ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第十話 「なぞの転校生」

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次の日、1年2組では、討馬君と紅葉が付き合っているといううわさで、男子と女子が騒いでいる。

「なぁ討馬、久瀬のどこが好きだったんだよ。」

「ひょっとして、全部!?」

「いや・・・・・・。」

討馬君が机の上で両腕をねじりさして、顔を隠して、恥ずかしそうに言った、その時!

「よっ。とっちー、昨日、ナイスだったね。ほかのみんな、チョリース!」

男子の間にチャラ男、登場!まさか・・・・・・。

「さ・・・・・・沢島叶人君!」

私がさけんだ後、ジュンブライトが私の背中をつんつんと一さし指で押した。

「沢島叶人って、誰なんだ?」

「あっ。沢島叶人君は、学校一のチャラ男。ほら、星型のイヤリングをしてるでしょ。あっ、チャラ男っていうのは、チャラチャラしている男を、チャラ男っていうんだよ。」

「へぇー。」

ジュンブライトはこっくりうなづいた。

「うるさいなぁ~。沢島さん。」

「うるさいじゃねぇっスよ~。そう言われると、サゲぽよ⤵⤵」

サゲぽよって言うのは、テンションが下がったって言うこと。
てか何!?「⤵」は!

「よぉ。マリリン、チョリース!」

真莉亜ですっ!1986年の名曲の『マリリン』の題名そのままで呼ばないでくださいっ!

「この、アホチャラ男め!」

ひ・・・・・・比奈多さん、蹴る力、強い・・・・・・。

「こう見えて比奈多様は、空手で三段ですわ。」

う・・・・・・うわぁ~。
だって比奈多さん、叶人君の背中に左足をおいて、鼻をひくひくさせてるもん。

「私はこう見えて、叶人とは、ライバルですわ。」

ラ・・・・・・ライバル!?

「いってぇ~。なかなかやるなぁ、ひなっち。」

叶人君の頭の上にたんこぶが・・・・・・。

「いいってことよ。俺も空手は三段で~す!」

同じ・・・・・・。

「あら、叶人、時にはチャラ男じゃなくて、潤様見たいなりりしい男になって見ては?」

比奈多さん!ジュンブライトの腕をカップル見たいに組まないでください!

「お前もくれっち見たいなかわいい女子になれよ!」

「なんですって!?」

「こっちもなんだよ?」

うわぁ・・・・・・。二人とも、左目にビームがビリビリ出てる・・・・・・。こわ~い。

「私のかなっちに何をするのよっ!」

「え?」

ドン!
誰かが比奈多さんの背中を蹴っ飛ばした。しかも、花柄のパンツが全体に見えて、ジュンブライトと叶人君と討馬君以外の男子は、ブシュ!っと、鼻血を出して、倒れた。
比奈多さんの目が、×になっている。

「比奈多様、大丈夫ですか!?」

「しっかりしてくださいっ!」

なぎささんと雪さんは、倒れている比奈多さんを起こすと、比奈多さんがスッと起き上がった。

「大丈夫ですわ。このアホチャラ女、このかわいいかわいい比奈多様になにするのよ!」

「そうよ、そうよ!」

三人が怒って言うと、ロンゲツインテールをして、大きなリボンをして、金髪で、黄色い目をぴかぴかさせた女の子は、くるんとロンゲツインテールを振って、比奈多さんの方を向いた。

「アホな方はあなたよ、ひなっち!」

「キィー!」

比奈多さんは自分のピンクのハンカチを口で引っ張っている。
この子、もしかして・・・・・・。

「夢崎詩音さん?」

私が指をさして言うと、詩音さんはまたくるんと私の方を向いて、そのままダッシュで、私の机に向かって走って、私をぎゅっとだきしめた。
ぐ・・・・・・ぐるじい・・・・・・。

