終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 343年

373年8月4

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 ともやが私を見た。見つめている。
 ずっと眠っている姿を思い出していた。やっと私を見てくれた。
 何を考えているかわからない。無表情で見ている。それが硬くなり、出て行けと言い出すかもしれない。言われても離れはしない。

 私を見て笑う。笑ってくれた。
 彼女の元まで急ぎ、抱き締めた。ともやだ。前より細くなったがともやだ。

 ともやも私を抱き締める。前のように。私を受け入れてくれた。
 黒髪に口付ける。首。肩。ともやだ。
 いきなりともやが手を離し、私の肩を押しやった。
「何でここにいるの?」

 ともやだ。笑みが浮かぶ。変わらない。
 少し顔が離れたからキスしやすくなった。強引にキスを続けると彼女が抵抗する。
「何で、ここにいるの」
<会いたかった>
「イユリスは?」
<ファリオンに頼んだ>

 物凄く眉を顰めている。そうなるだろうと思った。ともやらしい。問題は、追い返されないかだ。
<私は評判の悪い王子になったので、いないほうがいいんだ>
 眉を顰めたまま沈痛な顔になった。
「私のせいで」
<そう。だから言っただろう、必要だと>
 少し俯いた。
<今も必要だからここに来た>
「私は今もソウシュウの正室で、」
 キスをする。

<イユリスではなく私に必要なんだ。ファリオン達に頼んだからイユリスには戻らない。そしてソウシュウからは許可を得ている>
「許可」
<ここに来てもいい。三ヵ月待ったら会っていいと言われた>
「・・・」
<悲しいのか? 何を考えているか教えてほしい>

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<あなたにとっては必要ないのはわかっている>
「いや・・・いや、そんなことはない」
 とても苦しそうに言うが、もう一度言ってほしい。

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<あなたにとってあなたはいらないものなのだろう。つまらない、ただの道具で、簡単に捨てられる。捨てるのなら私にくれ。私には必要なものなんだ>
 あなたの価値をあなただけが認めない。私は欲しい。何を引き換えにしても。

 ともやが笑った。
<じゃああげる。有効に利用してください>
 彼女を抱き締め、キスをする。
 私のものだ。もう二度と離さない。
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