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7章 ミラ・イヴァンチスカの独白

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 村に戻って早速彼は新事業についての説明会を開いてくれた。みんな驚いていて、特にリンダさんからははっきりと怒られてしまった。

「そんな大事な事を言わないなんて…なんだい、私の事を信頼してないって事かい」
「そ、そんなつもりじゃ!期待させておいて上手くいかなかった方ががっかりさせちゃうかと思って…」
「……そうかい」

 そう言って家に帰ってしまってどうしようかと焦っていたら、リンダさんが旦那さんと一緒に身支度を整えた状態で現れた。私は一瞬で血の気が引いた。

「まさか村を出ていく気ですか!?ごめんなさい!お願いだからそんなことはやめ」
「そんな訳ないだろう」

 私のせいだと思わず涙目になりながらリンダさんの両腕を掴むと、呆れた様子でリンダさんが言った。

「贔屓にしてる手芸屋に行ってくるよ。染色液を仕入れ値に近い値段で手に入れられるルートはないか聞いてくる」

 照れた様にそう言うリンダさんの顔を見て、私は盛大にほっとして思わずリンダさんに抱きついていた。「こら、出発出来ないだろ!」と言いながらもリンダさんは抱きつく私を剥がす事はしなかった。

 リンダさん同様、他のみんなもすぐに前向きに捉えてくれて、無事発起会を開催する事となった。それをローラさんに伝えに行った時に、私も発起会で何か一品作りたい事を提案するととても喜んでくれた。

「何にするか決めてるの?」
「何となくは…でも作り方が分からなくて」
「レシピ本ならたくさんあるわよ?」
「ローストポークなんです」
「あら!それなら」

 そう言ってローラさんは、とある村の人を紹介してくれた。昔首都圏の酒屋の厨房で働いた経験がある方で、無事教授してもらえる事になった。

 このローストポークは母の得意料理の一つだった。豚肩ロースの大きな塊肉を低音でじっくりと焼く事で柔らかくジューシーに仕上がり、そこに家庭それぞれのソースをかけて食べる。私の好物でよく母にねだって作ってもらっていた。母の味は蜂蜜とマスタードのソースで、私でも食べられる様にマスタードの香りだけを生かした辛くない物にしてくれていた。

 このソースは母と父が初めて二人で出かけた時に食べたローストポークのソースで、その美味しさに感動して母が独自に再現したものらしい。「アレンジしすぎて、もうどんな味だったか忘れちゃったけどね」と言った母の表情はどこか切なげだった様に思う。

 ちなみにそのソースを作る、というより混ぜるのが私の役目だった。母が目分量で入れていた調味料を思い出しながら追加していく。子どもの頃には食べられなかった、ピリリと辛い蜂蜜とマスタードのソースが完成した。肉の火入れも教え方が上手なおかげで上手くいって、早速大成功だった。

 それを午前中のうちに準備をして、昼から始まる発起会に向けて村の女性達と花の準備をしていたら彼に呼ばれた。頼んでいた酒が届いたらしい。慌てて行ったらこけるぞと笑われた。最近よく彼に揶揄われる事が増えた。別に気を悪くしているわけじゃないけど、やたら嬉しそうに言うので調子が狂う。

 村の出入り口に向かうとロレンツォが立っていた。彼は今回も何でも屋として酒を届ける仕事を担って来てくれたらしい。そういえば依頼によっては街を出る事もあると聞いていた。近くにお互いの家族がいるので数日なら離れても大丈夫だと言っていたのを思い出した。

「お金さえ頂けたら何でもしますよ。警官にお世話にならない事以外なら」
「はは!そうだな、何かあったら頼むよ」
「ええ、是非ご用命は先日泊まられた宿屋の方に。あ、奥様もお久しぶりです」

 ロレンツォは相変わらずの好青年だった。お酒を受け取った後、村の人からロレンツォに差し入れる様にとサンドウィッチを渡されて慌てて戻る。

 そして彼に揶揄われた通りの事をしてしまった。焦った表情の彼に咄嗟に受けとめてもらって難を逃れ、何とかロレンツォに差し入れを渡す事が出来た。結果、ロレンツォが去っていく姿を見送りながら、また揶揄われたのだった。

 発起会は盛大に行われた。みんな私が用意したお酒に高揚していて、真っ赤な顔をしたたくさんの人に礼を言われた。初めての経験だった。私も思わず浮かれてしまい、そのせいですっかり忘れていた。

 彼と一緒に料理を皿に取っていると、急に立ち止まって見たことの無い料理があると言った。一体何だろうかと覗いたら何と私の料理で、すっかり忘れていた事と彼が気付いた事に驚いて言葉を失っていると村長の奥様が彼にバラしてしまった。私が作ったと知ると彼は何やら嬉しそうに私の料理をたくさん皿に乗せて、美味しいと絶賛だった。

