逍遙の殺人鬼

こあら

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「(スマホに)変な事してませんよね…?」

「何だ?やましい事でもしていたのか?」

「してませんけど!…、それより…手帳早く返してください」

「まだ駄目だ。今は返せない。」

""!?!?
まだって何?今はって何ですか!?

そもそも朔夜さんのじゃないですよね?
なのに、どうして返してくれないんですか…

まだってどうしてですか?と問う私に「さー、仮眠仮眠。」と逃げて行く
なんと…ズルい……
私も貴方の部屋を粗探ししますよ

(……絶対にしないけど…。)

はぁ…とため息こぼして、私も部屋に帰る
ボフッとベッドに倒れ込んでスマホを確認した
確かに臼田うすたさんから着信が来ていた
それも2回も

もしかして、うるさくて止めに来たのかな?と思ったけど、それでも部屋に入って人の物を窃盗するのは理に適っていない
臼田うすたさんも、2回も電話して来るなんて…もしかして重要な話だったのかな?…
そう思って、折り返しした









「もしもし、臼田うすたさん?ごめんなさい、2回も着信あったみたいで…」

『ちさちゃん電話に出てくれなかったから心配した』

「っぇ!?ごめんなさい…。私スマホ持ち慣れてなくて」

『うそうそ、まぁ半分本当だけど。何となくそうだろうなーとは思ったよ』

電話越しでも分かる柔らかな声
その声を聴くと、やはり心が落ち着く
少し高い声だけど、高すぎず私よりも低い声が何とも聞き取りやすくって心地良い

寝る前の電話って、こんなに楽しい物なんだと初めて知った
他愛もない会話
今日何食べたとか、何をしていたとか、何を見て何を感じたとか
まるで報告しあってるみたいだったけど、会えていないせいかそれが嫌ではなかった

「今日は散々でしたよ…。朔夜さんが急に"デートだ!"って言って、あちこち連れ回されました…」

『えーー、何それー。ズルいズルい、僕もちさちゃんとデートしたいのにズルい』

「でも…楽しくなかったです。前に、臼田うすたさんと行った所の方がデートらしかったです」

『あ!僕たちが初めてキスした所?』

それを言われると返事をしづらかった
っソ…ソウデス…。と片言で返事をする私に、『うわー、今絶対可愛い顔してるー』と更に煽り立てた

ちさちゃん今顔真っ赤でしょ?と聞かれ、そんなことないですよと言いながらも、ちゃっかり鏡で確認すれば確かに赤かった…
電話で話して顔を見ていないはずなのに、お見通しとはお恥ずかしい

あんまりそういう事言わないでください…と伝えているのに、『でも、あの時のちさちゃんすっごく可愛い顔してたよ』と止まってくれないから、誰も見ていないのに顔を隠した
 
『好きだなー、何言っても可愛い反応するんだもん。あ、他の人にしたら駄目だよ』

「そんなの自分じゃ分かりませんよ。それに、私…そんなに顔に出てますか…?」

『すぐに顔に出る、でもそれが可愛い所だよ。可愛過ぎで他の男に手出されないか心配』

「そんなまさか…。私に手を出そうと思う人なんて、居ませんよ」

ハハハ…と笑う私に臼田うすたさんは真面目な声で言った
『僕は出したいと思ってるよ』と、乾いた感じに笑っていた私は、それを聞いた瞬間心臓がドキッとした
サラっと…よく言えるな
冗談ぽくない冗談は心に良いように響いた

冗談…、そう呟いてみるも『冗談なんかじゃないよ』って言うからまた心臓がドキッとした
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