終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 338年

338年1月7

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 オーサーが地下室に、両手両足を縛られて転がされていた。
 すぐに駆け寄って解きたい。出来ない。
 王子である俺を縛って行動させる。エンディオには本当に俺はただの駒なんだ。

「私達と似ているが別物です」
 そんなわけないだろ。
「同じ人間だ」
「そう見えるだけです」
 オーサーが殴られた。女を、オーサーを殴るなんて。
「何て事をするんだ」

 二人に抑えられ後ろに一人いる。拘束が緩まない。
「離せ。私に触れるな」
「ハンカチや布切れを持っていないか探せ」
 男がオーサーに近寄って剣を向けた。止めろ。
 服だけを切ったようだ。怪我はなさそうなのが救いだが、止めろ。オーサーに触るな。
「エンディオ、お前の言う通りにする。だからオーサーを離せ。関係無いんだ」

 上にはない。当たり前だ。オーサーはそんな物持ってない。
 男がベルトに手を掛けた。
「止めろ、エンディオ、それは本当に止めてくれ」
 何でもする。止めてくれ。
「ありません」
 男が服の上から触った後に言った。
「布をただ身につけていても血は擦れて薄くなるだろ。包んで持っていたら触ればわかるはずだ」
「殿下、軍で怪我をしたことはありませんか?」
「ない。本当にない」

 エンディオがオーサーに近づく。何をしようと。
「レイサスをこれで異世界へ送れ」
 布をオーサーが届かない所に落とした。
 まだあったのか。兄上の血か。

 兄上に異常に憧れた女が乱入して怪我をしたとかさせたという噂があったが、あれは多分エンディオの差し金だった。血が必要だったんだ。
「できない。知らないから」
 オーサーは冷たく言った。怖くないのか? 普通はもっと怯えるだろ。
 だけどオーサーは内心を隠すから。見た目ではわからない。本当に異世界から来たのか?
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