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被保護編 337年
337年8月2
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オーサーには感心する。見学先を、まさか厨房から始めるとは思わなかった。確かに王宮を知るにはいい場所だ。
貴族も職員も下働きには本性を見せる。
陳情を聞けば国内の問題がわかる。
職員の給料で生活を推測できるし、民間との乖離も明らかだ。
それぞれの部署で知り合いを作ってもいる。
休みは誰にも会いたくないと部屋にこもるが、人が嫌いなのに親しく出来るのは素晴らしい。
それだけに休みには誰にも会いたくないのか。レイにさえも。
彼女が私の子供の頃の服で、レイについて出勤し行動してからの噂は、ほぼ彼女の予想通りだった。
男か? 男みたいだが女か? コパロファカドの出身か?
彼女は髪が少し伸びたらしく、後ろで一つに縛り、横の髪が落ちてこないようにピンで留めている。遠くから見た彼女は、マッチ棒のような、頭が小さくて手足が長い、まだ筋肉がついていない青年のように見える。
出身については、レイが流した「怪我をした時の恩人」という噂でなんとなく落ち着いた。怪我をしたのはソサイゾのせいという説もある。
だがレイが態度を改めなければ、「コパロファカドの魔女」説が流れるだろう。オーサーを見つめすぎる。
オーサーは剣を欲しがり、エランに選んでもらった。リーラントで練習をしてきたらしい。振り方は様になっている。
「お付きの者だから剣は持っていないと」
レイの側近役をする為か。徹底している。
確かに私の服を着て剣を佩いているオーサーは、男か女かわからない。オーサーも王宮では低めの声で話すようにしている。
女性職員にはファンも増えた。女性に優しく、だが贔屓するわけではなく、どんな者にも丁寧に接する。ファンも出来るだろう。
オーサーはリーラントから戻りレイの側近を勤めるようになってから、朝に馬に乗って駆けさせる。
「馬術の訓練と、フィゾと自分の運動になる。私の筋肉を維持しないと」
初日は一人で行ってレイが激怒していた。確かに危険だが、オーサーの性格を考えれば一人で行くだろう。
走っている馬に乗っている人間を狙うとしたら、馬を狙う。馬が大事なら一人は止めた方がいいと口添えした。そう言えば彼女は止める。
今はレイサスが一緒に行っている。私に感謝してほしいものだ。
貴族も職員も下働きには本性を見せる。
陳情を聞けば国内の問題がわかる。
職員の給料で生活を推測できるし、民間との乖離も明らかだ。
それぞれの部署で知り合いを作ってもいる。
休みは誰にも会いたくないと部屋にこもるが、人が嫌いなのに親しく出来るのは素晴らしい。
それだけに休みには誰にも会いたくないのか。レイにさえも。
彼女が私の子供の頃の服で、レイについて出勤し行動してからの噂は、ほぼ彼女の予想通りだった。
男か? 男みたいだが女か? コパロファカドの出身か?
彼女は髪が少し伸びたらしく、後ろで一つに縛り、横の髪が落ちてこないようにピンで留めている。遠くから見た彼女は、マッチ棒のような、頭が小さくて手足が長い、まだ筋肉がついていない青年のように見える。
出身については、レイが流した「怪我をした時の恩人」という噂でなんとなく落ち着いた。怪我をしたのはソサイゾのせいという説もある。
だがレイが態度を改めなければ、「コパロファカドの魔女」説が流れるだろう。オーサーを見つめすぎる。
オーサーは剣を欲しがり、エランに選んでもらった。リーラントで練習をしてきたらしい。振り方は様になっている。
「お付きの者だから剣は持っていないと」
レイの側近役をする為か。徹底している。
確かに私の服を着て剣を佩いているオーサーは、男か女かわからない。オーサーも王宮では低めの声で話すようにしている。
女性職員にはファンも増えた。女性に優しく、だが贔屓するわけではなく、どんな者にも丁寧に接する。ファンも出来るだろう。
オーサーはリーラントから戻りレイの側近を勤めるようになってから、朝に馬に乗って駆けさせる。
「馬術の訓練と、フィゾと自分の運動になる。私の筋肉を維持しないと」
初日は一人で行ってレイが激怒していた。確かに危険だが、オーサーの性格を考えれば一人で行くだろう。
走っている馬に乗っている人間を狙うとしたら、馬を狙う。馬が大事なら一人は止めた方がいいと口添えした。そう言えば彼女は止める。
今はレイサスが一緒に行っている。私に感謝してほしいものだ。
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