343 / 365
被保護編 340年
340年2月1-4
しおりを挟む
パーティには絶対出ないけど、身内の集まりであの曲を弾くことになった。
ソウシュウ様がヴァイオリンをくれた。かなりいいものだ。もったいない。借りられればそれでいいのに。
もう三ヵ月以上も前だからどうかと思ったけど、楽団の皆さんは覚えていてくれた。
ソウシュウ様が用意したドレスで行く。
ドレスは大げさだと思ったけど違った。そうだよね。ソファリスは皇族が多いんだ。正式なパーティとほとんど同じ規模だった。
仕方ない。顔見せはしなくてはいけなかった。どの顔で挨拶すればいいかわからないけど、よろしくとは言っておかないと。
弾くとき、弾きながら泣きそうだ。
歌詞は歌えない。音痴だし、どうにも訳せない異言語はこの世界の人にパニックを起こす。
『過ちが蝕み喉を嗄らし泣く』か。よくも選んだもんだ。
こんな場所で、こんなときに弾くはずじゃなかった。
メンバーが違う。目的も。いや目的は同じか。
ここにはいないはずだった。何でこんなところで弾いているのか。
それは私が決めたからです。
曲は好評だった。私は少し間違ったけど。
また、誰かがもう一曲を求めてきたので引き受けた。ちょっと自棄になっている。別れの曲を弾いてやる。
自分の子にヴァイオリンを教えてほしい、楽団の責任者になって指導してほしいとか言われたが、それはできない。剽窃だ。
まだたくさん覚えているし、覚えるほどだからどれも名曲。それを発表すればそりゃあ評価される。ばれなくてもこれ以上良心の呵責に耐えられない。
曖昧にごまかして帰ってきた。私が胸を張って曲を発表しない理由を求められたら何て答えよう。
実は死んだ友人が作曲したとか言っておくか。
誰か自分の曲だと言い出さないだろうか。そうすれば盗作。追放とかしてくれないかな。
あと十年か。長い。
猫たちは元気かな。会いたい。さわりたい。
ソウシュウ様がヴァイオリンをくれた。かなりいいものだ。もったいない。借りられればそれでいいのに。
もう三ヵ月以上も前だからどうかと思ったけど、楽団の皆さんは覚えていてくれた。
ソウシュウ様が用意したドレスで行く。
ドレスは大げさだと思ったけど違った。そうだよね。ソファリスは皇族が多いんだ。正式なパーティとほとんど同じ規模だった。
仕方ない。顔見せはしなくてはいけなかった。どの顔で挨拶すればいいかわからないけど、よろしくとは言っておかないと。
弾くとき、弾きながら泣きそうだ。
歌詞は歌えない。音痴だし、どうにも訳せない異言語はこの世界の人にパニックを起こす。
『過ちが蝕み喉を嗄らし泣く』か。よくも選んだもんだ。
こんな場所で、こんなときに弾くはずじゃなかった。
メンバーが違う。目的も。いや目的は同じか。
ここにはいないはずだった。何でこんなところで弾いているのか。
それは私が決めたからです。
曲は好評だった。私は少し間違ったけど。
また、誰かがもう一曲を求めてきたので引き受けた。ちょっと自棄になっている。別れの曲を弾いてやる。
自分の子にヴァイオリンを教えてほしい、楽団の責任者になって指導してほしいとか言われたが、それはできない。剽窃だ。
まだたくさん覚えているし、覚えるほどだからどれも名曲。それを発表すればそりゃあ評価される。ばれなくてもこれ以上良心の呵責に耐えられない。
曖昧にごまかして帰ってきた。私が胸を張って曲を発表しない理由を求められたら何て答えよう。
実は死んだ友人が作曲したとか言っておくか。
誰か自分の曲だと言い出さないだろうか。そうすれば盗作。追放とかしてくれないかな。
あと十年か。長い。
猫たちは元気かな。会いたい。さわりたい。
4
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる