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きつく、けど苦しくない程の強さで抱きしめてくる臼田さん
離れようとするも彼の腕には勝てず腕の中に閉じ込められる
どうして……大丈夫って言ったのに、離してくれんしんだろう……
臼田さん?だなんて声をかけても「もう少し」と言われる
今度は本当に少しだろうか?……
”もう少し”と言って少しで行ったことはあっただろうか?
「ちさちゃん。今日は一緒に寝ちゃダメかな?……」
「っえ!?っべ、ベッド買ってくれたじゃ無いですか?なのに、どうして…」
「今の君を、1人にしたくない」
結局あの後臼田さんの説得とあの顔面の破壊力によって、私が折れた
あんな近距離で見つめるなんて狡い
私の了承を得た彼はひと足早くお風呂へと向かった
(そういえばジャンさんは?)
この家に入ってからジャンさんの姿が見えず、家の中を探すとある部屋から物音が聞こえ、その部屋の扉を開ける
中にはジャンさんが居て、買ったばかりのベッドを組み立ててくれていた
「ジャンさん」
「、何?」
”何?”、なんで彼の名前を読んだんだろ?
わからない
「疲れた」と言うもののしっかりと組み立てられているベッドは木でできていて、頭付近の板にはお花が彫られている
少しあせたパステル色の枕に掛け布団はカントリー風で心が穏やかになっていく
「ジャンさんが、選んでくれたんですよね…」
「適当」
「…私、こんな可愛いベッド、はじめてです。」
いつも鉄でできたベッドに硬いマットで寝ていた私には、この寝床は柔らかすぎるように感じる
こんな豪華なベッド、私が使って良いのだろか……
「あんたさ、なんで嘘ついたわけ?」
「え?……、なんで、でしょうね………」
ジャンさんが言っているのはあの子と居る時、彼女にジャンさんを紹介した時だ
私は彼のことを”雇い主”と言った
本当は雇い主ではなく家主なのに
なんで嘘ついたんだろう……?
なんとなく家主と言うより雇い主と言った方が良いような気がして、あの子に嘘をついてしまった
あの子は疑ってなかった
私の言葉をそのまま素直に受け取り、ジャンさんに挨拶すらしていた
出会ってすぐの男の元に居るあの子を、彼氏から引き離そうとした
なのに自分は……出会ってすぐの人について行き、共に暮らしている
そんな矛盾を頭の中で処理しきれず、ついた言葉だった
「はぁ、これ」
「なんです?」
「次逃げたら殺すぞ」
そんなことを言いながら渡されたのはスマートフォンだった
なぜ?と聞いても答えてくれない
ただ「電話にはぜってぇ出ろ」と圧とも取れるそれを言い放つと、部屋から出ていく
そんな彼について行き、どうしてですか?と聞いても「うるさい」としか言わない
「私が持って……いんですか?」
「あんたうるさい」
「………心配、してるんですか?」
彼の部屋の前で止まると私の方に振り返り、見下ろしてくる
ジャンさんの顔を見るには見上げないといけない
それがどれだけ首の負担になるのか、この人はわからないだろう
もう2mはあるのでは?と思わせてくる身長は本当に高い
順番にすると、ジャンさん、臼田さん、私だろう
30cm差はあるだろう彼は、私の頭の位置に肩がある
決して身長が小さいわけじゃない、158cmほぼ160cmだ
なのにジャンさんも、それに臼田さんも身長が高いから私が小さく見えるのだ
臼田さんも180cmはあるのではないか?それ以上かも…
だから話しかけるだけで首が疲れる
それなのに距離を詰められたらなおさら、見上げなければならない
ジャンさんは見下ろしながら「バカじゃないの」と言うと部屋に入ってしまう
それについて行き彼の部屋に入った
相変わらず本のいい香りと好奇心を燻る蔵書に迎えられる
「どうして、ここまでしてくれるんですか?」
「あんたのせいで俺がどれだけかめに怒られたと思ってんだ」
「臼田さんが、怒る?」
それは……ごめんなさい、と謝罪するも「口だけならどーとでも言える」と冷たくあしらわれる
確かに…赤の他人の言葉なんて誰が信じると言うのだろうか
何も言えないままの私を置いて本棚から本を取り出すと、私の存在を忘れたかのように読み進めていく
離れようとするも彼の腕には勝てず腕の中に閉じ込められる
どうして……大丈夫って言ったのに、離してくれんしんだろう……
臼田さん?だなんて声をかけても「もう少し」と言われる
今度は本当に少しだろうか?……
”もう少し”と言って少しで行ったことはあっただろうか?