 すると突然アコーディオンの音が聞こえた。自然とみんなが私の前に集まり歌い踊り始める。彼に聞けばこの村に伝わる祝福の歌だという。老若男女問わずみんなが同じ歌を口ずさみ、踊る姿を見てとても感動した。私もこの中に入りたいと思っていたら彼が手を引いてくれた。みんなの輪に入れてもらい、見よう見まねに私も歌い踊った。

 宴は夜まで続き、村の人達のご厚意に甘えて私達は先に帰らせて頂いた。ハノンさんとローラさんがかなりお酒が回っていたので、心配だったのもあった。腕を組んで楽しげに会話をするお二人の後ろをついていく様に、私達も並んで歩く。

 今日も彼は両手いっぱいの食べ物を抱えていて、あの日の事を思い出して笑っていると、彼に荷物を持つ様に頼まれた。

「やっと観念したのね。この間の時も持つって言ったのに」
「あ、そっちの手で待って」
「どうして?」
「手を繋ぎたいから」

 さらりと言われて動揺している内に、彼と手を繋いでいた。別に私が不安になっていたから繋ごうとした訳じゃない。彼が繋ぎたくて繋いでいる。その意味を考えてしまい、私の心臓は高鳴り始めた。誘導されたとはいえ自ら袋を持ち直したというのに、急に恥ずかしくなってくる。

「…お二人に見られたらどうするの」
「どうするって?」
「分かってるくせに….白々しい」
「はは!大丈夫だよ、あっちも二人の世界だし。それに見られたって困るものでもない」

 あっちもって何よ、と思っていたら彼の繋ぎ方が変わった。指を絡ませる様な繋ぎ方になって更に心臓が跳ねた。いつもの暖かな彼の手とは違っていた。何だか、熱い。

 すっかり何も言えなくなって、彼も黙っていた。ただただお互いの熱を手に感じながら、屋敷まで歩いた。

 それから二日後。ついに新事業に向けての一歩を踏み出す時が来た。彼と話し合った結果、オンズロー商会にお願いする事にした。歴は浅いが今注目されつつある商会の一つだそうで、何より代表の人柄が気に入ったからだった。

 来られる前に互いの身だしなみをチェックしていると、また彼が恥ずかしい事をさらりと言ってきた。それを指摘すると、まだ足りないくらいだと言われて思わず尻込みしてしまう。この間の手を繋いできた事といい、最近彼がやたら積極的な気がする。嫌でも意識してしまうし、彼もそれが狙いなのかもしれないと気付き始めた。

 私は私の為に生きていく。そう決めて結婚出来ないと彼に伝えた。でもこんなにもここに馴染むとは思わなくて、こんなにも彼を好きになると思わなくて、私はどうしたいのか分からなくなってしまっていた。私が彼に抱くこの好意は恋なのだろうか。優しくされてつい甘えたくなってしまっているだけなのではないかなど考えてしまい、彼の積極的な行動から逃げてしまう。すぐに目を逸らそうとする私の悪い癖がまた出ていた。

 でも随分と肯定的に捉えられているとは思う。何故なら単純に彼のそばにいたいと思うからだ。でもそれは彼と結婚するという事。この事業が落ち着いたら、ちゃんと考えようと決めていた。

 秘書を連れてやって来たオンズローさんから具体的な話を聞く。注文の取り方、値段設定などの案は大方問題なかったが、私は気になった事をいくつか質問した。

 そこまで気にしないでいいといった答えだったが、私はやっぱり自分の悪評がネックだった。彼とちゃんと向き合えないのもこのせいだ。

 それが顔に出ていたのだろうか。オンズローさんがとある記事を見せてくれた。そこには私を褒め称える言葉が並んでいて、むしろ王族であるケビン様を少し非難している様な内容だった。

 私はこの記者を知っている。婚約破棄が決まった時、私の悪評は全国紙の新聞によって広まった。そんな中唯一この記者だけは私の堂々とした姿勢を評価してくれていて、たまたまたその記事を見つけた私は驚いた。でもあの頃は悲観的な考えしか浮かばなかったからそれすらも信じられなかったけど、これを読むとやっぱりあの時も私を庇ってくれていたんだと感動した。

 しかもこの記事のおかげで早速ドレスの問い合わせも来ているらしい。ただ、様子見をされているといった感じで、客が前向きになれない理由は恐らく私が関わっているからだろうなと察した。そこで若干沈みそうになったが、オンズローさんがとある催しがあるからそこで宣伝しませんかと提案してくれた。

