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なぜ私がジャンさんのことを好きじゃないのかと言う問いに、謎に盛り上がるスナックorオカマバーの皆さん
自分のことのように「私だったらずっと一緒にいるわ♡」とか語ってくる
春さんは「他に好きな子いるの?」と聞いてくる
"好きな人"とは…なんでしょう?
人としてなのか、男としてなのか
LIKEなのかLOVEなのか
「いない……ですかね…?」
「もしかして亀の方?」
「まさか!私なんかが…」(おこがましい…。)
そんなこと…と否定する
前に"可愛い"と言ってくれたことはあった
でもそれは褒め言葉であって、愛情表現じゃない
そんな恐れ多いこと……
「ジャンのどこがダメなの?あ、性格以外でね」
「え、」(性格って1番重要なポイントでは…?)
「ジャンのこと、どう思ってるの?」
どう……思ってる?
ジャンさんは怖くて危ない人、乱暴でたまに殺気を出す危険な人…
意地悪で、臼田さんとはまるで違う人
無駄に大きくて、自慢してくるみたいに主張する脚
日本人離れした顔で睨んできて、やめてって言ってもやめてくれない底意地の悪い人
女だっていうのに、お構いなしに殴って…
私を掴む手すら強く痛かった
なのに、時折見せる優しさなんかに
「泣きたくなります………。」
「"泣きたくなる"?どうして?」
「…時々、ジャンさんのことが本当に分からなくなる時があるんです…」
意地悪するくせに、泣かせるくせにふとした時に見せる優しさが歯痒い
「ジャンを知るには長くなるよ~」と飲み物を飲む、綺麗な女性はジャンさんを知っているみたいな口振りだ
そうなのよねぇ~とオネエさん方が口を揃えて言っていると「ジャンは男に興味ないから、この子以外は全員お断りよ」と言い放つ
その中には春さんとママさんは入っていない
その理由を聞くと「私、元男」とカミングアウトされる
ママさんも元男性らしく驚愕した
全く見えない2人は女性そのもので、今言われなければこの先ずっと女性だと勘違いしていただろう
「なら」とママさんが口を開いたかと思ったら、トイレからジャンさんが帰って来た
「彼より亀ちゃん派なのかしら?」
「んあ?」
なんのことが分かっていないジャンさんは、片眉を上げてはその後立派な脚を組んで座っている
そんな彼に聞こえるように、そうですね。と答える
「臼田さんの方が優しいですし、頼りになりますね。」
「亀ちゃんの笑顔って可愛いのよね」
「無駄に優しいから、女はすぐその気になるのよね。ママ亀好きねー」
"その気になる"……気をつけなければ………
そんなことを思っていると、「ハルも前はかめみたいな感じだったじゃん」とジャンさんが口を開く
春さんは「昔の話はやめてよ」と軽く怒った
やはり、昔からの知り合いなのか親しげだ
「用が済んだら帰って、こっちは準備があるんだから」とシッシと追い払うような手振りで帰宅を促す春さん
それに渋々立ち上がると、春さんから手渡された物を持って歩き出す
「あ、そうだ。」
これ、と名刺を渡され「いつでも電話して」とウィンクされる
春さんのその親しみやすさと名刺をくれたことに感謝を告げ、ジャンさんを追うように私も出口に向かった
お昼を食べれたことで、怒りがだいぶ収まっている
でも、怒ってないわけじゃない
彼が車に乗ったので、私も乗ろうとドアに手をかけて引っ張る
しかし、開かない……ロックされている
窓を開けては、彼は私に言い放つ
「俺より”頼りになる”かめに頼れば」
「んなっ、何子供みたいなこと言ってるんですか。開けてくださいよ」
「じゃあな」
私を見ながら窓を閉める彼は悪意に満ちていた
そのまま私を置き去りにしては、跡形もなく帰ってしまうジャンさん
「…………え、嘘でしょ…」
少し待っても、彼は戻ってくる気配はない
私は生贄かのように、ぽつんと1人でいた
自分のことのように「私だったらずっと一緒にいるわ♡」とか語ってくる
春さんは「他に好きな子いるの?」と聞いてくる
"好きな人"とは…なんでしょう?
