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【どちらも外れ】これが愛
5話
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「どうだい? 頭はもう痛くないかい?」
「あっ、リアム様! ごきげんよう。ありがとうございます、もう痛くありませんわ」
今日は、あの事故から5日後。私は念のために、ミアナをベッドから起き上がらせないようにしていたが、医者から流石にずっと寝たままは体に不味いとは苦言をもらった。
(あの医者はとりあえず合格だな。あんなに怯えながらもちゃんと苦言を言いに来た。もし、私に怯え、自分のことしか考えず何も言わないつもりだったらいなくなってもらうつもりだったが、あれならミアナのことを診させても大丈夫だな)
こんな時でも、リアムは人をテストしている。
(それにしても……はぁー、医者の言ってることも頭では理解できるが心配だ。確かに動かなさ過ぎは体に悪い。……そろそろいいか)
「元気そうで何より。じゃあ今日はお散歩に行こうか?」
私の言葉を聞いた彼女は
「! ベッドから起き上がってもいいのですか?」
「ああ、頭を打ったから心配で安静にしてて欲しかったんだけど、流石にそろそろ動かないとね。それと、ミアナが楽しみにしてた……君の友達を紹介するよ」
「!? えっ? 本当ですか? 」
「あぁ。あんなに楽しみにしていただろう?」
「ええ。……お友達のことは申し訳ないのですが、記憶がなく……お会いしたら記憶が戻るのではないかと思って」
ミアナは勿論記憶がない。なのに、友達と会いたいと希望しているのは、私が麗しい友情についての小説ばかり彼女に届けたからだ。勿論確信犯だ。
(さあ、彼女らにはミアナのためにも友情ごっこをしてもらおうか……アレを排斥するためにも)
ミアナがまだ見ぬ友へと想いを馳せている横で、リアムは心の底から笑顔を浮かべているのであった。
~ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー~
【視点 屋根裏のネズミ達?】
「おい……見たか」
「あ、ああ」
リアムの命でミアナについているネズミ?は今の光景を見て恐れ戦いていた。
「あのご主人様が笑ったぞ」
「あぁ。嗤ったな」
二人は同じ光景を見ていたはずだが……感じかたはそれぞれだった。
「やっぱり」
「だな」
「婚約者様が喜んでいて嬉しいのだろうな」
「邪魔物をやっと排斥できるから喜んでらっしゃるな」
「「…… ん?」」
「は?」
「え?」
二人は(お前は何を見てたんだ?)と思ったが、それを相方に聞こうとした時
「ミアナ、そろそろ行こうか? 」
「はい!」
二人はいつの間にか寄り添いながら部屋を出ようとしていた。
それに気付き、ヤバイ、と思ったときには
ご主人様は顔だけこちらに向け、口パクで
『お前達、後で……ね?』
にこりと笑いながらご主人様が部屋から退出していった。
「………おい」
「………ああ」
「「死んだー」」
この夜、二人はなんとか死は回避できたが、教育という名の一方的暴力を受けるのだった。
「あっ、リアム様! ごきげんよう。ありがとうございます、もう痛くありませんわ」
今日は、あの事故から5日後。私は念のために、ミアナをベッドから起き上がらせないようにしていたが、医者から流石にずっと寝たままは体に不味いとは苦言をもらった。
(あの医者はとりあえず合格だな。あんなに怯えながらもちゃんと苦言を言いに来た。もし、私に怯え、自分のことしか考えず何も言わないつもりだったらいなくなってもらうつもりだったが、あれならミアナのことを診させても大丈夫だな)
こんな時でも、リアムは人をテストしている。
(それにしても……はぁー、医者の言ってることも頭では理解できるが心配だ。確かに動かなさ過ぎは体に悪い。……そろそろいいか)
「元気そうで何より。じゃあ今日はお散歩に行こうか?」
私の言葉を聞いた彼女は
「! ベッドから起き上がってもいいのですか?」
「ああ、頭を打ったから心配で安静にしてて欲しかったんだけど、流石にそろそろ動かないとね。それと、ミアナが楽しみにしてた……君の友達を紹介するよ」
「!? えっ? 本当ですか? 」
「あぁ。あんなに楽しみにしていただろう?」
「ええ。……お友達のことは申し訳ないのですが、記憶がなく……お会いしたら記憶が戻るのではないかと思って」
ミアナは勿論記憶がない。なのに、友達と会いたいと希望しているのは、私が麗しい友情についての小説ばかり彼女に届けたからだ。勿論確信犯だ。
(さあ、彼女らにはミアナのためにも友情ごっこをしてもらおうか……アレを排斥するためにも)
ミアナがまだ見ぬ友へと想いを馳せている横で、リアムは心の底から笑顔を浮かべているのであった。
~ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー~
【視点 屋根裏のネズミ達?】
「おい……見たか」
「あ、ああ」
リアムの命でミアナについているネズミ?は今の光景を見て恐れ戦いていた。
「あのご主人様が笑ったぞ」
「あぁ。嗤ったな」
二人は同じ光景を見ていたはずだが……感じかたはそれぞれだった。
「やっぱり」
「だな」
「婚約者様が喜んでいて嬉しいのだろうな」
「邪魔物をやっと排斥できるから喜んでらっしゃるな」
「「…… ん?」」
「は?」
「え?」
二人は(お前は何を見てたんだ?)と思ったが、それを相方に聞こうとした時
「ミアナ、そろそろ行こうか? 」
「はい!」
二人はいつの間にか寄り添いながら部屋を出ようとしていた。
それに気付き、ヤバイ、と思ったときには
ご主人様は顔だけこちらに向け、口パクで
『お前達、後で……ね?』
にこりと笑いながらご主人様が部屋から退出していった。
「………おい」
「………ああ」
「「死んだー」」
この夜、二人はなんとか死は回避できたが、教育という名の一方的暴力を受けるのだった。
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