逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
上 下
314 / 333

315

しおりを挟む
「さ………、どうする?」

「見たり聞いたりしたけど…、隣の部屋にはバルコニーはないから伝っては行けない。それに入ることも禁じられてるって……」

「かなり難関だよな。上の部屋のバルコニーから下にも降りれそうにないしね。」

「古いドアでピッキングもできなさそうだし…」

私の部屋で密談中の雰囲気は、かなり深刻だった
難易度マックスのテストを受けているみたいだ…

屋敷の人に聞いて回ったりもした
まだ幼さを感じるのか、みんな丁寧に優しく教えてくれる
どうやらこの屋敷は普段はあまり使われていない場所らしい
連休や息抜きに使われているらしく、目的の部屋は代々家の主が愛用していた場所なのだとか
だから、尚更部外者が立ち寄れないのだ









「あんなこと聞いちゃうと余計入るのが難しいって分かっちゃうしね…」

「俺は新人のウエイターが入った事ぐらいしか収穫なかったよ。」

「それがなにかの役に立てばね…」

2人でため息を吐いた
行き詰まり、どん底に落ちた気分にいる
そして、もうパーティー時間になってしまったのだ

春さんは主催者を探しに行ってしまった
ジャンさんは相変わらず姿が見えない

「どうにかして、あの部屋に入るしかないよ」

「でも、…どうやって?」

「こうなったらヤケクソよ」

そんなことを言ってみても、どうしたらいいの妙案があるわけじゃない
飲み物を運ぶウエイターが私の前を通り過ぎる
話し声が重複して耳に届き、考えを阻む

みんな楽しそうに談笑している
パートナーと腕を組んで、深刻な顔をしているのは私とギュウ君くらいだ

その時、あることを思い出した
それにピンときた私は、隣りに居るギュウ君の腕を掴んでねぇ、と話しかけた

「まさか…そんな、うまくいくわけ無いだろ。」

「やってもないのにそんなこと言うの?いつもなら"諦めるな"って言うのに」

「あの部屋は立入禁止何だぞ。入れるわけ無いだろ?」

それをどうにかして入らないといけないのだ
ひそひそ話で会話する私達は、論争まがいの事をしている

私は彼の腕を引っ張った
そして無理だと言うギュウ君に質問した

「新入のウエイターはどれ?」

「こっちに向かって歩いてる、あの短髪の人だけど。それが?」

「こっちに向かってるのね。あとは任せたよ、上手くやってね」

「"任せた"って、おいっ!?どうしたんだよ、大丈夫か!!??」

ギュウ君は私を抱きかかえて揺さぶった
本気で心配しきった声で
それに反応を示さない私は、大胆に倒れてみせた
もちろん床に叩き打つ前に彼が支えてくれた

タヌキ寝入りならぬ、タヌキ倒れだ
具合など悪くない
気分もそこそこだ

「返事してくれよ。」

「お客様!?どうなされましたか?パートナー様の具合がよろしくないのでしょうか!?」

「はい、急に倒れて…。」

(察してくれたかな?)

「どこか横になれる所に案内しましょうか?」

「あの…パートナーが心配なので、あの部屋で少し休ませてもらってもいいですか?」

そう言って彼が指差したのは、私達の目的の場所あの部屋だった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...