終生飼育は原則ですから

被保護編 337年

337年10月1-1

　十月から新年度だけど、例年十月一日に王宮・議会のパーティがあるそう。私もついていっていいそうで、王妃と王子を見られるな。

　新しい会計基準が施行された。
　実際に変化するのは来年の9月の報告だけど、敏感な、あるいは賢い商人なら、もう値下げをするはず。少しでも値を下げて客を増やしたい商人なら、この変更の意図を読み取ってくれるはずだ。

　パーティにドレスを着ろ着ないで言い合いになった。
　なぜ言い合いになるかがわからない。この状況で私がドレスを着るメリットって何？

　ちょうどいい感じで煙に巻いているのに、はっきりさせてどうなるの？　レイサスの愛人って位置づけ？　それはちょっといいかも。虎の威を借る狐をできるかも。
　だけど婚約者もまだ決まっていないというレイサスの評判を落としてまで、今はまだ威はいらない。

　結局私の意見が通りました。当たり前です。筋が通っているからね。
　シルヴィオからもらった正装を着る。武器は近衛以外持ち込み禁止だって。
　ホールはとても広いけど、いるのはほとんどが貴族。職員は入りきれないので会議室にいる人が多いらしい。

　イユリスは北欧のように長身金髪碧眼の人が多いと思っていたけれど、そうでもないのか。出会った人たちがたまたまそういう種類だったみたい。茶髪茶眼が六割くらいかな。貴族は髪の色が薄い人が多い。
　身長は日本よりは高いけど、百八十センチある人は少ない。百七十五センチくらいかな。女性だと百六十五センチ下回るか。

　フレディア王妃を初めて見た。やっぱり美女。はかなげな美女。
　なるほど。歴史を動かした王太后にはかないそうもない。
　ファリオン王子はいないみたい。王妃も辺りを見回しているから探しているみたい。
　ファリオン王子は見たかった。行動を。できれば少し話してみたい。

　レイサスの将来はファリオン王子、面倒だなファリオン次第でもある。
　ファリオンがだめ王子ならソサイゾを抑えればいいし、だめじゃなければファリオンの行動も見ていかないと。使えるなら協力してほしい。それは無理か。
　とにかく本人に会わないとわからないのにこの場にもいないなんて、だめ王子か。

　すごいわ。レイサスは貴族のお嬢様たちに囲まれている。完璧な包囲網だ。それにしても本当にきれいな人だ。どんな表情でもどんなときでも美しいってすごいな。

　エランはレイサスの近くにいるのでそれに飲み込まれているし、エランが目当てのお嬢さんもいる。エランはいい物件だと思う。
　シルヴィオはシルヴィオで囲まれている。皆さんイケメンで身分も財産もあるからね。

　クリスは男性に囲まれていて大変そう。
　マクシミリアンさんは王の側にいるし、もしかして、私ひとり？　ちょっと消えてもいいかな。人が多すぎる。