「マリリン、チョリース!名前、呼んでくれて、サンキューでーす!」

むかむか!なんで私だけ、『まりっち』って呼んでくれないんでしょうか。
すると、詩音さんは、私をぱっと離して、紅葉の机へと向かった。

「くれっち、チョリース!昨日、興奮してねむれなかった?もしかして、今、アゲぽよ⤴って感じとか?」

説明しよう!アゲぽよとは、サゲぽよとちがって、テンションが上がったという意味であーる。
って、なんで『ヤッターマン』のナレーションのまねをしているのだろ。私。

「詩音さん、紅葉さんにいろいろ失礼なこと、言わないで!」

恵の声が、廊下に響いた。

「そうよ!恥ずかしいじゃん!」

「まだ転校したばっかりなのに、そんなこと、チャラ女にとって、最低よ!」

「そう言う詩音さんこそ、付き合ってるの?」

女子が次々言うと、詩音さんは、叶人君の腕をがっしりつかんだ。

「いるよ~。かなっちこと、叶人で~す。」
と言った後、叶人くんが「イェーイ!どーもどーもでーす!」と、ピースした。
それとこれで、みんなが口をあんぐり。

「さぁ、一緒にすわろう、しおっち♡」

「うん。かなっち♡」

二人はカップルのように腕を組んで、同じタイミングですわった。
一体、なんなの!?
すると、そばにいた京花が、私の耳元で、こう言った。

「あのね、叶人君と詩音ちゃんは幼なじみで、3歳のころから付き合ってるよ。」

えぇ!?3歳から!?ってことは・・・・・・。

「俺達、交際歴、10年目を迎えまーす!そこんとこ、よろしくチョリース!」

な・・・・・・なんかいやなカップルです!
すると、紅葉が、ガタンといすの音を鳴らして、ブルブル震えながら、立ち上がった。
それを見たみんなは、紅葉の方をじーと見つめた。

「みなさん、いちいち討馬君と私に、付き合っただろうが、なんだろうが、いちいちしつこすぎますっ!私にとっての恋はなんですか?みなさんにとって、恋はなんですかっ?」

紅葉の目に涙が出てる・・・・・・。

「討馬君、ちょっと来て!」

「えっ?」

二人は教室を出て、ドンと扉を閉めた。





「ここは、理科準備室?」

「くっくっくっく・・・・・・。」

「く・・・・・・紅葉?」

「骸骨の首輪よ!今、死と魔界の力で現れよ!ホラージムム!」

ガバッ!

「うわっ!体が勝手に!うわぁー!」

「くっくっくっく。闇に落ちれ。」





二人とも、早く、戻って来ないかな?
時計は8時29分を指している。
もう読書タイムは、もう終わってる。

「春間真莉亜さんっ!元気ですかっ!」

い、今健康観察だった!

「はい元気です。」

すると、ガラッと扉が開いた。
白田先生と、紅葉が同時に教室に入った。

「久瀬紅葉さん・・・・・・。元気ですか?」

紅葉は、いすにすわって、「はい元気です。」と、声をこだました。
そう言えば、討馬君はどうしたんだろ。さっきまで一緒だったのに。

「全員そろいましたね。あれ?討馬さんは?」

白田先生がみんなに聞くと、みんなは全く反応しなかった。
すると、紅葉が、手を「はいっ。」と挙げた。

「討馬君は、お腹が痛くて、保健室に行きました。」

「そう。じゃあ今日は35人、そろいましたね。」

あの討馬君がお腹をこわすとは・・・・・・。

「おい。真莉亜。」

ジュンブライトが小さな声で、私を呼んだ。

「なに?」

「紅葉、あやしいな。」

またそれ?あやしくないって。

「だって、討馬を連れて行ったし。」

あぁ。確かに。

「それに、俺が昨日、教室を掃除してたら、あいつ、鏡の前で誰かとしゃべって、「なにしてるんだ?」と聞いたら、鏡を隠して、「いや・・・・・・。なんでもないです。」って。」

ジュンブライト、紅葉のまね、お上手です。

「フッフッフッフ。」





はぁ~。掃除、たいくつ~。

「真莉亜!」

わっ!紅葉!

