終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 339年

339年5月3-2

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 オーサーが妾を歓迎し、協力的なのは有難いが、他の者は心情では歓迎していない。

 レイサス様について会議や式典に同行する。パンツをはいて馬に乗った妾は、遠目からだと黒い髪に見えない事もない。日が当たっていれば特にそうだ。
 到着したときの皆の落胆は心苦しい。オーサーではないのだ。
 レイサス様が紹介してくださるが、歓迎はされない。丁寧には扱われるが、オーサーであればよかったのにという思い、レイサス様に近寄るなという思いが伝わる。

 オーサーはレイサス様とほとんど行動を共にしないらしい。
 別に行動すればそれだけ多くの者と会えると、自分はファリオン王子を連れて行動する。
 オーサーは国民からの人気が高い。レイサス様との結婚を待つ者が多い。

 しかし寵愛の深さは噂になるが、同時にオーサーにその気がない事も広がっている。
 オーサーが人前でレイサス様の隣に立つのはパーティの時ぐらいで、他は共にいても、隣ではなく後ろで従者として控えている。それも珍しい事だから、皆は妾を見て勘違いし喜んだ。

 行く先々で同じ事が起こる。
 人々は妾に聞かせる為に声高に、レイサス様にオーサーのことを聞き、オーサーを褒め、感謝を伝える。
 レイサス様は慰めの言葉をくれた。
「公主だからではなくオーサーではないから皆落胆している。私が行ってもがっかりされます。お気になさらないように」
 それを言うレイサス様は少し嬉しそうだった。本当にオーサーを愛していられる。

 オーサーよりも早く妾と会っていたらどうなっていただろうか。
 オーサーと同じ事はできなくとも、似たような事はできたのではないだろうか。
 そうすれば妾はレイサス様と結婚していただろう。

 レイサス様は妾の馬の乗り降りを手伝ってくださる。腰をつかんで軽々と持ち上げる力強さや近さ。自分の小ささを感じる。守られている。
 オーサーは自分で、レイサス様の助けを断って、自分で乗る。オーサーは一人で行動できる。
 妾もそうなりたいが、レイサス様の隣にいると、そうなりたいのだろうか。
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