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10月31日ハロウィンの日
シスターエリは、複数の切り傷と鈍的外傷により亡くなっていた
それを隠すように物置部屋の奥に追いやられ、放置されていた
研さんや三郎さんによって運ばれ埋葬された
生贄だと教会内はざわつき、不穏な空気が流れていた
最初に発見した私がやったのでは?と疑うシスターもいたけど、三郎さんが少なくとも数時間前に亡くなったと証言してくれたおかげで私は救われた
三郎さんに医学の知識があったことにも驚きだけど、シスターシオリがドッキリで言った"ずっと姿を見ていない"と言う事が事実だった事にも驚きだった
外部からは誰も呼ばず、お葬式は教会内で執り行われた
そこには埋葬された棺を見るクリスチャンさんの姿と、それを見ている通訳の人が居た
院長によって騒ぎ立てず、今夜は静かに過ごせと言われた
そのお言葉に従って私は自室に戻った
でもやっぱりひとりは怖くってシスターシオリを誘って入浴場へと向かった
ギュウ君に拭いてもらったとはいえ、やはり違和感が消えなかった
今でも鮮明に脳裏に写るシスターエリの骸が、私について離れてくれない
ひとりになるのも怖かったから子供みたいに付き添ってもらった
そこで知ったのはシスターエリも孤児だということ
親が教会に置き去りにして孤児になったせいか、人への接し方がうまく掴めなくなったんだとか…
その分他人には冷たくなってしまったんだとか…
そんな話を聞いたら余計悲しくなってしまうではないか……
人に冷たい人だから、嫌がらせしてくる人だから死んで当然とか…全然思えない…
「…明日、明日か……」(結局シスターシオリにも言えなかったな…。)
クローゼットの引き出しを開けて、ワンピースを広げてた
何故だか分からないけど、お風呂から上がったばかりの私はそれを着た
クローゼットの裏扉に付いた鏡に写る私は、あの時の私と変わらない様子に見える
髪も、元に戻りつつある
あの時と変わらない、結構経ったと感じていたのに不思議なものだ…
透さんに選んでもらった口紅と、貰ったスマートフォン
机の上に置いてみても、教会とは不釣り合いに見える
それをポケットにしまって、手紙の本を手に取った
「この本も返さないと、」
その瞬間、ドアノックの音がして思わずポケットに隠した
悪い事なんてしてない
衝動的なもので、無意識的なもの
はい?…、とドアを開けばいきなり口元に衝撃が走った
風圧とは違った力に逆らえず、部屋の中へと後退りそのままベッドへと押し倒された
やけに眠気を誘うそれはハンカチみたいな感覚で、口どころか鼻まで覆っていて、段々力が抜けていくのが分かった
霞む目で見えたのは、少し強面の男性と思われる知らない人だった
その不鮮明なものは靄がかかって、あっと言う間に見えなくたった
「……ツ…」(…なに。どうなってるの?………)
体が重い
手首に何かが絞まった感触があるし、足首にもある
動けないし焦点も合わないし、頭がボー…とする
動こうと思って脚に力を入れたら、縄なのか分からない紐状のものがめり込んで痛かった
自分が草の上に横になっている事と声が出ないように、口元を覆って縛られている事は分かった
でも、今と自室に居た間の記憶がすっぽり抜けている
いやそもそも存在していない
きっと眠っていたのだから
その予想は的中していて、現に今さっき起きたんだったと私の脳を叩き起こした
起床した脳でも、この状況を理解するには情報量が少なすぎて難解すぎた
草の上に居るということは外に居るという事
縛られ身動きの制限をさせられているという事は、誰かに縛られたという事…
記憶がないのはきっと、睡眠薬を嗅がされたということ
(誰がそんなことを?……)
そんな考えを巡らせていると視界の奥側から、見慣れない靴を履いた人が歩いてきた
確実に私の元に来ては止まり、しゃがんで私の前髪を掴んでは品定めするかの様に顔面を見渡された
毛根から引っこ抜かれるかと思うほど強く引っ張られたせいで、意識がハッキリした
