逍遙の殺人鬼

こあら

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「ちーちゃん、出たの?」

「あ、春さん」

「サッパリした?…ひさしは、どーしたの?」

「あー…、その…多分大丈夫です」

お風呂から出たと分かった春さんは、私の部屋に入って来るなり臼田うすたさんが下を向いて固まっている姿を見て「何してんの?」と言った
私がキスしたからとは言えず、誤魔化してその場をやり過ごすしか無かった

私からキスした…それを認知したら物凄く恥ずかしくなった
でも何とく臼田うすたの言っていた事が分かった気がする
照れる顔が可愛いなって思わせるその仕草がを見たいと、思わず意地悪してしまう
(するのは良いけど、いざされると…)









「ねぇちーちゃん、当分泊まるらしいから。」

「誰がですが?」

「全員よ。」

「っえ、臼田うすたさんと瑞貴さんとジャンさんですか?まあ…私は大丈夫ですけど」(春さんの方が問題あるんじゃ…。)

昨日みたいに喧嘩したりしないかな…
朔夜さんと毎日の様にしているのに、瑞貴さんとも喧嘩したりしたら止めるの大変だよ……

(泊まりか…みんな酔ってたけど、元々泊まる予定だったりして)

春さんは、もしかしたらジャンさんと臼田うすたさんにだけ優しかったりしたのかも知れないと思ったけど、オネエさま方とも問題なく接していたから、やっぱり朔夜さんと瑞貴さんピンポイントでダメなんだと理解した

「あれ?みなさんどこか行かれるんですか?」

「ラストベガスに行く。そこに残党が居るらしいからな。」

「”ラストベガス”?”残党”って……」(さっき話してた事に関係があるんじゃ…)

それなら………それなら私も行きたい…
私だって手伝える
いや、手伝いたい

それに…って言ってたけど、どういう事なんだろう

「私も行きたいです!」

「は?」「え?」「はぁ?」「あ…。」

「私も、一緒に連れて行ってください!!」

「何言ってるのちーちゃん!カジノで遊ぶ訳じゃないのよ!」

(”ラストベガス”ってカジノだったんだ…。)「分かってます。でも、私も何かお手伝いしたいんです。みんなさん頑張ってるのに、ひとりで待ってるなんて…出来ないですよ」

荷物持ちでも買い出しでも何でもやります
真実が知りたいだけなんです
みなさんと行動を共にすれば、いつか分かる日が来るかも知れない

私が逃げたのは間違いではないと証拠が欲しい
私の存在が無いという理由が知りたい

私が居た施設は普通では無かったと
一体何の目的で人を売っているのか……知りたい

「良いんじゃね、行きたいって言ってんだから自己責任でしょ。」

「はあ?良い訳ないでしょ!ジャン、ひさしもなんか言いなさいよ。」

「僕は己の欲に負けてしまったので黙秘します…。」

「何言ってんの?ジャン、ちーちゃんをカジノなんかに入れちゃダメよ。」

春さんは必死に止めている
そんなに危ない所なのだろうか?

カジノとは、スロットやカードゲーム・ルーレットなどを備えた施設のこと
なら、そんなに怖いところには思えないのだが……

それでもお願いした、邪魔だけはしませんからと
そしたらジャンさんは口を開いた
臼田うすたさんに「18から入れたよな?」と確認した

「"ラストベガスの入場は18歳未満はお断りしています。"ってなってるから…入ることはできるけど…。」

「なら問題はないんじゃないか」

その言葉に思わず目が輝いた
そんな私とは対照的に春さんは頭を抱えてげんなりしていた
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