逍遙の殺人鬼

こあら

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私は今までジャンさんのことを勘違いしていたのかも知れない
違う名前を使っていたから、てっきり偽名を使っているんだと思い込んでた

春さんの話を聞くまで、ずっと詐欺師だとか思っていた
口にしたことこそないけど、失礼極まりないことだ…

「"自分の名前が嫌い"なんだとよ。まあ、嫌ならって呼びでここまで来たって感じ」

「どうして、そんなに嫌なんですかね…」

「さあ?そんなに興味ないし、ちーちゃんが直接聞いてみれば?」

「答えてくれませんよ…嫌われてますから……」

あの冷めた目
苛つくと言い放つかのように眉をひそめて私を見る
そんな私に、自分のことを話してはくれないだろう…









春さんとの会話は、ジャンさんの話から臼田うすたさんの話へと移動していった
私と臼田うすたさんが初めて会ったのは8年前
臼田うすたさんは傷だらけでごみの様に草むらに捨てられていた
大雨に打たれて、流血を促すように幼い彼に雨の粒が落ちていた

どうしてそうなったのか、春さんなら知ってると思った
本人の同意無く聞くのは良くないと思った
でも、今はすごく臼田うすたさんの事が知りたくて、どうしてあの時あんなに傷ついていたのか知りたくて、聞いてしまっていた

「8年前?そりゃまた、だいぶ遡るね」

「私…8年前に臼田うすたさんに会ってたんです。その時の臼田うすたさんは、すごく…傷だらけで…。何か知りませんか?」

「そーね、8年前…8年前。ひさしが12の時か。確かその頃だったかな、妹が亡くなったの」

「妹さんがいたんですか?知らなかった…」(でも、妹がどうとか言っていた気が…。)

「今生きてたらちーちゃんと同じ18だったと思うよ。2歳下って聞いたことある。それと、当時"少し荒れてた"ってジャンが言ってたな」

荒れてる?あの臼田うすたさんが?
はえも殺さなそうな人なのに、荒れてる時期があったなんて
12歳……反抗…期?

私の12歳の時はどうだったっけ
荒れてたかな?
ううん、今と変わんないや
人の顔ばっか気にして、独りで閉じこもってた

(私も人のこと言えないや……)

当時の私は10歳
臼田うすたさんの妹さんは私と同い年で、彼は12歳
ジャンさんは臼田うすたさんより3歳年上だから15歳で春さんと幼なじみ
高校1年生か中学3年生?

「当時の春さんやジャンさん見てみたかったな」

「もう家に着く。そしたら写真見てみる?まだ可愛い顔したジャンの卒アルもあるよ」

「…それは、是非見てみたいですね…。でも、勝手に見たりして怒られませんか?」

「アタシの写真を見るのにジャンの了承は要らないでしょ?そのにアルバムにあるジャンの写真を見るかもしれないけどね」

「あぁ…なるほど……」

春さんはサングラス越しに、とアイコンタクトしてくる
そうね…春さんの写真を見るだけだもん
その視界に昔のジャンさんの写真があるってだけ…

どうしてだろうか
ソワソワし始めてるし、心なしか楽しみにしている自分がいる
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