逍遙の殺人鬼

こあら

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花束で口元を隠して歩いている
自分で塗ったくせに、それを後悔するみたいに恥ずかしさでパンクしそう
ジャンさんに見られたくなくって、若干顔を逸している

(手を繋いでいるのに、なにを今更…)

バカバカと自分自身に苛立つ
なら塗らなきゃいいのに!と心の中で怒鳴ってみても、もう手遅れ

「足元、気をつけろ」

「へ?」

「揺れるから」

「あ、は、はい!そうですね。」

考えることに夢中で、全然周りを見てなかった
いつの間にか湖に来ていて、ボートへと促されていた

差し出された手を取りボートに乗り移るが、揺れによって体勢を崩し、彼に抱きついてしまう
ごめんなさいっ、と離れるがそれによって更に揺れるもんだから結局彼に支えられる

何をしているんだ私は…
落ち着け!!!!!!!









ギィ…と彼がオールを漕ぎ湖を進んで行く
不安定なボートは水の流れを操りきれずにいて、波紋を乱雑に作り上げていく
それを見ているしかない
だって、彼と向かい合わせに座ってるんだもん

ちゃぷっと水の静かな音が私をさらに緊張させていく
心なしか瞬きの数まで多くなってしまう

上を見上げると空はすっかりブルーベリーのように暗くなっている
小さな星たちが輝いていて、こんなに綺麗に見えたのは初めてだった

「…黙れ」

「っえ?」

「いや、あんたじゃない」

「瑞貴さん達ですか?今度はどんな要求ですか?」

なになに?と軽く聞いたつもりが、ジャンさんは少し顔を曇らせてた
オールから手を離しては、頭をかいて困ったような顔をする
そんなに無茶な要求でもされたのかな?

「あんたは嫌がること」とだけ言って黙ってしまう
"嫌がること"…そんなの沢山ありすぎて、逆に分かりにくい

「簡単にいったら"恋人らしくする"こと 」

「…えーっと、つまり何をすれば?…」

「あんたは何もしなくていい。ただ身を任せてくれれば、」

そう言うと、ジャンさんは少し身を寄せボートが少し揺れる
月明かりに照らされた彼の瞳は驚くほどオリーブ色に輝いていて、それから目が反らせない
近づく彼と比例して私も後ろに後退るが、回された手によってそれは阻止され、口づけをしてくる

少し傾け、柔らかな唇を当ててくるジャンさんの肩を叩くが、手首を捕まえると優しく下に降ろす
強引に口を開かすわけでも、かき乱すわけでない
ただ這わせてくるだけ

んん!と籠もる叫びを塞がれている口から出すが、ジャンさんは離すどころか背中を押すみたいに圧をかけ、身体を密着させてくる

何故か呼吸ができず苦しい
鼻は塞がれていないのだから、鼻呼吸すれば良いのだが今の私にはそんな余裕が無い
呼吸ができていない私を見かねたジャンさんは、唇を離すとそのまま首へ移動させ、首筋に口づけをしてくる

「っんジャっ、ジャンさんっ…」

「ん」

「っや…」

生暖かい感触を首筋で感じる
若干肩元の襟を引っ張っては、口づけをする範囲を広げてくる

急に何をするのかジャンさんは、そのまま後ろに追いやりボートの寝るには似つかわしくない感触を感じる
揺れるボートに煽られ、私は身を竦ませた
呼吸は荒くなり、心臓は爆発するのでは?と思わせるほどバクバクと血液を巡らせている

彼はめくれ露わになった太ももに触れると、そのまま上へと滑らせ、パンツに到着する
それを下に下げ、片脚から外した

「っや、めて……」

「大丈夫だから力抜け。」

「やだ…ジャンさっ、やめて…お願いだから…」

怖い
それ以外の言葉が見当たらない
身体は強張り、目は涙で濡れ必死にジャンさんに懇願した
だけど、彼は止まらず阻むものがなくなったため、すんなりと指を入れてくる

不思議な感覚に襲われるが、恐怖が入り混じっていて強く目を瞑る
目尻から大量の涙が流れ出て行く
鼻呼吸なんてものは出来なくて、吐息混じりの口呼吸をするので精一杯だ

指が離されたと思ったらボートが大きく揺れる
目を閉じている私は、状況なんて把握できなくて苦しい

ひるがえした裾の隙間から手を入れては、腰元を捕まえてジャンさんは確実に侵入してきた
その瞬間、脳みそがグルッと回転するみたいな衝撃と、目の前に光が走るみたいに見えなくなった

「っ!?………ッイ!!っう…」

「!?…」

内側から壊すみたいに攻撃してくるそれは、卵を下に落とすみたいに破壊してくる
私は身体が痙攣けいれんしていて、小刻みに震えていることしか分からなかった
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