 確かに私の名前だけだと敬遠してしまう人が殆どかもしれないが、実際に話せば受け入れてくれるかもしれない。昔の様にただ傍観するんじゃなく、自分からも動いていかなきゃ。これからの為にも、私達はその催しに参加する事にした。

 旅費を出してくれるだけではなく、付き添いも連れてきていいと言ってくれたので、私はニイナとリンダさんを連れて行くことにした。リンダさんはオーガンジーへの想いが強く、どんな目の肥えた客が来ても対等に話せるほど知識も豊富だ。何よりリンダさんにとって何気ない事がどれだけ技術的に優れているか知ってもらいたかった。

 そして当日。予想通り、いや予想以上にリンダさんを連れて行くのは難航したが、オーガンジーを見た興味津々の客を見てリンダさんの顔が変わった。最初は遠慮していたものの、たくさんの人に褒められる内にどんどん自信を持ち始め、堂々と説明できる様になっていった。一方私はというと

「…あの、このドレスのことについてお伺いしてもよろしいでしょうか…?」
「ええ、勿論ですよ」

 来るほとんどの客が私に怯えている様な物腰だった。もしくは私がミラ・イヴァンチスカだと気付くとあからさまに顔色が変わったり、やや高圧的だったりと、やはりここでも私の噂はしっかりと定着している様だった。

 向き合う人全てがそんな反応だったので正直しんどかったが、それでも私は逃げずにちゃんと一人一人と向き合った。そのおかげか、今の所会話した全ての客が最終的には笑顔で帰っていっている。地道でもこうやって少しでも私のイメージを払拭出来ればいい。大丈夫。私には村のみんなが、彼がいるんだからと思いながら何とか耐えていた時だった。

「あれってミラ・イヴァンチスカ…?」

 人がまばらになったタイミングでそんな声が聞こえた。さっきから色んな人が私を遠巻きでこそこそと見ている事には気付いていた。何とか視界に入れない様にしていたのに、耳に入ってしまうとどうしても気になってしまう。

「ああ…本当だ。何でこんな所に?」   
「オンズロー商会?どこかの田舎貴族の所に嫁いだんじゃなかった?」

 私に聞かせたいのだろうか。明から様に棘のある言葉の数々が心に刺さっていく。そこにどうにか意識を持って行かない様にしようとした時だった。

「人を階段に突き落としといてよくもあんなヘラヘラと…」

 頭が一瞬で真っ白になった。久しぶりに指先が冷えていく感覚を覚える。やっぱり私は殺人未遂を犯した人間という認識なのか。そんな現実が私を襲う。

「お疲れ様。冷たい飲み物を買ってきたよ」

 ほっとする声が聞こえて顔をあげると彼がいた。さっきの話は聞こえていただろうか。分からないけど彼はいつもの様に朗らかな笑顔を浮かべていた。私は咄嗟にどうにかいつもの様に努めたけど、やっぱり耐えきれなくてニイナを連れてその場から離れた。少し強引すぎただろうかと思ったけど、そこまで気を遣う余裕はなかった。

 あてもなく人混みの中を歩いて行く。ニイナは黙って着いてきてくれていた。やがて人通りが少なくなった所で立ち止まり、ニイナに問うた。

「聞こえた…?」

 私の問いかけにややあった後、ニイナは「…はい」と答えた。

「だから何も言わずに着いてきてくれたのね」

 そう言いながら振り向くと、いつもそこまで感情を露わにしないニイナが強い瞳で私を見ながら言った。

「ミラ様は、素敵なレディですよ」

 それは最小限で最大限の言葉だった。たったそれだけで心が落ち着いていく。やっぱり私にはたくさんの味方がいる。この鬱々とした気持ちが全て晴れた訳ではないではないが、ニイナのおかげで明るい気持ちで今回の旅を終えることが出来たのだった。

 それから一週間後、ついに新事業は始動した。催しでの宣伝が覿面で、イベントが近い事もあってどんどん依頼が舞い込み順調なスタートを切った。早速得られた利益で工房を建て、オーガンジーの色のバリエーションも増やす。ただ、これからというタイミングでそのイベントが終わってしまった事により、依頼の数は一気に減った。

 正直それは想定内だった。やはり首都圏で認知されなければ爆発的なヒットには繋がらない。オンズローさんも方々で宣伝してくれているみたいだが、中々身を結ばない状態が続いていた。