シスターエリは、複数の切り傷と鈍的外傷により亡くなっていた
それを隠すように物置部屋の奥に追いやられ、放置されていた
研さんや三郎さんによって運ばれ埋葬された
生贄だと教会内はざわつき、不穏な空気が流れていた
最初に発見した私がやったのでは?と疑うシスターもいたけど、三郎さんが少なくとも数時間前に亡くなったと証言してくれたおかげで私は救われた
三郎さんに医学の知識があったことにも驚きだけど、シスターシオリがドッキリで言った"ずっと姿を見ていない"と言う事が事実だった事にも驚きだった
外部からは誰も呼ばず、お葬式は教会内で執り行われた
そこには埋葬された棺を見るクリスチャンさんの姿と、それを見ている通訳の人が居た
院長によって騒ぎ立てず、今夜は静かに過ごせと言われた
そのお言葉に従って私は自室に戻った
でもやっぱりひとりは怖くってシスターシオリを誘って入浴場へと向かった
ギュウ君に拭いてもらったとはいえ、やはり違和感が消えなかった
今でも鮮明に脳裏に写るシスターエリの骸が、私について離れてくれない
ひとりになるのも怖かったから子供みたいに付き添ってもらった
そこで知ったのはシスターエリも孤児だということ
親が教会に置き去りにして孤児になったせいか、人への接し方がうまく掴めなくなったんだとか…
その分他人には冷たくなってしまったんだとか…
そんな話を聞いたら余計悲しくなってしまうではないか……
人に冷たい人だから、嫌がらせしてくる人だから死んで当然とか…全然思えない…
「…明日、明日か……」(結局シスターシオリにも言えなかったな…。)
クローゼットの引き出しを開けて、ワンピースを広げてた
何故だか分からないけど、お風呂から上がったばかりの私はそれを着た
クローゼットの裏扉に付いた鏡に写る私は、あの時の私と変わらない様子に見える
髪も、元に戻りつつある
あの時と変わらない、結構経ったと感じていたのに不思議なものだ…
透さんに選んでもらった口紅と、貰ったスマートフォン
机の上に置いてみても、教会とは不釣り合いに見える
それをポケットにしまって、手紙の本を手に取った
「この本も返さないと、」
その瞬間、ドアノックの音がして思わずポケットに隠した
悪い事なんてしてない
衝動的なもので、無意識的なもの
はい?…、とドアを開けばいきなり口元に衝撃が走った
風圧とは違った力に逆らえず、部屋の中へと後退りそのままベッドへと押し倒された
やけに眠気を誘うそれはハンカチみたいな感覚で、口どころか鼻まで覆っていて、段々力が抜けていくのが分かった
霞む目で見えたのは、少し強面の男性と思われる知らない人だった
その不鮮明なものは靄がかかって、あっと言う間に見えなくたった
「……ツ…」(…なに。どうなってるの?………)
体が重い
手首に何かが絞まった感触があるし、足首にもある
動けないし焦点も合わないし、頭がボー…とする
動こうと思って脚に力を入れたら、縄なのか分からない紐状のものがめり込んで痛かった
自分が草の上に横になっている事と声が出ないように、口元を覆って縛られている事は分かった
でも、今と自室に居た間の記憶がすっぽり抜けている
いやそもそも存在していない
きっと眠っていたのだから
その予想は的中していて、現に今さっき起きたんだったと私の脳を叩き起こした
起床した脳でも、この状況を理解するには情報量が少なすぎて難解すぎた
草の上に居るということは外に居るという事
縛られ身動きの制限をさせられているという事は、誰かに縛られたという事…
記憶がないのはきっと、睡眠薬を嗅がされたということ
(誰がそんなことを?……)
そんな考えを巡らせていると視界の奥側から、見慣れない靴を履いた人が歩いてきた
確実に私の元に来ては止まり、しゃがんで私の前髪を掴んでは品定めするかの様に顔面を見渡された
毛根から引っこ抜かれるかと思うほど強く引っ張られたせいで、意識がハッキリした
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