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失言だった
言わなくていい事なのに、八つ当たりするみたいに言ってしまった言葉は、無かったことには出来ない
言ってしまった言葉の責任から遁辞したくなる気持ちに背中を押されて、出口へと足早に向かっていた
(最悪、最悪…なんで言っちゃったんだろう…。)
落ちかけた涙を拭って、惨めな姿を隠そうとした
でも、それは不本意ながら阻まれることになった
「っあ!ごっめん。ちーちゃん大丈夫?」
「っ大丈夫、です」
「あれ?…なんで泣いてるの?」
「何でもないんです!ちょっと目に…ゴミが入っちゃって、すいません」
心配する春さんをその場に置いてカランッと鐘を鳴らし、私はバーを出た
階段を駆け上がって、家に入った
誰にも見られたくない
そんな思いから、自室に走って向かった
ベッドに倒れ込むようにして横になったけど、その一連が耳障りだったのか朔夜さんから「おい女、静かにしろ!」と苦情の声が聞こえた
仕方ないじゃないか
こんな泣きっ面を晒したくなかったんだから…
あんな事言うんじゃ無かったと、何度も何度も心の中で言った
この叫びたい気持ちを抑えて、何かを発散させたい欲に駆られて、ベッドの上で藻掻く様にジタバタして枕を下に顔を押し当てて、声にならない叫びをブチかました
なんて言ってるのか、そもそも日本語?ってぐらい自分でも分からない言語で叫んでた
自分へのもどかしい気持ちや何であんなことばっかやらかしちゃうんだろうって、叫んだつもり
………なのに、ちっとも心のモヤモヤは消えやしない
「女!!静かにしろって言っただろ!!」
「…ノックしてください」(プライバシーの侵害です…)
「女、何を死んだ様にしている。毛布は体に掛けるのであって、頭に掛けるものではないぞ。」
「だから、ノックしてください。もう一度扉を閉めてからどうぞ…」
そう言う私に「はあ?」っとごもっともな反応を見せる割には、素直に扉を閉めてコンコンッとノックした
あら作家さん、あなたそんなに素直な方だったんですねとか、これまた失礼なことを思ってしまった
申し訳ないけどそんな素直な方を相手にできる程、今の私はコンディションが宜しくない
起こさないで下さい…とノックへの返事をした
「ここはホテルか!」となんとも嶮しげな声で入って来た
頭に毛布を掛け続けている私の元へ近付く足音がして、バサッと音を立てて毛布を引き剥がされた
顔面を枕にめり込まらせている私は、お帰りを…と何とも聞きにくい声で伝えた
「そんなにしんみりしていると女、頭にキノコが生えるぞ。」
「そしたらそのキノコを炒めて食べます。朔夜さんも食べますか?」
「食べるか!おい女、何をそんなに…落ち込んでいるんだ。」
「落ち込んでません。これが通常モードなんです」
「変わった習慣だな。って、女!血が出てるぞ!!」
少しは空気を読んでひとりにしてくれないものかね…
おい!と動く気のない私の肩を揺さぶって呼び続ける朔夜さんに負けて、体を起こした
ここ!ここ!と指差す所は先程振りかざされた場所で、確かに僅かな血が滲み出ていた
(この程度で騒がられても…)
女!と更に叫ぶ朔夜さんは、急に手を伸ばして来た
心ここに有らずと言った私は、その出来事にッハとした
「女、首からも血が出てるぞ!!」と荒ぶれて見難くしていた髪を退かすと、確認しようと首に触れてくる
それもジャンさんにやられたものだけど、それを説明する前に朔夜さんに血!血だ!と騒ぎ立てられた
言わなくていい事なのに、八つ当たりするみたいに言ってしまった言葉は、無かったことには出来ない
言ってしまった言葉の責任から遁辞したくなる気持ちに背中を押されて、出口へと足早に向かっていた
(最悪、最悪…なんで言っちゃったんだろう…。)
落ちかけた涙を拭って、惨めな姿を隠そうとした
でも、それは不本意ながら阻まれることになった
「っあ!ごっめん。ちーちゃん大丈夫?」
「っ大丈夫、です」
「あれ?…なんで泣いてるの?」
「何でもないんです!ちょっと目に…ゴミが入っちゃって、すいません」
心配する春さんをその場に置いてカランッと鐘を鳴らし、私はバーを出た
階段を駆け上がって、家に入った
誰にも見られたくない
そんな思いから、自室に走って向かった
ベッドに倒れ込むようにして横になったけど、その一連が耳障りだったのか朔夜さんから「おい女、静かにしろ!」と苦情の声が聞こえた
仕方ないじゃないか
こんな泣きっ面を晒したくなかったんだから…
あんな事言うんじゃ無かったと、何度も何度も心の中で言った
この叫びたい気持ちを抑えて、何かを発散させたい欲に駆られて、ベッドの上で藻掻く様にジタバタして枕を下に顔を押し当てて、声にならない叫びをブチかました
なんて言ってるのか、そもそも日本語?ってぐらい自分でも分からない言語で叫んでた
自分へのもどかしい気持ちや何であんなことばっかやらかしちゃうんだろうって、叫んだつもり
………なのに、ちっとも心のモヤモヤは消えやしない
「女!!静かにしろって言っただろ!!」
「…ノックしてください」(プライバシーの侵害です…)
「女、何を死んだ様にしている。毛布は体に掛けるのであって、頭に掛けるものではないぞ。」
「だから、ノックしてください。もう一度扉を閉めてからどうぞ…」
そう言う私に「はあ?」っとごもっともな反応を見せる割には、素直に扉を閉めてコンコンッとノックした
あら作家さん、あなたそんなに素直な方だったんですねとか、これまた失礼なことを思ってしまった
申し訳ないけどそんな素直な方を相手にできる程、今の私はコンディションが宜しくない
起こさないで下さい…とノックへの返事をした
「ここはホテルか!」となんとも嶮しげな声で入って来た
頭に毛布を掛け続けている私の元へ近付く足音がして、バサッと音を立てて毛布を引き剥がされた
顔面を枕にめり込まらせている私は、お帰りを…と何とも聞きにくい声で伝えた
「そんなにしんみりしていると女、頭にキノコが生えるぞ。」
「そしたらそのキノコを炒めて食べます。朔夜さんも食べますか?」
「食べるか!おい女、何をそんなに…落ち込んでいるんだ。」
「落ち込んでません。これが通常モードなんです」
「変わった習慣だな。って、女!血が出てるぞ!!」
少しは空気を読んでひとりにしてくれないものかね…
おい!と動く気のない私の肩を揺さぶって呼び続ける朔夜さんに負けて、体を起こした
ここ!ここ!と指差す所は先程振りかざされた場所で、確かに僅かな血が滲み出ていた
(この程度で騒がられても…)
女!と更に叫ぶ朔夜さんは、急に手を伸ばして来た
心ここに有らずと言った私は、その出来事にッハとした
「女、首からも血が出てるぞ!!」と荒ぶれて見難くしていた髪を退かすと、確認しようと首に触れてくる
それもジャンさんにやられたものだけど、それを説明する前に朔夜さんに血!血だ!と騒ぎ立てられた
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