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狼狽える私は、冷や汗混じりの体を支えながらも、その場から動くことが出来ない
当時の状況を説明する瑞貴さんの声は、アイドルとは思えないほど、その綺麗な顔つきからは想像もできないほど…サディスティック的で血の気が引くのが分かった
「無表情でもなく、笑って殺ったんだよ。分かるか?」
「み、っずき…さん…」
「血しぶきを浴びたアイツの顔、お前想像できるか?あのバケモノはな、手で拭って、指で姉さんの口にスマイルマークつけてやがったんだよ!」
「やめて!!」
耳を…塞いだ
遅すぎた行動と態度に、瑞貴さんは呆れた
瑞貴さんは、今自分の口から出した言葉をちゃんと分かっていない
それだと…ジャンさんはお尋ね者の殺人鬼と言う事になってしまうから…
私は支えきれなくなった体を壁伝いに下へと下ろした
床に座り込む私は、両手を力の限り耳に押し当ててシャットアウトを試みる
瞬きのしていない瞳から落ちる雫はまだらに落下して、私のふとももの間をすり抜けて、床へと跳ね落ちた
今は走っていないのに、マラソンした後みたいに呼吸が速くなっているのが分かる
呼吸の仕方を忘れそうになって、口を開いて空気を吸っては吐いてを繰り返す
「もう……っやめてください…」
「お前も気を付けろよ。その皮1枚で繋がった首、大事に守れよ。」
首元が冷える感覚がこんなにゾワッて感じる日が来るなんて思いもよらなかった
瑞貴さんの言葉で、私の首は本当に薄い皮で繋がれた危うい状況下に晒されているんだと思い込まされた
瞬きすら恐く感じてしまったんだ
目を閉じたら、ジャンさんが今にもナイフを突き立てて、私の首目掛けて横に一振しそうで…
本の紙を1枚めくるように、髪留めを解くように、いとも簡単に斬ってしまいそうな幻覚に襲われそうで……
首に当てた手ですら冷たい
まるで喉に何かが詰まっているように、苦しい
「っま、別に死にたいならいいけど。」
「っ……」
「せいぜい足掻いて見せてよ。オレ、アイツが苦しむ姿見たいんでね。んじゃ、おやすみ。」
廊下へと向かう瑞貴さんは、ぼやける私の視界から消えて行った
静まり返るリビングでひとりで震える私は、その硬くなった脚で立ち、苦しい胸を抑えて歩いた
浅くなった呼吸は、私の頭を刺激して苦しめる
薄っすら見える臼田さんに近寄って、そっと手を握った
すがるみたいに両手で包み込んで、ベッド脇に腰掛けた
暖かい手は、私には落ち着いてと宥めてくれるようだった
「いっそ、全部夢だったら…」
夢で終わらせられた、こんな悪夢もう見たくないで片付けられた
温もりのあるこの手も、さっき聞いた話も、私が今まで経験した人生も、全部全部本当で現実だから辛い
熱くなった目元を無視して、私はベッドに頭を置いた
忘れたいと願って目を瞑って、ぎゅっと臼田さんの手を握る
薄暗い部屋、静かな空間と暖かい温もり…
条件は完璧なのに……眠りにつけない
当時の状況を説明する瑞貴さんの声は、アイドルとは思えないほど、その綺麗な顔つきからは想像もできないほど…サディスティック的で血の気が引くのが分かった
「無表情でもなく、笑って殺ったんだよ。分かるか?」
「み、っずき…さん…」
「血しぶきを浴びたアイツの顔、お前想像できるか?あのバケモノはな、手で拭って、指で姉さんの口にスマイルマークつけてやがったんだよ!」
「やめて!!」
耳を…塞いだ
遅すぎた行動と態度に、瑞貴さんは呆れた
瑞貴さんは、今自分の口から出した言葉をちゃんと分かっていない
それだと…ジャンさんはお尋ね者の殺人鬼と言う事になってしまうから…
私は支えきれなくなった体を壁伝いに下へと下ろした
床に座り込む私は、両手を力の限り耳に押し当ててシャットアウトを試みる
瞬きのしていない瞳から落ちる雫はまだらに落下して、私のふとももの間をすり抜けて、床へと跳ね落ちた
今は走っていないのに、マラソンした後みたいに呼吸が速くなっているのが分かる
呼吸の仕方を忘れそうになって、口を開いて空気を吸っては吐いてを繰り返す
「もう……っやめてください…」
「お前も気を付けろよ。その皮1枚で繋がった首、大事に守れよ。」
首元が冷える感覚がこんなにゾワッて感じる日が来るなんて思いもよらなかった
瑞貴さんの言葉で、私の首は本当に薄い皮で繋がれた危うい状況下に晒されているんだと思い込まされた
瞬きすら恐く感じてしまったんだ
目を閉じたら、ジャンさんが今にもナイフを突き立てて、私の首目掛けて横に一振しそうで…
本の紙を1枚めくるように、髪留めを解くように、いとも簡単に斬ってしまいそうな幻覚に襲われそうで……
首に当てた手ですら冷たい
まるで喉に何かが詰まっているように、苦しい
「っま、別に死にたいならいいけど。」
「っ……」
「せいぜい足掻いて見せてよ。オレ、アイツが苦しむ姿見たいんでね。んじゃ、おやすみ。」
廊下へと向かう瑞貴さんは、ぼやける私の視界から消えて行った
静まり返るリビングでひとりで震える私は、その硬くなった脚で立ち、苦しい胸を抑えて歩いた
浅くなった呼吸は、私の頭を刺激して苦しめる
薄っすら見える臼田さんに近寄って、そっと手を握った
すがるみたいに両手で包み込んで、ベッド脇に腰掛けた
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「いっそ、全部夢だったら…」
夢で終わらせられた、こんな悪夢もう見たくないで片付けられた
温もりのあるこの手も、さっき聞いた話も、私が今まで経験した人生も、全部全部本当で現実だから辛い
熱くなった目元を無視して、私はベッドに頭を置いた
忘れたいと願って目を瞑って、ぎゅっと臼田さんの手を握る
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