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第3章 碧斗、高校2年生。あさひ、社会人7年目。
12.
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「碧斗、あさひちゃんたちが出て来たら上に舞うように投げるのよ」
「何これ?花びら?」
式が終わったあと、外に出てチャペルからの通路に参列者が沿って並んだ。チャペルからあさひたちが出て来るから、数枚の花びらを握らされた。
何この花びら何すんの?
「ライスシャワーって知らないか?」
「ライスシャワー?」
隣で同じように花びらを手一杯掴んだ兄貴が言った。
「新郎新婦に米を撒いて祝福することをライスシャワーって言うんだよ」
「米まくの!?なんで!?」
「米には豊作や子孫繁栄の意味があって、これから食べ物に困らないように、子宝に恵まれるようにって願いを込めてやる昔からの儀式みたいなもんだな」
へぇー…米まかれて複雑な気持ちにしかならないと思うけどそんな意味もあるのか。結婚式ってこんなこともするんだ、でも今渡されたのって…
「ここはフラワーシャワーみたいね」
たくさん持ち過ぎていたのかさらに母さんが俺に花を渡した。
「花の方がきれいに見えるもんな」
「どっちにしろ、思いが込められてたらいいのよ」
………。
思いが込められていたら…か。
渡された花びらを見て、そーっと包み込むように手を閉じた。
ワァと歓声が響いた。
数段ある階段の上、扉が開いた。
その瞬間、フワッと花びらたちが宙を舞って鳴りやまない拍手がワーッと響く。
あさひと、隣にはこの先のあさひを守ってくれる人が一緒にゆっくり階段を下りて来た。
しあわせそうに、あさひが笑っていた。
今までで一番キレイなあさひが、
今までで一番しあわせな顔で笑っていた。
そんな顔初めてだよ。
やめてよ、そんな顔。
俺まで嬉しくなっちゃうだろ。
あさひのしあわせな顔見たら俺だってしあわせだよ。
だからこの涙は祝福の涙だよ、こんなあさひが見られたから。とびきり可愛いあさひが見られたから。
ずっと見て来たいろんなあさひの表情の中で、今日が一番良い顔してるよ。
最高のあさひだよ。
力いっぱい上に投げた。
誰よりも高くフワッと花たちが舞うように、願いを込めて。
真っ白なドレスを彩るようにピンクや黄色の花が風に揺られ、色づいていく。
その中であさひが一番輝いていた。
「何これ?花びら?」
式が終わったあと、外に出てチャペルからの通路に参列者が沿って並んだ。チャペルからあさひたちが出て来るから、数枚の花びらを握らされた。
何この花びら何すんの?
「ライスシャワーって知らないか?」
「ライスシャワー?」
隣で同じように花びらを手一杯掴んだ兄貴が言った。
「新郎新婦に米を撒いて祝福することをライスシャワーって言うんだよ」
「米まくの!?なんで!?」
「米には豊作や子孫繁栄の意味があって、これから食べ物に困らないように、子宝に恵まれるようにって願いを込めてやる昔からの儀式みたいなもんだな」
へぇー…米まかれて複雑な気持ちにしかならないと思うけどそんな意味もあるのか。結婚式ってこんなこともするんだ、でも今渡されたのって…
「ここはフラワーシャワーみたいね」
たくさん持ち過ぎていたのかさらに母さんが俺に花を渡した。
「花の方がきれいに見えるもんな」
「どっちにしろ、思いが込められてたらいいのよ」
………。
思いが込められていたら…か。
渡された花びらを見て、そーっと包み込むように手を閉じた。
ワァと歓声が響いた。
数段ある階段の上、扉が開いた。
その瞬間、フワッと花びらたちが宙を舞って鳴りやまない拍手がワーッと響く。
あさひと、隣にはこの先のあさひを守ってくれる人が一緒にゆっくり階段を下りて来た。
しあわせそうに、あさひが笑っていた。
今までで一番キレイなあさひが、
今までで一番しあわせな顔で笑っていた。
そんな顔初めてだよ。
やめてよ、そんな顔。
俺まで嬉しくなっちゃうだろ。
あさひのしあわせな顔見たら俺だってしあわせだよ。
だからこの涙は祝福の涙だよ、こんなあさひが見られたから。とびきり可愛いあさひが見られたから。
ずっと見て来たいろんなあさひの表情の中で、今日が一番良い顔してるよ。
最高のあさひだよ。
力いっぱい上に投げた。
誰よりも高くフワッと花たちが舞うように、願いを込めて。
真っ白なドレスを彩るようにピンクや黄色の花が風に揺られ、色づいていく。
その中であさひが一番輝いていた。
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