逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
上 下
192 / 333

193

しおりを挟む
Life being what it is, one dreams of revenge
生きるとはどういう事か、復讐の夢を見る事である

ウジェーヌ・アンリ・ポール・ゴーギャンの言葉で、私の好きな作家さんの作品"本当の男"のカバーに小さく描かれた言葉
どういった経由で、この言葉を選んだのかは分からない
でもこの言葉を読んだ時、不思議と納得してしまった

なんの為に生きてるんだろ?って考えることもあった
やりたい事なんてない
夢なんてものもない、生きる意味って…て思った

…その為に生きる
おかしいと思ったけど、何とも言えない説得力があるように感じだ
皆そうなのかもって思ったら、心の重しが少し軽くなった気がしたんだもん

臼田うすたさんも春さんも、透さんもギュウ君も…そしてジャンさんもそうなのかもって、今では思う









春さんが言った言葉が少し心に引っかかる
ナツさんとやらのことが……好きだと
気になってしまう…

だから聞こうと、その人って…って言い始めてジャンさんが現れた
驚いた
何でここに居るんだろって思ったし、それにクリスチャンとしてではなくとして会うのは久しぶりだったから

相変わらず怠そうなかおで金髪の少し長い髪を後ろで1つに結んでいる
その姿はクリスチャンさんとして見慣れていたはずなのに、今はどこかもどかしいくらい慣れない

「それじゃジャンも来たことだし、アタシは一旦アイツのとこ行ってくるわ」

「え、っは、春さん?」

「ちーちゃんが居ることをもう一度念押ししてくる。アイツ俺の話聞いてねぇから、絶対忘れてる」

「あの…でも、」

片言に春さんを呼び止めようとするもんだから、全然伝わらず行ってしまう
若干苛立ちを感じる声色にも聞こえた
きっと知人の方があまり好きでは無いんだろうと分かった

でもそんな事よりも、今目の前に佇むひとりの男
ジャンさんに困っている

金髪になった髪はより彼のことを日本離れした別人へと促し、ジャンさんと私との距離感を広げようとしてくる
笑っていない顔
怒っても、愁いてもいない表情でただ私を見ているだけ
何も言ってくれはくれないせいで、緊迫感が半端じゃない
その空気を変えたくて、切り出したのは私だった

「…お元気……そうですね」

返答はなかった
無視された…
それに、ゆっくりと、確実に私の方へと歩み寄って来る

「髪も…金髪に変えたんですね」

「…」

「っも、もうすっごくビックリしましたよ。まさかクリスチャンさんがジャンさんだったなんて、」

「…」

「ハハハ……。」(黙ってないで……何か言ってよ…)

私の言葉なんて聞こえないみたいにスルーして…本当に酷い人だ
威圧感を纏って、その光の消えかけた瞳で私を捉える
この感覚、凄く久しぶりだ

私とジャンさんとの距離は短く、彼の顔を見る為に視線は上へと向かう
その高身長のせいで、忘れかけていた首の凝りいたみは再発しそうだ
ジャンさん…?そう呼びかけているのに、どうして彼は口を開いてはくれないんだろう

ジャンさんは私の姿を全身見れば、何も言わないまま私の手首を掴んで引いた
その不意の勢いに負け、身体はジャンさんの後ろをついていく
(せめてなにか言ってよ…)

私が心にも無い笑いなんかしたから、ジャンさんの気分を害したのかな?
私が見てすぐに、クリスチャンさんはジャンさんだと気付かなかったから…
いつまでも、うじうじしているから……怒ってるのかな?……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...