 恐らく私の事が尾を引いているのだろうと思う。少し前にエンパイアドレスが流行した時に、自分の影響力を目の当たりにして驚いたが嬉しかった。

 それで正直舞い上がっていたのかもしれない。どんな悪評があろうと、私がする事は誰もが受け入れると思っていたけど、やはりあの時と今の状況は違っていた。むしろ私の存在がみんなの足を引っ張っている気がしてならない。また落ち込み始めた時、ニイナが素晴らしいアイディアを思いついてくれた。

 ニイナの子供服に手直すという案は無事採用され、ついに首都圏からの依頼が舞い込む様になった。そして私達はまた忙しい毎日を送る事になった。

 私は前々からニイナのセンスを信頼していて、今回の素晴らしいアイデアを思い付いた事といい、大分手一杯になってきた仕事を彼女にも回す様になった。気遣い上手なニイナは期待通り、むしろそれ以上の仕事ぶりを発揮してくれてかなり助かっている。

「ニイナ、ちょっとローガンの所に行ってくるわね。渡したいものがあるから」
「それなら私が」
「いいの。丁度オンズローさんにも聞きたい事があるし」

 その日、オンズローさんが突然工房に訪問して来てどうしたんだろうと思っていたら、慌てた様子で彼がオンズローさんを屋敷の方に連れて行っていた。用事序でに、珍しい彼の様子も気になったため私も屋敷に戻る。マリアに聞いて彼らがいる部屋へ行き、扉をノックしようとした時、話し声が聞こえて躊躇してしまった。

「…俺はこういったものはよく分からないんだが、そんな俺でも分かる程にいい代物だ」
「嬉しいお言葉をありがとうございます。今まではシルバーが主流だったのですが、とある工房さんがゴールドを使用する様になりまして肌馴染みが良く最近人気になってきているのです。少しお値段は張りますがその分こちらがお出ししますので」
「そ、それはだめだ。きちんと払わせてくれ」
「いえ、これはこっちが勝手にした事ですので」

 何の話だろう、と考えている中彼らの会話は続く。

「本当にありがとう。自分ではこんないいものは選べなかった。きっと彼女も…」
「ローガン卿?」
「いや、何でもない。こんなに良くしてくれてありがとう。頑張って渡すよ」

 断片的なワードでアクセサリーの話をしているという事は分かった。更に私に隠れて準備している事と、ここ最近の彼の挙動から察してしまった。きっと指輪だ。彼は私に求婚するつもりなんだ。

 そう気付いた瞬間とても舞い上がった。熱くなっていく顔を意味もなく両手で覆って小さく息を吐く。そんな自分に驚いた。どうしよう、すごく嬉しい。そこまで考えてようやく自覚した。

 私は彼と結婚したいんだ。彼の事が好きなんだ。

 聞いてしまった事に罪悪感を感じ、にやけてしまう顔をどうにか抑えていた時に、また彼らの会話が聞こえた。

「そういえばどうなった?」
「…ああ、その事なのですが」

 先ほどの雰囲気とは一変して何やら不穏な空気を感じ、上がっていた口角が下がる。そして自然と耳を澄ませていた。

「他の商会でも続々と子供服の手直しを請け負う様になってきていますが、ウィリアムズ領の村の方々の技術とオーガンジーはうちの専売特許ですからね。ここで手直しした事を隠したいと言われても、必ず露呈するかと思われますとお伝えしまして…」

 その後もオンズローさんは話を続けていたけれど、耳に入ってこなかった。“ここで手直した事を隠したい”という言葉が頭を巡る。なぜ、と思うまでもない。

「…という訳で、渋々といった感じでしたが一応は納得されていました」
「…馬鹿らしい。そうまでしてうちに頼む理由は何なんだ」
「それ程に引き寄せられる物があるのでしょう。全て奥様のおかげなのに、それを隠そうとするだなんて…悔しいです」

 最後のオンズローさんの言葉で確信した。やっぱり私なのか。

 私達の事業が話題になった事で競合相手が出始めた。今の所負ける気はしないが、いつどうなるかは分からない。うちより魅力的な所があれば簡単に世間は飛びつくだろう。本当は私と関わりたくないと思っているのだから。

 その場から離れる。もっと早くそうすれば良かった。いや、聞いて良かったのだ。

 当たり前だけどこの事業は絶対に失敗したくない。工房を建てたし、新しいミシンや機織り機も購入した。今月からは給金も払える様になってみんな大喜びだった。このまま続けば村の方にも還元できるようになるし、修正しながらなんとか生活しているこの屋敷だって建て直せる。この状態を絶対に維持させたい。となるとやる事は一つだ。

 歩いている最中に窓に映る自分に気付いて立ち止まる。何て顔をしているのかしら。

「…最初からそのつもりだったじゃない。私だけの為に生きていく。そうでしょう?」

 私はここから出て行く事に決めた。

 
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