逍遙の殺人鬼

こあら

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臼田うすたさんの吐息と肌に当たる唇の感触がくすぐって、私に似つかわしくない声が漏れる
それは逆に彼を煽るものだったようで、当たっていた物は口付けするみたいに優しく首にキスをしだした

「っう、臼田うすたさん!?」

「何もしないから、もう少しだけこのままでいさせて。」

「っでも!」

「シー。大きな声出したらみんなにバレちゃうよ?」

そうだけど…そうですけど、この状況はかなり……宜しくないのでは!?
"何もしない"って言ったのに、キスを辞めないのはどうして?

私の肌に接触する臼田うすたさんの唇から出る音が何とも鄙陋ひろうなこと
その音にいちいち反応してしまって、彼が触れた部分が熱い









「…っぅ、臼田うすた…さん……」

「…ん?っあ、ごめんね。ちょっといじめ過ぎたね。」

臼田うすたさんがいじめるなんて思いませんでした…」

「僕もちさちゃんにいじめられた。こんないい匂いさせてさ、部屋に連れ込まれて何もするなって言う方が無理だよ。」

「っわ、私は…ただ、話がしたくて…。そんなつもりじゃ……」

そんなつもりではなかった
誰にも邪魔されず、ちゃんと話をしたくて部屋に案内しただけだ

いい匂いなのは、お風呂入りたてなだけだ
24時間365日、毎日良い香りがする訳ではないんだ
だからきっと、臼田うすたさんは騙されているんだ
私がいい匂いだと思い込まされているだけだ…
(お風呂入る前なんて、呑んでもいないのにお酒臭くて酷かった…。)

臼田うすたさんは、抱き締める腕を緩めて放してくれた
そして、そっぽ向く私の顔を確認しては「ゆでタコさんみたい。」と笑っている

「私だけやられたみたいで、何だか微妙な気持ちです…」

「あはは、それでむくれてるの?可愛いけど。」

「むくれてません、元々こういう顔なんです」

「そうかな?ちょっと照れた顔が好きなんだけど、ね?」

"ね?"って!
顔傾けて"ね?"って、ずるすぎませんか!?
その仕草、可愛すぎます…そう、叫びそうになった

何処までも予想の上を行く臼田うすたさんは、落ち着く為に下を向く私を覗き込むように移動して、下から「ね?」とまたあざと可愛い事してくる

この人はきっとわざとやっているんだ
私が少し困った顔して、真っ赤にする様子が面白いから
それすら"可愛い"と言って、また煽るんでしょ
私がそんな言葉を受け流したり、はいありがとうと受け入れたり出来ないと知っていて、本当に意地悪だ

だから私も意地悪を仕返した
ベッドの縁に座る私を覗こうと、目の前に座って居る彼に向って仕掛けた意地悪は障害物無く行えた

ッチュとひと音ならして離れて、臼田うすたさんの顔を見てどうだとベロを少し出した
まさか私からするとは思わなかった臼田うすたさんは、突然の事過ぎて思考停止している

「…ちさ…ちゃん、」

「さっきの仕返しです」

大きな目がまん丸になった
顔こそ赤くならなかったものの、彼は座る私の足に顔を埋めて「やられた~」と叫んだ
そして、下を向くを臼田うすたさんの耳は赤かった
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