人としてなのか、男としてなのか
LIKEなのかLOVEなのか
「いない……ですかね…?」
「もしかして亀の方?」
「まさか!私なんかが…」(おこがましい…。)
そんなこと…と否定する
前に"可愛い"と言ってくれたことはあった
でもそれは褒め言葉であって、愛情表現じゃない
そんな恐れ多いこと……
「ジャンのどこがダメなの?あ、性格以外でね」
「え、」(性格って1番重要なポイントでは…?)
「ジャンのこと、どう思ってるの?」
どう……思ってる?
ジャンさんは怖くて危ない人、乱暴でたまに殺気を出す危険な人…
意地悪で、臼田さんとはまるで違う人
無駄に大きくて、自慢してくるみたいに主張する脚
日本人離れした顔で睨んできて、やめてって言ってもやめてくれない底意地の悪い人
女だっていうのに、お構いなしに殴って…
私を掴む手すら強く痛かった
なのに、時折見せる優しさなんかに
「泣きたくなります………。」
「"泣きたくなる"?どうして?」
「…時々、ジャンさんのことが本当に分からなくなる時があるんです…」
意地悪するくせに、泣かせるくせにふとした時に見せる優しさが歯痒い
「ジャンを知るには長くなるよ~」と飲み物を飲む、綺麗な女性はジャンさんを知っているみたいな口振りだ
そうなのよねぇ~とオネエさん方が口を揃えて言っていると「ジャンは男に興味ないから、この子以外は全員お断りよ」と言い放つ
その中には春さんとママさんは入っていない
その理由を聞くと「私、元男」とカミングアウトされる
ママさんも元男性らしく驚愕した
全く見えない2人は女性そのもので、今言われなければこの先ずっと女性だと勘違いしていただろう
「なら」とママさんが口を開いたかと思ったら、トイレからジャンさんが帰って来た
「彼より亀ちゃん派なのかしら?」
「んあ?」
なんのことが分かっていないジャンさんは、片眉を上げてはその後立派な脚を組んで座っている
そんな彼に聞こえるように、そうですね。と答える
「臼田さんの方が優しいですし、頼りになりますね。」
「亀ちゃんの笑顔って可愛いのよね」
「無駄に優しいから、女はすぐその気になるのよね。ママ亀好きねー」
"その気になる"……気をつけなければ………
そんなことを思っていると、「ハルも前はかめみたいな感じだったじゃん」とジャンさんが口を開く
春さんは「昔の話はやめてよ」と軽く怒った
やはり、昔からの知り合いなのか親しげだ
「用が済んだら帰って、こっちは準備があるんだから」とシッシと追い払うような手振りで帰宅を促す春さん
それに渋々立ち上がると、春さんから手渡された物を持って歩き出す
「あ、そうだ。」
これ、と名刺を渡され「いつでも電話して」とウィンクされる
春さんのその親しみやすさと名刺をくれたことに感謝を告げ、ジャンさんを追うように私も出口に向かった
お昼を食べれたことで、怒りがだいぶ収まっている
でも、怒ってないわけじゃない
彼が車に乗ったので、私も乗ろうとドアに手をかけて引っ張る
しかし、開かない……ロックされている
窓を開けては、彼は私に言い放つ
「俺より”頼りになる”かめに頼れば」
「んなっ、何子供みたいなこと言ってるんですか。開けてくださいよ」
「じゃあな」
私を見ながら窓を閉める彼は悪意に満ちていた
そのまま私を置き去りにしては、跡形もなく帰ってしまうジャンさん
「…………え、嘘でしょ…」
少し待っても、彼は戻ってくる気配はない
私は生贄かのように、ぽつんと1人でいた
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