58 / 97
クエストをクリアするだけの簡単なお仕事
しおりを挟む
市長の様子を確認し、次の指示も終えたため、俺たちは冒険者ギルドへと戻ってきた。
シェイドのダンジョンはどこにでもすぐ行けるから便利だよな。
出入口は間借りしている俺たちの部屋になっている。
ここなら見られる心配もないからな。
部屋を出て一階のロビーに出ると、新しいクエストの募集が始まったところのようで、大勢の冒険者であふれていた。
掲示板に貼られた沢山の依頼書の中から、ひとつを選んで手に取る。
どうやら街の近くでモンスターが暴れているらしい。
すでに何人かの被害も出ているようだ。
「シェイドのモンスターじゃないのか」
「この都市の人間は襲わないようにいってある。私の管轄ではない野生のモンスターだろう」
そういうことなら仕方ない。
たまには外に出て運動もしたかったし、依頼を受けるとしようか。
依頼書を持って受付に行くと、受付のお姉さんが驚いた表情になった。
「まさか、イクスさんたちだけでこのクエストを?」
「そうだけど、何か問題があるのか」
「これはダイアウルフやギガントレックスなど、恐竜種の群れが数十匹はいるクエストですよ。本来ならこちらも数十人の冒険者パーティーを組んで当たるべきクエストです。いくらイクスさんたちとはいえ、たった4人では……」
「そいつらのレベルはいくつなの?」
エリーの質問に、お姉さんが資料を調べながら答える。
「ええっと、ダイアウルフの平均レベルが30。ギガントレックスは約60とされています」
「なんだ。雑魚じゃない」
こともなげにいうエリー。
受付のお姉さんは「ギガントレックスが雑魚……」と何やら驚いた様子だった。
レベル100超えのモンスターばかり相手にしていた俺たちからすれば、実際雑魚なんだけどな。
「ちなみに、シェイド的にはモンスター退治はいいのか?」
「強きものが弱きものを糧とする。それが弱肉強食だ。無益な殺生をするというのでなければ、私がとやかくいうことではない」
というわけでシェイドの許可も出たので、クエストはさくっとこなしてきた。
レベル60程度のモンスター数十匹の群れだったが、今の俺たちには相手になるわけもない。
それどころか半分も倒さないうちに、残りは降参して自ら俺の奴隷となった。
抵抗しないというのなら倒す必要もない。
シェイドにダンジョンの入り口を作ってもらい、その中に新たな住民たちを招き入れる。
旅人を襲うモンスターの退治が今回の依頼だ。
そのモンスターがいなくなったのだから、これでクエスト完了だ。
さっさと終わったのなら、さっさと帰ってくるに限る。
半日足らずで戻ってきた俺たちを見た受付のお姉さんは、やはり無理だったかとむしろ安心したような表情だった。
けど、討伐の証であるモンスターの牙や鱗を受付のカウンターに並べたら、固まったまま何もいえなくなってしまった。
「素材はそのままギルドに寄付しますので」
「あ、はい……。えっ!?」
かなり間を置いてから驚いたように顔を上げる。
「で、でもレックスの牙や鱗はドラゴンの素材にも匹敵する価値があるのですよ……! これだけの量があれば、ちょっとした家が建つくらいの額にはなるかと!」
「今の俺たちにお金は必要ないんで」
もうしばらくはギルドにお世話になる予定だし、こうやってクエストをこなして、恩返しをしておかないとな。
その割にはお姉さんの俺を見つめる視線が尊敬の眼差しになっているというか、妙に頬も赤くなっている気もするけど。
シェイドのダンジョンはどこにでもすぐ行けるから便利だよな。
出入口は間借りしている俺たちの部屋になっている。
ここなら見られる心配もないからな。
部屋を出て一階のロビーに出ると、新しいクエストの募集が始まったところのようで、大勢の冒険者であふれていた。
掲示板に貼られた沢山の依頼書の中から、ひとつを選んで手に取る。
どうやら街の近くでモンスターが暴れているらしい。
すでに何人かの被害も出ているようだ。
「シェイドのモンスターじゃないのか」
「この都市の人間は襲わないようにいってある。私の管轄ではない野生のモンスターだろう」
そういうことなら仕方ない。
たまには外に出て運動もしたかったし、依頼を受けるとしようか。
依頼書を持って受付に行くと、受付のお姉さんが驚いた表情になった。
「まさか、イクスさんたちだけでこのクエストを?」
「そうだけど、何か問題があるのか」
「これはダイアウルフやギガントレックスなど、恐竜種の群れが数十匹はいるクエストですよ。本来ならこちらも数十人の冒険者パーティーを組んで当たるべきクエストです。いくらイクスさんたちとはいえ、たった4人では……」
「そいつらのレベルはいくつなの?」
エリーの質問に、お姉さんが資料を調べながら答える。
「ええっと、ダイアウルフの平均レベルが30。ギガントレックスは約60とされています」
「なんだ。雑魚じゃない」
こともなげにいうエリー。
受付のお姉さんは「ギガントレックスが雑魚……」と何やら驚いた様子だった。
レベル100超えのモンスターばかり相手にしていた俺たちからすれば、実際雑魚なんだけどな。
「ちなみに、シェイド的にはモンスター退治はいいのか?」
「強きものが弱きものを糧とする。それが弱肉強食だ。無益な殺生をするというのでなければ、私がとやかくいうことではない」
というわけでシェイドの許可も出たので、クエストはさくっとこなしてきた。
レベル60程度のモンスター数十匹の群れだったが、今の俺たちには相手になるわけもない。
それどころか半分も倒さないうちに、残りは降参して自ら俺の奴隷となった。
抵抗しないというのなら倒す必要もない。
シェイドにダンジョンの入り口を作ってもらい、その中に新たな住民たちを招き入れる。
旅人を襲うモンスターの退治が今回の依頼だ。
そのモンスターがいなくなったのだから、これでクエスト完了だ。
さっさと終わったのなら、さっさと帰ってくるに限る。
半日足らずで戻ってきた俺たちを見た受付のお姉さんは、やはり無理だったかとむしろ安心したような表情だった。
けど、討伐の証であるモンスターの牙や鱗を受付のカウンターに並べたら、固まったまま何もいえなくなってしまった。
「素材はそのままギルドに寄付しますので」
「あ、はい……。えっ!?」
かなり間を置いてから驚いたように顔を上げる。
「で、でもレックスの牙や鱗はドラゴンの素材にも匹敵する価値があるのですよ……! これだけの量があれば、ちょっとした家が建つくらいの額にはなるかと!」
「今の俺たちにお金は必要ないんで」
もうしばらくはギルドにお世話になる予定だし、こうやってクエストをこなして、恩返しをしておかないとな。
その割にはお姉さんの俺を見つめる視線が尊敬の眼差しになっているというか、妙に頬も赤くなっている気もするけど。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
パーティーから追い出された劣等賢者ですが、最強パーティーを育てて勇者を世界から追い出そうと思います。
遥 かずら
ファンタジー
全知全能の智者として勇者を支え、強く育て上げて来たと自負する賢者アクセリ。心の中では不満を抱えながらも、PTに貢献をして来た。
そんな中、気弱な勇者ベナークは魔王討伐後に態度が一変。女魔導士に命じ、重力呪詛系転移魔法を賢者に使用させる。
裏切りに気付いた賢者は怒りを覚えるも、世界のどこかに転移させられてしまう。呪詛により能力全てが弱くなっていたことに憤慨するも一人ではどうにも出来ないことを知る。
自分と似たあぶれ者に助けられたことをきっかけとし、勇者に復讐をすることを目的に動き始めるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる