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被保護編 339年
339年9月3
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私は心から喜んでいる。ようやく決心してくれた。
どうしても必要でなければレイサス様に近づきもしなくなって、途方に暮れていた。
どうやって承諾させたのかレイサス様に尋ねると、シルヴィオ様に聞けと言われた。
シルヴィオ様に聞くと、責任感だと言う。
オーサーはお気の毒に。まるで罠にかけられたかのよう。逃げられないのね。
そうではなくて、オーサーが心からレイサス様と共にいたいと思うようにはできなかったのかしら。
シルヴィオ様なら何とかできたのではないかしら。
無理かもしれない。オーサーだから。けれどオーサーだからといって、無理に結婚させるなんて。
オーサーにも確認した。
「必要であればする」と言う。
必要。必要なのは確かだけど、必要性だけで結婚をしてはいけない。
「オーサーは、レイサス様を愛しているの?」
「・・・愛してはいない」
「けれど好き?」
「好き・・・クリスがどんな意味で聞くかによるけれど、好きなことは好きです」
「・・・人間として」
「とても尊敬している。けれどどうしようもなく、女の趣味が悪い」
「・・・」
前と何も変化がない。
「無理に結婚するわけではないのね?」
「・・・しないですむならありがたいけど、そうやって逃げ続けるわけにはいかないのはわかってる」
「好きか嫌いかで考えた方がいいわ。責任とか、しなくてはいけないとかではなくて、好きだったら結婚すればいいし、嫌いなら断るべきよ」
「・・・好きだけど結婚するほど好きじゃない。違うか。私と結婚させるほど嫌っているわけじゃない」
よくわからない。
けれどわかった。オーサーも迷っていて、よくわかっていない。
嫌いだと拒否するほどではないし、好きだと喜ぶほどでもない。だから責任感。シルヴィオ様はさすがだと思う。
ドレスを着たオーサーはとてもきれいだった。
レイサス様はオーサーに夢を抱いている。着せたいドレスはたくさんあるのでしょう。
レイサス様の希望を入れたデザインが、とても似合っていた。
レイサス様はその姿を見たくて部屋の前をうろうろしていたけれど、まだお見せしない。
式の当日に初めて見た方がいいでしょう。
強く大きく、頼りがいがあるように見えるオーサーは、実はとても華奢。首や腕の、腰の細さが、ドレスだとよくわかる。
あのドレスでレイサス様の隣に立つとき、人々はオーサーの美しさと本当の弱さに気づき、レイサス様の力強さを知る。
そしてお似合いの二人だと思うでしょう。
どうしても必要でなければレイサス様に近づきもしなくなって、途方に暮れていた。
どうやって承諾させたのかレイサス様に尋ねると、シルヴィオ様に聞けと言われた。
シルヴィオ様に聞くと、責任感だと言う。
オーサーはお気の毒に。まるで罠にかけられたかのよう。逃げられないのね。
そうではなくて、オーサーが心からレイサス様と共にいたいと思うようにはできなかったのかしら。
シルヴィオ様なら何とかできたのではないかしら。
無理かもしれない。オーサーだから。けれどオーサーだからといって、無理に結婚させるなんて。
オーサーにも確認した。
「必要であればする」と言う。
必要。必要なのは確かだけど、必要性だけで結婚をしてはいけない。
「オーサーは、レイサス様を愛しているの?」
「・・・愛してはいない」
「けれど好き?」
「好き・・・クリスがどんな意味で聞くかによるけれど、好きなことは好きです」
「・・・人間として」
「とても尊敬している。けれどどうしようもなく、女の趣味が悪い」
「・・・」
前と何も変化がない。
「無理に結婚するわけではないのね?」
「・・・しないですむならありがたいけど、そうやって逃げ続けるわけにはいかないのはわかってる」
「好きか嫌いかで考えた方がいいわ。責任とか、しなくてはいけないとかではなくて、好きだったら結婚すればいいし、嫌いなら断るべきよ」
「・・・好きだけど結婚するほど好きじゃない。違うか。私と結婚させるほど嫌っているわけじゃない」
よくわからない。
けれどわかった。オーサーも迷っていて、よくわかっていない。
嫌いだと拒否するほどではないし、好きだと喜ぶほどでもない。だから責任感。シルヴィオ様はさすがだと思う。
ドレスを着たオーサーはとてもきれいだった。
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レイサス様の希望を入れたデザインが、とても似合っていた。
レイサス様はその姿を見たくて部屋の前をうろうろしていたけれど、まだお見せしない。
式の当日に初めて見た方がいいでしょう。
強く大きく、頼りがいがあるように見えるオーサーは、実はとても華奢。首や腕の、腰の細さが、ドレスだとよくわかる。
あのドレスでレイサス様の隣に立つとき、人々はオーサーの美しさと本当の弱さに気づき、レイサス様の力強さを知る。
そしてお似合いの二人だと思うでしょう。
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