「ちさちゃん。今日は一緒に寝ちゃダメかな?……」
「っえ!?っべ、ベッド買ってくれたじゃ無いですか?なのに、どうして…」
「今の君を、1人にしたくない」
結局あの後臼田さんの説得とあの顔面の破壊力によって、私が折れた
あんな近距離で見つめるなんて狡い
私の了承を得た彼はひと足早くお風呂へと向かった
(そういえばジャンさんは?)
この家に入ってからジャンさんの姿が見えず、家の中を探すとある部屋から物音が聞こえ、その部屋の扉を開ける
中にはジャンさんが居て、買ったばかりのベッドを組み立ててくれていた
「ジャンさん」
「、何?」
”何?”、なんで彼の名前を読んだんだろ?
わからない
「疲れた」と言うもののしっかりと組み立てられているベッドは木でできていて、頭付近の板にはお花が彫られている
少しあせたパステル色の枕に掛け布団はカントリー風で心が穏やかになっていく
「ジャンさんが、選んでくれたんですよね…」
「適当」
「…私、こんな可愛いベッド、はじめてです。」
いつも鉄でできたベッドに硬いマットで寝ていた私には、この寝床は柔らかすぎるように感じる
こんな豪華なベッド、私が使って良いのだろか……
「あんたさ、なんで嘘ついたわけ?」
「え?……、なんで、でしょうね………」
ジャンさんが言っているのはあの子と居る時、彼女にジャンさんを紹介した時だ
私は彼のことを”雇い主”と言った
本当は雇い主ではなく家主なのに
なんで嘘ついたんだろう……?
なんとなく家主と言うより雇い主と言った方が良いような気がして、あの子に嘘をついてしまった
あの子は疑ってなかった
私の言葉をそのまま素直に受け取り、ジャンさんに挨拶すらしていた
出会ってすぐの男の元に居るあの子を、彼氏から引き離そうとした
なのに自分は……出会ってすぐの人について行き、共に暮らしている
そんな矛盾を頭の中で処理しきれず、ついた言葉だった
「はぁ、これ」
「なんです?」
「次逃げたら殺すぞ」
そんなことを言いながら渡されたのはスマートフォンだった
なぜ?と聞いても答えてくれない
ただ「電話にはぜってぇ出ろ」と圧とも取れるそれを言い放つと、部屋から出ていく
そんな彼について行き、どうしてですか?と聞いても「うるさい」としか言わない
「私が持って……いんですか?」
「あんたうるさい」
「………心配、してるんですか?」
彼の部屋の前で止まると私の方に振り返り、見下ろしてくる
ジャンさんの顔を見るには見上げないといけない
それがどれだけ首の負担になるのか、この人はわからないだろう
もう2mはあるのでは?と思わせてくる身長は本当に高い
順番にすると、ジャンさん、臼田さん、私だろう
30cm差はあるだろう彼は、私の頭の位置に肩がある
決して身長が小さいわけじゃない、158cmほぼ160cmだ
なのにジャンさんも、それに臼田さんも身長が高いから私が小さく見えるのだ
臼田さんも180cmはあるのではないか?それ以上かも…
だから話しかけるだけで首が疲れる
それなのに距離を詰められたらなおさら、見上げなければならない
ジャンさんは見下ろしながら「バカじゃないの」と言うと部屋に入ってしまう
それについて行き彼の部屋に入った
相変わらず本のいい香りと好奇心を燻る蔵書に迎えられる
「どうして、ここまでしてくれるんですか?」
「あんたのせいで俺がどれだけかめに怒られたと思ってんだ」
「臼田さんが、怒る?」
それは……ごめんなさい、と謝罪するも「口だけならどーとでも言える」と冷たくあしらわれる
確かに…赤の他人の言葉なんて誰が信じると言うのだろうか
何も言えないままの私を置いて本棚から本を取り出すと、私の存在を忘れたかのように読み進めていく
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