「ちょっと、話していい?」

「いいよ。」

「ねぇ、私にファンタジー石、見せて。」

えっえ~!?集めてたの、知ってたの?紅葉。

「えぇ。私、学校に来る前、ちょこっと見たの。今日の5時半に、菜の花広場に来て。」

はい・・・・・・。





私はそのことをジュンブライトに話して、ジュンブライトのお屋敷に来た。

「これは、大変なことになりました・・・・・・。」

ルクトさんの顔がまっさおになって、おそるおそる声が出ないぐらい、びっくりしている。

「久瀬紅葉さんは、一体、何者でしょうか・・・・・・。」

マドレーヌちゃんが、むらさきの目を光らせて、考え込んでいる。

「危険すぎるのが、100%、高いわ。」

100%、高い?

「いや・・・・・・。なんでもないわ。」

リリアさんがボン!と、ヴァンパイアに変身した。

「あっ!紅葉はひょっとして!」

なに?どうしたの、ジュンブライト。左手をおいて、右手をまるくして、ボン!とたたいて。

「俺達の新しい仲間じゃないか?」

???それって、どういうことなの?

「しょーゆーことだよっ。紅葉の本名は『クード』。つまり、ギラ様に頼まれて、人間に化けて、俺達の仲間だと証明したがってんのかな?仲間だったら、大歓迎だぜ!」

なるほど。でも、最初に『しょーゆーこと。』っていうギャグ、入れて欲しくないんですけど。

「はいっ!私、ひらめきました!真莉亜お姉様っ!」

マドレーヌちゃんが元気な声で手を挙げた。
なに?すると、マドレーヌちゃんは、黒い台を出した。

「今から人形劇を始めます。気を付け、礼。」

人形劇?なにかな?

「ある日、真莉亜お姉様の学校に、転校生がやって来ました。」

えっ!私とジュンブライトと紅葉!?

「『久瀬紅葉です。みなさん、よろしくお願いします。』」

おぉ!だんだん、紅葉の声になってきたよ。

「しかし、その紅葉お姉様は・・・・・・。」

マドレーヌちゃんが、紅葉の人形をひっくり返した。

「なんと、優しい幽霊だったのですっ!」

???マドレーヌちゃんの頭の中は、どうなっているでしょうか。
けっこう、不気味だけど・・・・・・。

「ああん?おい、クソ真莉亜、なんか文句あるのか?オラ!」

ひょ・・・・・・ひょえ~。キャラが変わった~。

「い・・・・・・いいえ。」

「じゃあ、話を続きますね。」

マドレーヌちゃんは、にっこりして、口を動かした。

「『私、ヴァンパイア界から来た幽霊で、墓の前からギラ様に頼まれて、人間界にやって来ました。一緒に石を集めませんか?』」

「『いいよ、紅葉。』」

マドレーヌちゃん、まるで、ものまね芸人見たいです。

「『大歓迎だぜっ!』」

「『ありがとうございます。』」

すると、マドレーヌちゃんが台の上にちょこんと顔を出した。

「これで、私の人形劇を終わります。」

マドレーヌちゃんがおしぎをした後、みんなははくしゅした。

「さすがです。王女様。」

「よっ。さすが俺のいとこ!」

「さすがね。」

でも、幽霊でもない感じ。

明るかったし、体をさわったら、私の手、ぬけてなかったし。

「ねぇみんな。紅葉が何者かってわからないし、とりあえず、石を渡して、確かめよう。」

私の言葉で、あたりがしーんとなった。

「確かにな。ヴァンパイアでもなかったしな。」

「そうですね。」

「さすがです!真莉亜お姉様っ!」

「けっこう頭がいいやつじゃない。でも・・・・・・。」

でも?なんなの?

「いや。」

リリアさんがまた考えこんでる。

「それじゃあみんな、エイエイオー!」

「オー!」





そう言ったけど、みんな、割と足が速い。

「あたり前だろ。」

出た!流行語ノミネート大賞予定の言葉!
って、なんでリリアさん一人だけ、空を飛んでるの?ずるーい!

「ずるくなんかないわよ。大急ぎなんだから。」

でも私、こう見えて、50メートル、13秒9です。

「うるさいっ!『50メートル、13秒9です。』って、あきらめたことを言うな、アホ!」

アホなのはあなたです。ジュンブライト。

「みなさん、菜の花広場に着きました!」

ルクトさんが『菜の花広場』という看板を指さした。

「行きましょう。真莉亜お姉様!」

うん! 

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