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無法地帯と化していた私の爪は綺麗に仕上がり、落ち着いた感じの爪へと変化した
ネイルした感じはあまりなく、程よく手入れされた見た目になっている
「ありがとうございます…」
「どうぞ、この手でお連れ様の心を掴んでください。」
いやだから、付き合ってないから!
店員さん誤解してます!!
できたてホヤホヤの爪を見ては、不思議な気持ちになる
お洒落に無頓着な私は、爪のことなんて今まで1度も考えたことなんてなかった
(世の女性は毎月毎月こんなことしてるのか…大変だな……。)
出口まで見送ってくれる店員さんに促され、レジの方へと向かう
途中でジャンさんと合流した
「ご来店ありがとうございました。またお越しくださいませ。」
「ありがとうございました」
「あ、ありがとうございました…」
車に乗ってエンジンをかけると日時が現れる
__________pm.2:28…
道理でお腹が空いている訳だ
家から出て口にしたのは、彼がくれたお菓子のみ
まともな食事は取っていない
なのにお食事処に行く気配もない
車を走らせ、またどこかへ向かう
私のことなんて更々気にしていない様子で、あれから話もしない
私はただ窓の外を見ているだけだ
ジャンさんの意図が全く分からない
メイクアップさせたりネイルさせたり、自分磨きの手伝いみたいなことしてくる
「はぁ……」
ため息をこぼすが、車の中には響かずひっそりと消えて行く
窓に頭をつけては、車の震度を頭部で感じる
自分の頭ですら支えるのが疲れるように身体全体が重くなっているような気がする
それをしみじみと感じていると揺れは収まる
彼は車から降りると、もう降りろとは言わず助手席を開けては強引にシートベルトを外し、引きずり下ろす
首元にロックをかけると、釣った魚のように無心で歩き出した
全く酷い扱いだ
私は人であって魚じゃないぞ…
次は何処なんだ…と見てみると"キャンディー"などと書かれた点灯前の看板のお店に来店する
"キャンディー"って…なによ………
カランと扉を鳴らすと、露出度の高いドレスを着た方々が鯉が餌を求めて群がるようにこちらに向かって走ってくる
濃いメイクを施された顔で「ジャンちゃーん」だなんて内股で走って来るもんだから、軽くトラウマになりそう
「待ってたわよ、ジャンちゃん♡」
「あー、ずるいー。私も私もー」
「…………。」(何この絵面…)
明らかに女性ではない方々は、そのごつい体をひしめき合いながらジャンさんを取り合っている
それを無心で無視している彼は、特に反応を見せない
「あらやだ、何この子」
「っ!」(見つかった…)
彼に掴まれている私に、今頃気づき「なになにー?」と物珍しそうに見物してくる
小指を若干立てては、頬に添えて「女の子よー」と仲間同士でざわめき始めた
「ハルは?」
「奥よ。なにー、今日は春さんに用なのー?」
「ジャンちゃんこの子なにー?」
そんな質問は無視して歩き進める彼は、未だに私を開放してはくれない
いい加減離してほしい…
こんな風に思うのも何度目だったろうか…?
中に行き進めると、着物を着た綺麗な女性と華奢な女性が居た
「あら、早い」と微笑みを見せては、椅子から降りてこちらに歩いてくる
それは上品かつしなやかな歩きで、女の私も見惚れてしまう程だった
「あれ、用意できた?」
「もちろん、ちゃんと選んであげたわよ。この子が着けるのかしら?」
その質問には「そう」と答え、掴む手をやっと離す
ようやく呼吸ができる気がする
「はじめまして」と少し咳き込む私を覗き込む女性は、近くで見るとより綺麗な顔をしている
お化粧と分かっていても、キラキラと輝く目元は存在を主張してくる
ネイルした感じはあまりなく、程よく手入れされた見た目になっている
「ありがとうございます…」
「どうぞ、この手でお連れ様の心を掴んでください。」
いやだから、付き合ってないから!
店員さん誤解してます!!
できたてホヤホヤの爪を見ては、不思議な気持ちになる
お洒落に無頓着な私は、爪のことなんて今まで1度も考えたことなんてなかった
(世の女性は毎月毎月こんなことしてるのか…大変だな……。)
出口まで見送ってくれる店員さんに促され、レジの方へと向かう
途中でジャンさんと合流した
「ご来店ありがとうございました。またお越しくださいませ。」
「ありがとうございました」
「あ、ありがとうございました…」
車に乗ってエンジンをかけると日時が現れる
__________pm.2:28…
道理でお腹が空いている訳だ
家から出て口にしたのは、彼がくれたお菓子のみ
まともな食事は取っていない
なのにお食事処に行く気配もない
車を走らせ、またどこかへ向かう
私のことなんて更々気にしていない様子で、あれから話もしない
私はただ窓の外を見ているだけだ
ジャンさんの意図が全く分からない
メイクアップさせたりネイルさせたり、自分磨きの手伝いみたいなことしてくる
「はぁ……」
ため息をこぼすが、車の中には響かずひっそりと消えて行く
窓に頭をつけては、車の震度を頭部で感じる
自分の頭ですら支えるのが疲れるように身体全体が重くなっているような気がする
それをしみじみと感じていると揺れは収まる
彼は車から降りると、もう降りろとは言わず助手席を開けては強引にシートベルトを外し、引きずり下ろす
首元にロックをかけると、釣った魚のように無心で歩き出した
全く酷い扱いだ
私は人であって魚じゃないぞ…
次は何処なんだ…と見てみると"キャンディー"などと書かれた点灯前の看板のお店に来店する
"キャンディー"って…なによ………
カランと扉を鳴らすと、露出度の高いドレスを着た方々が鯉が餌を求めて群がるようにこちらに向かって走ってくる
濃いメイクを施された顔で「ジャンちゃーん」だなんて内股で走って来るもんだから、軽くトラウマになりそう
「待ってたわよ、ジャンちゃん♡」
「あー、ずるいー。私も私もー」
「…………。」(何この絵面…)
明らかに女性ではない方々は、そのごつい体をひしめき合いながらジャンさんを取り合っている
それを無心で無視している彼は、特に反応を見せない
「あらやだ、何この子」
「っ!」(見つかった…)
彼に掴まれている私に、今頃気づき「なになにー?」と物珍しそうに見物してくる
小指を若干立てては、頬に添えて「女の子よー」と仲間同士でざわめき始めた
「ハルは?」
「奥よ。なにー、今日は春さんに用なのー?」
「ジャンちゃんこの子なにー?」
そんな質問は無視して歩き進める彼は、未だに私を開放してはくれない
いい加減離してほしい…
こんな風に思うのも何度目だったろうか…?
中に行き進めると、着物を着た綺麗な女性と華奢な女性が居た
「あら、早い」と微笑みを見せては、椅子から降りてこちらに歩いてくる
それは上品かつしなやかな歩きで、女の私も見惚れてしまう程だった
「あれ、用意できた?」
「もちろん、ちゃんと選んであげたわよ。この子が着けるのかしら?」
その質問には「そう」と答え、掴む手をやっと離す
ようやく呼吸ができる気がする
「はじめまして」と少し咳き込む私を覗き込む女性は、近くで見るとより綺麗な顔をしている
お化粧と分かっていても、キラキラと輝く目元は存在を主張してくる
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