ランプの精さんにたのんで、外に出してもらおう!
二ヒ二ヒ二ヒ二ヒ。私って、あったまいい~!
顔をニヤニヤさせながら、私はランプをこすった。
すると、ランプの中から白いけむりが出てきて、ランプの精さんが現れた。

「も~、人がねているのに、起こさないでくれよ~。」

ね・・・・・・ねてたんですか。

「ランプの精さん、二つ目の願い、聞いてくれますか?」

「二つ目の願いだとぉ?」

目をこすりながら、ランプの精さんは言った。

「そうです。」

「いいに決まってんだろ!さーて、二つ目の願いはなに?自分をかわいくさせる願い?それとも、大金持ちにさせる願い?」

いや、ランプの精さんが思っている願いじゃありません。
外に出してください。

「いいとも!じゃあ、壁をぶっこわすぞぉ!」

えぇ!?それはやめてくださいっ。

「だって、俺様は壁をぶっこわすの、得意なんだぜっ。」

もし、クレインにばれたら、ひどいことになりますよ。

「大丈夫。絶対にばれねぇから。」

性格が、誰かさんと似ています。

「よーし、行くぞぉ!3、2、1!」

ズドーン!
ランプの精さんが、壁をぶっこわすと、強い砂嵐が、私に飛びかかった。
砂嵐が吹き終わった後、私の前を見ると・・・・・・。
すっ、すごい・・・・・・。向こうには、森がある・・・・・・。

「だろ?んじゃあラスト!三つ目の願いを叶えてあげよーう!さてさて、なにがいいかな?」

三つ目の願いは、元の服装に戻してください。

「ОK~。じゃあ、行くぜ!そ~れ!」

ボン!
白いけむりが、私の体をおおいつくした。
そして、白いけむりが、私の体をおおいつくし終わると・・・・・・。
な、なにこれ~!
な、なんか、テレビで見たことがある服なんだけど・・・・・・。
おまけに、髪型まで変わってるし!

「前田敦子っていう芸人、いるだろ?私のことが、嫌いでも、本物の前田敦子さんのことは嫌いにならないでくだキャー!フライングゲットって。」

それはキンタローですっ。
それより、早く戻してください!本当の服装にぃ!
あと、口紅も消してください!
二コちゃんマークの服で、半ズボンで、黒いスパッツの服です!
それと、髪型は、アイドルアニメの主人公と同じ髪型です!

「わかったから、そうあわてるな。じゃあ、行くぞ!そ~れ!」

ボン!
やっと、元の服装と髪型に戻ったぁ。

「これで、願いごとはもう、叶えられな~い。んじゃあ、おやすみ~。ふぁ~、これでねられる~。」

あくびをしながら、ランプの精さんはランプの中に戻った。
ランプの精さんが戻った後、私はランプを拾って、ランプをポケットの中に入れた。
そして、私は真っ先に走った。





「カー、カー!」

春間真莉亜、道に迷ってしまいました。
バサ!
ひぃぃぃぃぃぃ!
なんだぁ、カラスが飛んでたんだぁ。
もう、ビビらせないでよぉ。

「ニャー、ニャー。」

向こうから、ねこの鳴き声が聞こえたぞ。

「ニャー、ニャー。」

な、なんか、こわくなってきた・・・・・・。
バサ!
真っ黒な影が、草むらから出てきた。
あ、頭の上に、ね、ねこみたいな、み、耳があるー!

「ギャャャャャャャア!」

「ちょっと!なにさけんでんの!?春間真莉亜!」

え?なんで私の名前を知ってるの?

「もう、忘れちゃったの?あたしよ、あたし!クリスよ!」

クリスさん!
お久しぶりです~。

「で、あんた、なんでここに来てるの?」

そ、それは・・・・・・。
私は、今までのことを全部、クリスさんに話した。
そしたらクリスさん、すっごく驚いちゃって。

「人間界が、滅亡したって、本当!?」

うん。

「未衣ちゃん、もういないんだ・・・・・・。」

そう。みーんな、消えちゃった。

「ふーん。」

クリスさんが、目を細くして、後ろをじーっと、見つめた。
ど、どうしたんですか?

