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花の道
赤い薔薇のような花びらが、道を色綺麗に飾っている
その上を歩くのが勿体無いくらい、美しく感動的だった
レッドカーペットを進めば視界に入る大木にもたれ座る、見覚えのある姿があった
整えていない髪とくたびれた服
近づけばより確信に繋がり、私は朔夜さんと呼びながら正面に回った
いつもの我が道を行く態度で私のことを女って呼ぶと思っていたのに、目に映るのは心臓をひと刺しされた姿だった
思わず叫ぶ私は、無意識に後ろへと後ずさる
けれど何かにかかとが当たり、振り返れば血を吐き、仰向けで倒れている春さんが居た
駆け寄っても、光の無くなった瞳に物怖じした
そのまま真っすぐ視線を上げれば、私を見て倒れる臼田さんが居た
倒れ、彼の後ろに立っていたのは真っ赤に血しぶきを浴びたジャンさんだった
気が付けば、辺りは赤い花びら…いや、血で覆い尽くされていた
「あんたは、チンピラか?!」
(っ……?)
「お腹が空いたからって睨むのやめてくんない?」
「おいオカマ、さっさと作れ。餓死したらどう責任取るんだよ。」
(春さんと朔夜さん…?)
「安心して。くたばったらアタシが責任持ってガソリンで燃やしてあげるから。」
「週3でジャザサイズしてる俺は大丈夫だ。オカマより健康的だ。」
2人のお決まりのイベントで、私は目を覚ました
いつの間にか寝れていた私は、起きたと同時に臼田さんを確認した
もちろん目を覚ましてはいない
でも、顔色は良くなっていた
熱を測ろうと体を起こすと、肩にかかっていた毛布がズレ落ちた
その鈍い音に反応して、思わず凝視した
(春さんが掛けてくれたのかな?)
冷え込む季節、あのまま眠っていたら風邪を引いていたかもしれない
春さんは本当に優しくて、本当の姉のよう
兄弟のいない私からしたら、存在しないもの
だから余計春さんに甘えてしまうのだろう
春さんも良いよって受け身になってくれるから、私はさらに甘えてしまうのだ
(臼田さんは…まだ、起きないのかな…?)
私は欲深くも、臼田さんを起こそうとした
少し揺すって、強引とも取れるその行動は好ましくなかった
「んん…。」って消えかけた音のような声を出して、私の呼びかけに応答しない彼は、まだ起きないようだ
私が呼んでるのに、起きてくれない…
いつも呼びかければすぐに来てくれるのに…って、自分勝手な思考に気づいて、頭をゲンコツで叩いた
「臼田さんは体調が悪いのに…」(私ってば…最低だ。)
強欲な人間がこれ以上迷惑をかけないよう、私は部屋を出た
自室のベッドに寝そべって、温もりのないシーツに余韻を曝け出した
毛布を掴んで体に巻き付けるみたいに引き寄せ、うずくまる
整理したい事は山程あるのに、情報量が多いのか、処理しきれないのか……
なにも解決しないまま
無理に頭を使おうとすればするほど、見たくもない自分の想像に苦しめられる
私を殺して、私の血を浴びたジャンさんが…不敵に笑いながら私の唇にスマイルマークを描く
そんな状況が容易に想像できるのは、瑞貴さんのせいだ…
「おい、女!飯だぞ、起きろ。」
「どうして毎回ノックしないんですか…。非常識だと思わないんですか。」
「繭になってないで起きろ!飯を食ったらやってもらう事がある。」
「朔夜さん…人に頼む時は、もう少し…」
礼儀をわきまえてって言おうとして口が止まった
先程まで不調の人を起こそうとして、どの口が言う…
ムクッと起き上がって、赤ずきんのように毛布を纏わり付かせる私を見て「カオナシか、女。」って言ってくる
赤ずきんなんですけど…
赤い薔薇のような花びらが、道を色綺麗に飾っている
その上を歩くのが勿体無いくらい、美しく感動的だった
レッドカーペットを進めば視界に入る大木にもたれ座る、見覚えのある姿があった
整えていない髪とくたびれた服
近づけばより確信に繋がり、私は朔夜さんと呼びながら正面に回った
いつもの我が道を行く態度で私のことを女って呼ぶと思っていたのに、目に映るのは心臓をひと刺しされた姿だった
思わず叫ぶ私は、無意識に後ろへと後ずさる
けれど何かにかかとが当たり、振り返れば血を吐き、仰向けで倒れている春さんが居た
駆け寄っても、光の無くなった瞳に物怖じした
そのまま真っすぐ視線を上げれば、私を見て倒れる臼田さんが居た
倒れ、彼の後ろに立っていたのは真っ赤に血しぶきを浴びたジャンさんだった
気が付けば、辺りは赤い花びら…いや、血で覆い尽くされていた
「あんたは、チンピラか?!」
(っ……?)
「お腹が空いたからって睨むのやめてくんない?」
「おいオカマ、さっさと作れ。餓死したらどう責任取るんだよ。」
(春さんと朔夜さん…?)
「安心して。くたばったらアタシが責任持ってガソリンで燃やしてあげるから。」
「週3でジャザサイズしてる俺は大丈夫だ。オカマより健康的だ。」
2人のお決まりのイベントで、私は目を覚ました
いつの間にか寝れていた私は、起きたと同時に臼田さんを確認した
もちろん目を覚ましてはいない
でも、顔色は良くなっていた
熱を測ろうと体を起こすと、肩にかかっていた毛布がズレ落ちた
その鈍い音に反応して、思わず凝視した
(春さんが掛けてくれたのかな?)
冷え込む季節、あのまま眠っていたら風邪を引いていたかもしれない
春さんは本当に優しくて、本当の姉のよう
兄弟のいない私からしたら、存在しないもの
だから余計春さんに甘えてしまうのだろう
春さんも良いよって受け身になってくれるから、私はさらに甘えてしまうのだ
(臼田さんは…まだ、起きないのかな…?)
私は欲深くも、臼田さんを起こそうとした
少し揺すって、強引とも取れるその行動は好ましくなかった
「んん…。」って消えかけた音のような声を出して、私の呼びかけに応答しない彼は、まだ起きないようだ
私が呼んでるのに、起きてくれない…
いつも呼びかければすぐに来てくれるのに…って、自分勝手な思考に気づいて、頭をゲンコツで叩いた
「臼田さんは体調が悪いのに…」(私ってば…最低だ。)
強欲な人間がこれ以上迷惑をかけないよう、私は部屋を出た
自室のベッドに寝そべって、温もりのないシーツに余韻を曝け出した
毛布を掴んで体に巻き付けるみたいに引き寄せ、うずくまる
整理したい事は山程あるのに、情報量が多いのか、処理しきれないのか……
なにも解決しないまま
無理に頭を使おうとすればするほど、見たくもない自分の想像に苦しめられる
私を殺して、私の血を浴びたジャンさんが…不敵に笑いながら私の唇にスマイルマークを描く
そんな状況が容易に想像できるのは、瑞貴さんのせいだ…
「おい、女!飯だぞ、起きろ。」
「どうして毎回ノックしないんですか…。非常識だと思わないんですか。」
「繭になってないで起きろ!飯を食ったらやってもらう事がある。」
「朔夜さん…人に頼む時は、もう少し…」
礼儀をわきまえてって言おうとして口が止まった
先程まで不調の人を起こそうとして、どの口が言う…
ムクッと起き上がって、赤ずきんのように毛布を纏わり付かせる私を見て「カオナシか、女。」って言ってくる
赤ずきんなんですけど…
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