ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第十話 「なぞの転校生」

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ぼー。ねむたーい。
だって、琉理の告白でねむれなかったんだもーん。

「おぉ!この商品、欲しいぜっ!」

ジュンブライト、何やってんの?

「テレビショッピングを見てるんだよ!」

テ・・・・・・テレビショッピングだなんて・・・・・・。てかジュンブライト、学校はケータイ、持ち込み禁止だよ。

「いいんじゃないか。」

よくなーい!

「黒月さん、ケータイ持ち込み禁止ですよ。」

討馬君のめがねがキラリっと光っている。

「わかったよ。」

ジュンブライトが、討馬君にケータイを渡した。

「おわずけしますね。」

「ちょっと!討馬様!潤様のケータイを没収するなんて、ひどいですわ!」

「そうよ、そうよ!」

ひ、比奈多さん達が怒ってる・・・・・・。

「だって、それは、学級委員の役目ですから。1年2組から、問題児を出ないようにするためですから。」

おぉ!討馬君、さっすが、我が1年2組の学級委員!

「そういう月野さん達も、ケータイ、持ってるじゃありませんか。」

また、討馬君のめがねがキラーン。

「ば、ばれてしまいましたよ、比奈多様!」

「こ、こうなったら・・・・・・。」

「はい!」

比奈多さん達が、討馬君の前にケータイを出した。

「ありがとうございます。」

討馬君は満足そう。
しっかりしてるねぇ。

「はーい。席に着いてくださーい。」

白田先生の明るい声で、みんなが席に着いた。

「起立!」

討馬君の声でみんなが立った。

「礼。」

討馬君の声でみんながおしぎした。

「着席。」

討馬君の声でみんながすわった。

「今日は転校生を紹介します。」

えぇ!?また!?

「黒月の次は誰なんだろ。」

「きっと、かっこいい男の子だよっ!」

「そうかな~。」

みんながざわざわ騒いでいる。
一体、どんな子だろ?

「それでは、入ってください。」

ガラッ!
入って来たのは、めがねをかけた女の子。髪の色は黒く、髪型は長くて、まるで、『ショコラの魔法』の主人公、哀川ショコラ見たーい。
ん?女の子が黒板になにか書いてるぞ。名前かな?
名前は・・・・・・。

『久瀬紅葉』

おぉ!なんてきれいな字なの!

「アメリカから来た、久瀬紅葉さんです。」

「久瀬紅葉です。よろしくお願いします。」

紅葉ちゃんは満天な笑顔でおしぎした。

「おぉ♡なんてかわいい女の子なんだ。」

「すんげぇかわいいぜ!」

「恋人にしよっ。」

もう、ジュンブライト以外の男子、うるさーい!

「紅葉さんの席は真莉亜さんのとなりの席です。」

「はいっ!」

紅葉ちゃんはモデルさんのようにトタトタっと歩いて、私のとなりにすわった。

「よろしくね。真莉亜ちゃん。」

「は・・・・・・はい。」





私達は屋上で、弁当を食べていた。

「へぇー。転校生が来ましたか。」

ルクトさんが、にっこりとサンドウィッチをほおばる。

「あのお姉様、優しそうでした~♡」

マドレーヌちゃんが、サラダをおいしそうに食べている。

「あの女、あやしいわ。」

リリアさんが、パンをちょこっとかじりながら、言った。
あやしい?

「あのくせいくれははあやしいぜっ!」

ジュンブライト、そのギャグはやめて。

「あの。みなさん、なにしてるんですか?」

く・・・・・・紅葉ちゃん!?

「一緒に食べませんか?」

い・・・・・・いいですよ。

「ありがとうございます!」

ジュンブライトは私のとなりに離れて、紅葉ちゃんはうれしそうに私のとなりにすわった。

「ねぇ真莉亜さん、私の弁当、見てくださいっ!」

どれどれ?ん!おいしそーう!春巻きに、ポテトサラダに、たまごやきに、からあげに、ウインナーに、グラタンに、私が好きなナポリタンに、最後はふりかけごはん!
おいしそーう。誰につくってもらったの?

「いや。自分で。」

「すっごーい!両親は?」

私が聞くと紅葉ちゃんは悲しそうな顔をした。ご・・・・・・ごめん!

「いや。気にしなくていいの。両親は離婚して、私一人、アメリカに引っ越したんだ。アメリカにいたら、いつもいじめられるし、友達もいなかったの。」

うわぁ。紅葉ちゃんはどんどん悲しい顔になってる!こりゃ大変。

「で、この花田中学校に転校して、真莉亜さんと出会って、こう考えたの。」

紅葉ちゃんは私の両手をぎゅっと握った。

「お願い真莉亜さん、私と一緒に、友達になってくれない!?」

えっ!?

すると、紅葉ちゃんの顔が、また悲しい顔に戻って、しゅんとなった。

「・・・・・・ダメだよね、どうせ。」

しゅんとなっている紅葉ちゃんの両手を、私がぎゅっと握って、目をキラキラさせた。

「大歓迎だよ!よろしくね、紅葉!」

「なんで呼び捨てで呼ぶの?」

「これはね、友達ができたっていう証なんだよ!」

「本当!?じゃあよろしくね、真莉亜!」

「こちらこそ!」




3人目の友達、ゲットだぜ!
って、なんで『ポケモン』に出てくるサトシの決めゼリフを言ってるんだろ、私。
今日の私は絶好調!イェーイ!
トゥゥゥゥル。
あっ。メールだ。どれどれ?恵から?

<真莉亜、緊急ニュースだよ!討馬君が紅葉ちゃんに告ったんだって♡しかも、ОKもらったって♡>

えぇ!?うっそーん!
琉理の次は討馬君だなんて♡
ルクトさんもいないし、平和な夜♡

<恵も早く好きな人見つけて、告れば?>

と、私は打って、返信した。
トゥゥゥゥル。
早っ!えっと、なんて書いてあるんだ?

<えぇ!?無理だよ絶対!真莉亜も早く潤君に告れば?ヒューヒュー(^○^)>

ぬおう!なんだと!?てかこの『(^○^)』の顔文字、何!?

<か・・・・・・からかうな!恵!>

と、私はスピードを速く打って、返信した。
トゥゥゥゥル。
来たな、よーし!

<ごめんごめん。冗談だよ、冗談。じゃあ、おやすみ真莉亜!>

冗談だったんかーい!
まっいっか。もう、夜の9時だからねよう。





「くだらない人間と生活できたわね。クレイン。」

「えぇ。お母さん。いよいよ石をもらうだけよ。」


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