「ジュンブライト様は?」

・・・・・・はぐれちゃった。

「はぐれたぁ!?」

ちょっとクリスさん、さっきから驚きすぎ・・・・・・。

「ごめん、ごめん。あっ、真莉亜、ちょっと来て!あたし、あんたのことをよーく知っている人の家におじゃましているの。」

私のことをよーく、知っている人?

「そう!」

・・・・・・誰だろ。

「いいから!ボーとしてないで、一緒に行こっ。」

クリスさんが、私の手を強くにぎって、パっと走り出した。
ちょ・・・・・・クリスさん、速いよぉ~。





真莉亜、頼む!無事でいてくれ!
これが、俺のわがままだから!

「もうすぐろうごくに着くわよ!」

待っててくれよ、真莉亜!
そして、俺達はろうごくに着いた。

「真莉亜ー、返事してくれー。」

「助けに来たわよぉ。」

「真莉亜様ぁ。」

全然、声が聞こえねぇ。

「ねぇ、本当に、いるのかい?」

いるに決まってんだろ!

「ジュンブライト、テレサ、ノア様、リリアさん、ちょっとこっちに来てくれ。」

アルマの声で、俺達はアルマ達のところまで駆けつけた。

「なにがあったんだ?」

「これを、見てください。」

マドレーヌが指をさした方を見ると・・・・・・。
な、なんじゃこりゃ!
か、壁がぶっこわれているじゃねぇか!

「それにしても、とても大きな穴ですね。」

「ジュンブライト、ひょっとして、真莉亜さんは、空手を習っているのか?」

いーや、真莉亜は運動が苦手な女の子だ。
まてよ。ひょっとして、真莉亜は逃げたかもしれねぇ。

「逃げた!?」

あぁ。だって、真莉亜の姿は、なかなか見えねぇし。

「クレインが来るまで、外に出ましょう!」

あぁ!でも、どうやって・・・・・・。

「私が魔法でろうやをこわすわ。」

こ、こわすのかよ!

「それしか方法がないわ。」

クレインにばれても知らないからな!

「ノア様、ここは私におまかせくださいっ。」

マドレーヌが、ノア様の前に立った。

「超能力ヴァンパイアのお前なら、この、鉄ぼうしを持ち上げることができるぜ!」

「マドレーヌ、頼むわよ。」

「おまかせください!せーの、ゔ~!」

がんばれ、マドレーヌ!

「ゔ~!」

マドレーヌが、歯を喰いしばって、鉄ぼうしを持ち上げようとしている。

「ゔ~!」

「マドレーヌ、がんばって!」

「マドレーヌ。」

「王女様・・・・・・。」

「マドレーヌちゃん・・・・・・。」

「マドレーヌちゃん、あと少しだよ!」

「ゔ~!」

スポッ。

「ジュンブライトお兄様、見てください!ほら、がんばって、鉄ぼうしを持ち上げましたよぉ。」

おぉ、でかしたぞ、マドレーヌ!
さっすが、俺のいとこだなぁ!

「てへ、そんなに言われると、照れちゃいますよぉ。」

照れながら、マドレーヌが、鉄ぼうしを放り投げた、その時。
タッタッタッタッ。
階段の方から、足音が聞こえるぞ!

「ひょっとして、クレインが来たかもしれません!」

なんだとぉ!?

「王子、早く外に出ましょう!」

「ばれたら、ヤバイことになるわよ!」

わかってるって!お前ら、行くぞ!

「はいっ。」 「えぇ。」 「おう!」

俺達は、いっせいに、外に出た。

「は・・・・・・春間真莉亜が、いない!」


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