終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 339年

339年10月1-2

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 ツァイリスの国王は、製紙工場にはあまり関わっていないらしい。
 気まずさもなく、評判の高いオーサーに会えたことを喜んでいた。五十代のダンス好きな王だ。

 ツァイリスは音楽の種類が豊富だ。楽器が豊富だから。
 オーサーは王に案内されて、珍しい楽器を見、弾いてみて、楽しそうだった。
 パーティではもちろんレイサス様と踊ったが、ツァイリス王とも踊った。レイサス様は不興だが、断れるものではない。

 とても美しかった。オーサーはダンスが上手い。
 ダンスだけではなく馬術も武術もできるから、おそらく運動神経がいいのだ。
 王に教えてもらって、すぐに合わせて新しいステップを覚え、どうやら王の即興で旋回なども入れている。器用な人だ。

 レイサス様が不機嫌になるのがわかる。ツァイリス側は気づかないだろうが、機嫌が悪い。
 オーサーが他の男と楽しそうに踊っているからだ。
 確かに、あんなにオーサーが楽しそうに踊っているところは見たことがない。
 息を乱して帰ってきた途端、レイサス様が手を取って離さなかった。

 各国では二人の部屋は別に用意させている。夜も別に眠っているようだ。
 途中の宿では一緒の部屋だし、レイサス様がオーサーを少し強引に連れて行く事もある。
 今晩は、オーサーはレイサス様を締め出すことはできないかもしれない。

 ツァイリスの後は、いよいよソファリスに帰国する。
 叔兄はお待ちだろう。オーサーもきっと待っている。
 オーサーの望む社会を実現するには、ソファリスの力が欠かせず、ソファリスは叔兄が握っている。
 オーサーは叔兄をどう説得するのだろうか。あの叔兄を。

 妾は叔兄のお気に入りだと言われているが、それは叔兄がそう見せたかったからだ。そう思わせることで妾の発言力を増し、コウセンをどうにかさせたかった。
 妾ではどうにもできなかった。コウセンを成長させたのはオーサーだ。

 二人が会うときが楽しみで、少し恐ろしい。気が合っても、気が合わなくても、おそらく物凄い速さで物事は進む。誰にも止められないだろう。
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