逍遙の殺人鬼

こあら

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笑顔じゃない顔を見たのは少ない方だ
いつも優しい顔で、私を助けてくれた
それがギュウ君だった

「なんで…」って、怒ったような、悲しいよりも辛いに近い表情作ってる
眉は下がり気味だし、何だか目も湿って見えた

「…なんで、言わなかったんだ。」

「ごめんなさい…。ギュウ君はただ、巻き込まれただけだから…。恨むなら、私を恨んでくれて良いよ……」

「そうじゃない!なんで…そんな辛いこと、1人で背負ってるんだって言ってるんだよ。」

「…え、それは」(どういう意味?…)

こんなギュウ君見たことない
少し声を荒げて、何故なんだと私に問う

言ってもしょうがないし、聞けばいい気分になる話でもない
私が体験した話を笑って話せたらいいけど、…今の私ではそれは難しい









「"1人で"って言われても…」

「俺は、ちさにとってその程度の存在なのか…?」

「こんな話聞いても気分悪くするだけでしょ。何でそんなに怒ってるのよ」

「腹が立ってんだよ!何も知らずにいた自分に。」

(何も知らないなんて…当然じゃん、話してないんだもの。)

全てを彼に話した
今まで私がどこに居て、どんな風に生きてきたか
当然、ギュウ君は最初顔をしかめて飲み込めずにいた
でも私が話進めて、完璧ではないけれど大体の状況を理解してくれた

私が過去にどんな目にあったか話した時、今までにないくらい苦しそうな顔をして見せた
気分が悪いだなんてものじゃない
不愉快極まりない話した

「私が何とかギュウ君だけは見逃してもらえるように説得してみるから、」

「いや、待てよ。何だそれ、俺に黙って帰れって言うのか?」

「ここに居ても良いことなんてないんだよ?ギュウ君は普通に生きる権利がある」

「ちさだってそうだろ。」

「なにを…」

「俺も手伝う。」

_____えっ………

聞き間違いでしょうか…
いいえ、彼は確かに"手伝う"と言いました

何を手伝うの?
私なにか彼に手伝ってもらうような話したっけ?
そんなに手伝ってあげたくなるような話…してないよ?

「俺も、手伝う。」

「いや…ちゃんと聞こえてたけど……」

「どうせカジノには戻れない。行くアテもないし、ちさの側に居たいしな。」

「そう言えば、あの場所カジノで食べたチョコレート…」

「ルタスのチョコか?」

「うん…。あれ食べてから何か変な感じになったんだよね」

自分が自分でないような…
楽観的になって、ずっとあのままでいたくなるような気持ちになった

私と臼田うすたさんでいっぱい食べてた
カジノのお姉さんが沢山くれるから、美味しかったし、食べた

もしかして…あのチョコレートが原因で私と臼田うすたさんは吐き続けてたのかな…
いや、その可能性は高い

「あのチョコレート、従業員は食べれないやつなんだよな。」

「そうなの?でも、どうして?沢山あるみたいだったけど」

「三郎さんが言うには、あれを食べるとカジノから出たくなくなるみたいなんだ。」

「チョコを食べただけで?どうやったらそんなことできるの?」

「さあ?俺は下働きだし、そんな事知る立場じゃなかったから。」

チョコレートは確かに美味しい
でも、食べただけでお店から出たくなくなるなんて、そんな魔法みたいな話聞いたことない
だいたい、お菓子1つでそんな事できるなら、世の中そう言うモノで出回ってるはず

(それとも私が知らないだけで、それが普通なのかな…)

私の好きな"食"というものを利用するなんて、信じられない
もし、ギュウ君の言う通りで、チョコレートを食べたことで何らかの影響が出て、変な感じになったとしたら…
それは許されることじゃない
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