終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 339年

339年8月2-2

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 オーサーがすぐに立ち上がった。
「みなさんご自身がいらっしゃるとは。記者を向かわせてまず話を聞いていただければ充分でしたのに。記事にできるかもわからない題材です」
「私も記者ですから」
「オーサー様が目をつけられた話なら、確実に記事になります」
「他の皆さんに先を越されるわけにはいきませんから」
 口々にオーサーに言う。オーサーは慕われているから。

 男から話を聞き、質問をし、社長たちは記事にするらしい。
「カンディさん、軍と一緒にソファリスの関係者がいたことはありませんか?」
 オーサーはソファリスを気にしている。

「オーサー様、なぜソファリスが関わっているとお考えですか?」
「ソファリスの港があればいい場所にヘラート村があるからです。もともと海岸近くで土地もよくない。人口も多くない。ランリスが港を整備し現地の人を雇用、もしくは補償すれば、何の問題もなかったはず。噂の皇叔が指示したとは思えないけれど、行き違いでもあったか」
 途中からは自分自身に話していた。

「少ないからこそ簡単に潰せると、普通は思うんだろう」
 ファリオン王子が言った。そう。それが普通だ。
「普通か」
 オーサーが社長たちを見た。
「では普通の基準が変わりつつあることを知らせましょう。今までは一介の庶民が苦境を広く知らせる手段はなかった。今はある」
 社長たちがうなずいた。

 貴族は権力を持つために少数で、だから力があったけれど、オーサーは多数の人の数を力にする方法を見つけた。基準が変わる。
 けどイユリスでも新聞を買ってまで読む人間はまだ少ない。さらに問題は国外だ。どうにかなるものなのか。
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