逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
上 下
291 / 333

292

しおりを挟む
臼田うすたさん…」

彼はやはり眠っていた
今朝と変わらない様子に安堵と焦りを感じた

急変したりしないことは喜ばしい
だけど、一向に目覚めないとなると、胸が締め付けられるみたいに苦しい

掛け布団を整える私に、「起きて欲しいのか?」と朔夜さんが聞いてきた
それに対する私の返答はただ一つ

「勿論ですよ。早く…目覚めてほしいです」

「女、任せろ。」

「っ、なっ何するんですか!!朔夜さっ、」

「起こしてやる。」

ベッドに近づく朔夜さんは、手にしていたペットボトルのキャプを外しながら歩み寄り、眠る臼田うすたさんに向かって飲み口を降ろした

突発的な行動に、私は対処出来ずペットボトルの飲み口から流れ落ちる水たちは、臼田うすたさんの顔面めがけて散らばった









「起きろ、犬顔。」

「っなんてことを!」

「起きて欲しいんだろ?大体いつまで寝てるんだ、こいつは。」

「っちょ、それ以上臼田うすたさんに何かしようものなら、パソコンあるデータ消去して再起不能にしますよ!!」

ペチペチ音をたてて彼の頬を叩く朔夜さんの腕を強引に引っ張った
気は確かですか?と疑いたくなるほど、異常な行動を取るのはなぜなのか
最低ですという私に「女、お前が言ったんじゃないか。」と私を指さして悪びれる様子などない

私がいつ臼田うすたさんに水をかけろと言った?
私がいつ臼田うすたさんの顔を叩いてくれと願った?

そんな願いなどしていない
願ったのは…早く目覚めてくれと祈っただけだ

うぅん…と小さく聞こえた声の音に振り返ると、眉を少しひそめて薄っすらと目を開く臼田うすたさんが、体を起こそうとしていた
何故私と朔夜さんがここに居るのか
何故自身がこんなにびしょ濡れ状態なのかが理解できずにいる臼田うすたさんは、水を拭うついでに目を擦った

「ほら見ろ女、目覚めたじゃないか。」

「こんな荒療治みたいなことして、よく平気で要られますね?!」

「結果良ければ全て良しと言う言葉もある。億劫でいるより、何百倍も効率的だと思うが?」

「人道的に考えてくださいよ。目的にばかり見てたんじゃその内、誰かに足をすくわれますよ」

効率重視でやっただなんて、理解できない
筋は通ってるかもしれないけど、そんなことがまかり通る世の中になってしまえば、もっと悲惨な物へと退化してしまう

『人の肉は食べれるから燃やしてしまうより食べたほうが食料難の軽減にもなる』などと言われて、そうですねと死体の肉を食べれるだろうか?
食用に加工した物ですと提示されても、ではいただきますとは言えない

確かに食べれて、いくらか食糧難の問題を解決できるかもしれない
でも………人の肉を、しかも死体を食べるなんてカオスな事が常識化したらどうだろうか?

人は皆違う
私は反対派あなたは賛成派ね、でもこっちの人は条件次第では賛成よと、答えが皆一緒とは限らない

もっと簡単に言えば、ゴキブリを食事のお供にできるだろうか?
食用ゴキブリは市場に出ている
勿論食べる人はいるだろう
でも、食べない人の方が圧倒的に多いはずだ……

分かりづらい感じにしてしまったが、回り回って同じことを言っているんだ

「ふたりとも…ここで何してるの?」

臼田うすたさんっ、大丈夫ですか?頭痛いとか、吐き気がするとか、気持ち悪いとか、熱っぽいとか、違和感を感じるとかないですか?」

「えっと……、かな?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

処理中です...