彼は死神

こあら

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10 「この床がテッカテカなのがわりぃーだろ‼」

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花穂カホさんは主のことどう思っていますか?」


「っへ?」

思わぬ質問にあたふたする








「では、質問を変えましょう。主のこと好きですか?」


その質問にはすぐに答えられる



「はい」



「それは、LOVEですか?それともLIKEですか?」




「っ…。ちゅ、中間で…」


「なるほどなるほど」


「その質問はいじわるです、クロさーん。」



また顔が真っ赤になる




「そういえば、クロさんいつもどこから出てきてるんですか?セツさんと会った時もですし、急にいなくなりますよね?」


「あぁ、違う空間にいます。黒子は主が誰を狩るのかを伝えるだけでなく後処理も行ています。」


「後処理?」


「はい。」


見た方が早いですね、と私の手を取ると今までいた部屋とは違う薄暗い場所へと移動していた
















「ここは…」



「生命の宝庫。管理棟のような場所です。」


生命の宝庫には無数のまだらな長さの蝋燭ろうそくがたたっていた



「この1本の蝋燭ろうそくは人1人の命の長さです。蝋燭ろうそくには名前が書かれていて、その人があとどれくらい生きれるのかが分かります。」


「こんなに沢山…」


「担当場所の人間の数です。死が近い人は蝋燭ろうそくの長さが短く、その人たちをリストアップし主に渡します。また、見た目や住居等は自力で調べなければなりません。」



「黒子の仕事って大変ですね。」


「えぇ、ですが罪滅ぼしですので。」


(そうか、…クロさんも。)




「貴重な仕事場を見せていただき、ありがとうございました。」


「こちらこそ。」





元の場所に戻る




「そういえば、夕食もとても美味しかったです。家事も仕事もできるなんて、完璧ですね。」



「やはり、きちんとしてこそ過ごしやすいと思いまして。主が寝ましたので、花穂カホさんがお風呂に入っている間にワックスがけもしました。」



「どうりで。なんか滑りやすいと思いましたよ。」



あはははと笑いながら、特にこの辺と遊んでいるとお風呂から上がったセツさんが扉を開き部屋の中に入ってくる



「っお、なんだか楽しそうだね」




「あ、セツさんそこ…」




「ん?うわぁっ‼」



危ない、という前にクロさんによってピカピカになった床に滑り倒れこむ

ダンッ、という音が部屋に鳴り響き、床が鈍く揺れた



「わりぃ、頭打たなかった?」



倒れた際セツさんがとっさの反応で私の頭をかばってくれた

ゆっくりと頭を床に置くと、大丈夫?と顔を見合わせる





「…。」 「っ…。」





床ドンのような体制になり、微かに息が顔にかかる


お風呂から出てきたセツさんは妙に色気が出ている気がして、魅了され目が離せない

見つめ合う時間が長く感じたのは気のせいだろうか



「…わ、わりぃ…」


先に目を逸らしたのはセツさんの方だった




「いや、…とんでもないです…。」


つられて私も目を逸らす









「悪いと思うなら早くどいて差し上げたらどうです。」


クロさんが冷めきった目で告げる



「っわーってるよ‼」



そそくさと退く


ん、と手を差し出し起き上がらせてくれた




「ラッキースケベなんて最低ですね。」


「触ってねぇーだろ!」


「触りたいとは思ったんですか。」


「っ、おめぇ…なんちゅうことを…」


「無抵抗の女子を…。なんて恐ろしい。」



「この床がテッカテカなのがわりぃーだろ‼」


「それを口実にケダモノになるなんて、なんて怖い。」



「俺はその思考に行き着いたおめぇの方がこえーよ。眼鏡の奴と一緒にすんな‼」




落ち着いてくださいと2人を静める

「私も、言うの遅かったし」


すいませんと謝るとお前は悪くないと頭をポンポンする


(また、子ども扱い…)




「お前の方は何ともない?」


「っ!何ともないです‼」

顔を覗きこまれ反射的に顔を逸らしてしまう




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