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春さんが待つ車の助手席に座ってシートベルトをした
お待たせしました…と頭を下げれば「熱々だったね~」と冷やかし混じりのコメントを頂いた
そんなんじゃわないです!って否定してみても、サングラスを着けたままニヤッと笑って「はいはい」とハンドルを握って車のライトを付けた
「本当に違いますって」
「若いって良いね~。青春青春」
「"若い"って…春さんも若いと思ってました」
「ジャンと同い年で幼なじみだよ。ちなみに、透さんとも顔馴染みなんだよ?知らなかったでしょ」
それは知らなかったが、まさかあのジャンさんと幼なじみだったとは…
よくご無事で今まで生きてこれましたね……
だからあの時ジャンさんは"昔は"って言ってたのか
幼なじみで、春さんの過去を知っていたから…すごく興味深い話ですね…
目的地に着くまで、車の中で春さんとの会話が盛り上がった
春さんは話し上手で、話が途切れることは無かった
しかも、楽しくって自然と笑いが溢れ出た
2度会っただけ
1度目は女性の姿、今は男性の姿と稀なことだけど、それすら気にならないくらい愉しませてくれている
同い年のジャンさんとは全然違う
多分全て春さんの素の姿で、本人は周りから好かれようとしていないけれど、物事を上手くまとめることが出来て分け隔てなく接するから慕われることが多いとみた
こう言うのをカリスマ性と言うのか…と激しく納得した
確かに臼田さんと似ている
けど、臼田さんよりも他人との距離感と詰め方を分かっている、そんな感じだ
(臼田さんがレベルアップしたらこうなるのか…)
「そうだ。家なんだけど、実はシェアしてる奴が居て話しはしといたんだが…」
「春さんのお友達ですか?」
「友達じゃない、ただの知人。仕方なく住まわせてるだけ」
「そう…なんですか。春さんとその知人の方が良ければ、私は大丈夫ですよ」
「ただ、そいつ面倒くさいんだよ。ジャンのダルさを100倍にした感じ?」
「え、それ相当ヤバくないですか?…」
まさか…その知人の方って、朝起きたら皿1枚割るのが習慣とか、トイレに行く度に便器を詰まらせたり、服を脱ぐんじゃなくて破く感じの人だったりするのかな…
だとしたら、幸先不安すぎる
それじゃ毎日その人を気にして生活しなきゃいけないではないか…
歩く度に、足音が煩いとか言われたら…私泣いちゃうよ……
そう考えを巡らせていると、自然と眉間にシワが寄った
その様子を横から見ては、クスクスと笑う春さんが居た
「ジャンをなんだと思ってるの?」と笑いを抑えながら問う春さんは、すごく楽しそうだ
"なんだと思ってる"って、簡潔に言うと…
「狐みたいな人ですかね…」
「え、狐?みたいな人?どうしてそこに行き着いた」
「ジャンさんって色んな人に嘘ついてるじゃないですか。透さんにはビルって名乗ったり、他にも林とか山本とか色々偽名使ってて、人を化かす狐みたいだなって」
「ジャンは偽名を使った事はないよ。ビルってジャンのミドルネームだし、林や山本なんかは旧姓で、使ってた時期はあったはず。多分変わったのを訂正しないままにしてるんだな」
「それって、ご両親が離婚されて…ってことですか?」
「そうそう。何回か離婚してんだよね、ジャンのお母さん。その度に苗字変わるから下の名前で呼んでたんだけど、"その名前で呼ぶんじゃねぇ!"って言われてさ。だから透さんはビル、俺はジャンって呼んでんだ」
お待たせしました…と頭を下げれば「熱々だったね~」と冷やかし混じりのコメントを頂いた
そんなんじゃわないです!って否定してみても、サングラスを着けたままニヤッと笑って「はいはい」とハンドルを握って車のライトを付けた
「本当に違いますって」
「若いって良いね~。青春青春」
「"若い"って…春さんも若いと思ってました」
「ジャンと同い年で幼なじみだよ。ちなみに、透さんとも顔馴染みなんだよ?知らなかったでしょ」
それは知らなかったが、まさかあのジャンさんと幼なじみだったとは…
よくご無事で今まで生きてこれましたね……
だからあの時ジャンさんは"昔は"って言ってたのか
幼なじみで、春さんの過去を知っていたから…すごく興味深い話ですね…
目的地に着くまで、車の中で春さんとの会話が盛り上がった
春さんは話し上手で、話が途切れることは無かった
しかも、楽しくって自然と笑いが溢れ出た
2度会っただけ
1度目は女性の姿、今は男性の姿と稀なことだけど、それすら気にならないくらい愉しませてくれている
同い年のジャンさんとは全然違う
多分全て春さんの素の姿で、本人は周りから好かれようとしていないけれど、物事を上手くまとめることが出来て分け隔てなく接するから慕われることが多いとみた
こう言うのをカリスマ性と言うのか…と激しく納得した
確かに臼田さんと似ている
けど、臼田さんよりも他人との距離感と詰め方を分かっている、そんな感じだ
(臼田さんがレベルアップしたらこうなるのか…)
「そうだ。家なんだけど、実はシェアしてる奴が居て話しはしといたんだが…」
「春さんのお友達ですか?」
「友達じゃない、ただの知人。仕方なく住まわせてるだけ」
「そう…なんですか。春さんとその知人の方が良ければ、私は大丈夫ですよ」
「ただ、そいつ面倒くさいんだよ。ジャンのダルさを100倍にした感じ?」
「え、それ相当ヤバくないですか?…」
まさか…その知人の方って、朝起きたら皿1枚割るのが習慣とか、トイレに行く度に便器を詰まらせたり、服を脱ぐんじゃなくて破く感じの人だったりするのかな…
だとしたら、幸先不安すぎる
それじゃ毎日その人を気にして生活しなきゃいけないではないか…
歩く度に、足音が煩いとか言われたら…私泣いちゃうよ……
そう考えを巡らせていると、自然と眉間にシワが寄った
その様子を横から見ては、クスクスと笑う春さんが居た
「ジャンをなんだと思ってるの?」と笑いを抑えながら問う春さんは、すごく楽しそうだ
"なんだと思ってる"って、簡潔に言うと…
「狐みたいな人ですかね…」
「え、狐?みたいな人?どうしてそこに行き着いた」
「ジャンさんって色んな人に嘘ついてるじゃないですか。透さんにはビルって名乗ったり、他にも林とか山本とか色々偽名使ってて、人を化かす狐みたいだなって」
「ジャンは偽名を使った事はないよ。ビルってジャンのミドルネームだし、林や山本なんかは旧姓で、使ってた時期はあったはず。多分変わったのを訂正しないままにしてるんだな」
「それって、ご両親が離婚されて…ってことですか?」
「そうそう。何回か離婚してんだよね、ジャンのお母さん。その度に苗字変わるから下の名前で呼んでたんだけど、"その名前で呼ぶんじゃねぇ!"って言われてさ。だから透さんはビル、俺はジャンって呼んでんだ」
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