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被保護編 338年
338年1月16-2
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「王妃は」
「死刑だ」
そう言うと思った。
「罪状は?」
「教唆及び主犯だ」
それは苦しいでしょう。証拠はない。何より、一国の王妃を処刑するなんて影響が大きすぎる。
「王妃は何も知らなかった。だから処刑はできない」
「あの場にいて知らなかったではすまない」
「それを証言できる人間はいない」
「ファリオンがいる」
子に親を告発させる。息子に告発される母。復讐としては完璧だけどね。
「証言としては弱い。利害関係があるから。王妃がいなくなれば厚遇すると圧力を掛けられたら、第二王子は逆らえない」
「・・・あなたをこんなに傷めつけた事実がある」
「私をやったのはソサイゾで、王妃は知らなかった。ちょっと私を見ないで冷静に考えて。十年、二十年後に証拠もないのに王族が処刑されたという前例が残るということを。悪しき例を、絶対に作ってはいけない」
「・・・」
「私を心配してくれたことはありがたいし、怒ってくれていることもありがたいけど、これは誰が悪いというわけではないと思う」
「ソサイゾが犯人だと言っただろう」
「そう。だけどソサイゾの立場なら私が本当に目障りだった。殺したいし、どうせ殺すなら邪魔な奴も一緒に消せれば一石二鳥。無駄がない」
レイサスが何か言いたそうだけど、ちょっと待て。そしてそんなに近づかないでほしい。
「王妃はファリオンを取り戻したかっただけ。最近呼んでも来なくなったし、ソサイゾはなぜか力になってくれない。たまたまあの場所に来ただけ」
マクシミリアンさんたちを見た。皆さんもレイサスを止めたいはずだ。
「この状況は好機だ。ソサイゾを排除できる。王妃も後見を失いおとなしくなる。石炭は手に入るし、直轄でなくても間接的に領地が手に入る」
レイサスの瞳は光によって色が変わって見える。今はグレーだ。
「王妃とその父を処刑し領地を取り上げたと言われれば、後年それに倣う人間は現れる。欲しいもののためなら殺せばいいという例を作ってはいけない」
レイサスが少し目を細め、イスから立って私の前にひざまずき、手を取った。
「あなたの言う通りに。あなたはいつも正しい」
手に口付けるのはやめて。手を引いたけど痛いし、動きがゆっくりだからレイサスが付いてくる。意味ない。
「死刑だ」
そう言うと思った。
「罪状は?」
「教唆及び主犯だ」
それは苦しいでしょう。証拠はない。何より、一国の王妃を処刑するなんて影響が大きすぎる。
「王妃は何も知らなかった。だから処刑はできない」
「あの場にいて知らなかったではすまない」
「それを証言できる人間はいない」
「ファリオンがいる」
子に親を告発させる。息子に告発される母。復讐としては完璧だけどね。
「証言としては弱い。利害関係があるから。王妃がいなくなれば厚遇すると圧力を掛けられたら、第二王子は逆らえない」
「・・・あなたをこんなに傷めつけた事実がある」
「私をやったのはソサイゾで、王妃は知らなかった。ちょっと私を見ないで冷静に考えて。十年、二十年後に証拠もないのに王族が処刑されたという前例が残るということを。悪しき例を、絶対に作ってはいけない」
「・・・」
「私を心配してくれたことはありがたいし、怒ってくれていることもありがたいけど、これは誰が悪いというわけではないと思う」
「ソサイゾが犯人だと言っただろう」
「そう。だけどソサイゾの立場なら私が本当に目障りだった。殺したいし、どうせ殺すなら邪魔な奴も一緒に消せれば一石二鳥。無駄がない」
レイサスが何か言いたそうだけど、ちょっと待て。そしてそんなに近づかないでほしい。
「王妃はファリオンを取り戻したかっただけ。最近呼んでも来なくなったし、ソサイゾはなぜか力になってくれない。たまたまあの場所に来ただけ」
マクシミリアンさんたちを見た。皆さんもレイサスを止めたいはずだ。
「この状況は好機だ。ソサイゾを排除できる。王妃も後見を失いおとなしくなる。石炭は手に入るし、直轄でなくても間接的に領地が手に入る」
レイサスの瞳は光によって色が変わって見える。今はグレーだ。
「王妃とその父を処刑し領地を取り上げたと言われれば、後年それに倣う人間は現れる。欲しいもののためなら殺せばいいという例を作ってはいけない」
レイサスが少し目を細め、イスから立って私の前にひざまずき、手を取った。
「あなたの言う通りに。あなたはいつも正しい」
手に口付けるのはやめて。手を引いたけど痛いし、動きがゆっくりだからレイサスが付いてくる。意味ない。
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