逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
上 下
220 / 333

221

しおりを挟む
ポツンとひとり、カウンター席の椅子に座っている
いや、"ひとり"と言うのは語弊があるかも
周りに人は居るし、客観的に見たら1では無い

_____だけど…周りについていけていない私は、ポケーっと座っていることしか出来ていない

「ちょっとママー!タオル貸してー。桃ちゃんがワタシの顔に牛乳吹いたのー」

「コレで拭けば?」

「あら春ちゃん、ありがとー…って、これダスターじゃないの!!もぉー」

「あーら失礼、間違えました。ほらほら、もうすぐ開店時間よ!準備準備。」

いつぞやのオネエ?さま方がぞろりぞろり…
お化粧をしたり、軽く食事をしている
春さんは1度着替えて、なんともゴージャスなドレスを着て登場した
やはり女性なのでは?って、脳内で混乱してしまう









「はい、オレンジジュース。」

「っあ、すいません。ありがとうございます」

「良いのよ。今日は見学なんですって?ママ張り切っちゃうわ。」

「お邪魔じゃありませんか…?お忙しいのに…すいません」

「あらあら、そんなに重く考えなくていいのよ。オカマの集ったスナックみたいなものだから。」

スナック…バーでは無いのか
って事は、接待?みたいな物があるってことかな?

オレンジジュースを飲みながら、あたふた忙しそうにしている従業員さん方を見てみる
失礼ながら…ダントツで春さんが1番かも、とか考えてしまう
いやいや…キャバクラでは無いのだからって、よく知りもしない事を思ってしまう

「そうだわ!ちょっと味見してくださる?」

「私なんかで良ければ。…うん、とても美味しいです!」

「そお?でも何か物足りなくなぁい?味は変ではないんだけどねー。」

「そうですね、お味噌を入れてみてはどうでしょうか?コクと言うか、少し凝った感じの味になると思います」

そう言うと、ママさんは「そうね!入れてみましょう!」とイヤな顔せずに、私の意見を聞き入れてくれた
どうやら味の方も満足いったみたいで、美しい顔からウインクを頂いた
ママさんが元男性だなんて、言われるまで気づかないし信じられない

その後も料理についての談笑が少し続いた
砂糖の代わりに蜂蜜を入れてみたり、リンゴを浸けた醤油で野菜を炒めると美味しいなど、ちょっとした話でさえママさんは楽しそうに聞いてくれた
流石ママと言った感じで、聞き上手とはこの事だ

「ブロッコリーの茎も醤油・砂糖・ダシを加えて炒めて、最後に白ごまを振り掛けた物が美味しくて、個人的にも好きな料理です」

「確かに、茎っていつも捨ててて勿体無いと思っても中々料理出来なくて困ってたのよね。工程も簡単だし、チャレンジしてみるわ。」

「お役に立てて嬉しいです!!」(こんな私でも、喜んでもらえた)

「本当に助かる。良かったらお店で一緒に料理しない?」

っえ!!!???何その嬉しい申し出
そんな事、受け入れていいのですか?
はい!喜んで!!!!!………と、言いたい所を抑えて、抑えて…

春さんに聞いてからじゃ無いと…と、惜しい気持ちを押し殺して、一旦保留にしてもらった
まあ、きっと春さんならOKいいよって言ってくれると思うけど、ちゃんと報・連・相!しないとね

春さんが暇になった時に話そうと思ったけど、中々そんな機会は巡ってこないみたいだ
他の従業員さん方に指示を出して、テキパキと開店準備に勤しんでいる
それを邪魔してまで頼み込む事は出来ない

「あら朔ちゃん、珍しい来店は嬉しいわ。」

「何かメシある?」

「丁度今良いのがあるわ。ちーちゃんのおかげよ♪私も春ちゃんのマネっこしちゃった。」

「ウマけりゃ何でもいい。」

朔夜さん何でここに居るんだろ…って、これまた失礼な疑問を抱いてしまってすいません
でも、超絶楽しい時間を過ごしていたのに、また難癖付けられたら溜まったもんじゃない…
そんな思いで、隣に座る朔夜さんをじーっと見ていると「俺はメシは作れん。」と、脳内を見られたみたいに応えてくるから、両目が点だ

そうなんですね…っと視線をずらして、オレンジジュースを飲んだ
「朔ちゃん放火魔並みに燃やし散らかすものね。」と、ママさんの言葉に思わずオレンジジュースが吹き出そうになったのを必至でこらえた
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...