終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 339年

339年10月7-1

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 行ってきました、セントシンシに。
 ロユデよりも商品の幅が広かった。特に野菜。大根や柿があった。ソファリスには日本に似ている気候のところがあるらしい。
 それから海草もあった。昆布はなかったけど、詳しく聞くと現地にはあるみたい。やっぱりね。場所が似ていれば食生活も似るんだ。

 醤油と味噌については調査中です。これは街をうろうろするより、皇宮の厨房とか評判のいい料理店に行って聞いた方が早いかもしれない。

 ソファリスはイユリスよりも貧富の差が大きい。
 生活保護はもちろんないけど、そこに行けば一日一食は出すという食事の供給所がある。その周りはスラム化している。近寄ってはいけないと言われた。

 大きい街にはこういう供給所があるそうだ。そしてやはり周囲の治安が悪い。だから供給所を増やすことには反対が多い。けれどソウシュウはそれを断行できて、増やしたそうだ。
 チケットを渡して、それを出せばどんな店でも食事できるってすれば・・・だめか。奪われるな。もしくは偽造される。

 食べるほどに困っている人は少ない方だと思う。他の国だともっと多かった。
 経済が発展しても、必ず取り残される人はいる。それをどう救うかは大きな問題だ。不満を持つ人間が増えると国が不安定になる。ソファリスはまだ安泰。

 セントシンシの他にもソファリスの製紙工場とか、製糸工場とか、学校とか、軍の教練とか、いろいろ見せてもらった。

 それはいいんだけど、肝心のソウシュウとなかなか会えない。
 第一皇子主催のパーティに呼ばれたときはいたけど、話しかけてこないし、こちらから近寄るのもね。こっちはいっぱい人がいるから、それを引き連れていってもろくに話せない。
 けれど私たちを見てはいる。疲れる。

 お茶会とかに招かれて上品におしゃべりしているけど、滞在が延びてきたのでレイサスがまずい。
 全くソウシュウに近づけていないからまだかかりそうなんだけど、この状況では絶対に嫌だ。常にソウシュウに監視されている。いや私だって寂しいと感じないわけじゃないけど。

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