終生飼育は原則ですから

保護編

3-1

　レイサスはやはりとても聡明な人で、うちにある本をどんどん読み、帰宅すると食事を作って待っていてくれるようになった。もちろん一品料理です。私が自分に作るのは一品料理だし、それで充分。

　本もマンガもどんどん読んでくれていいんだけど、BLについてはどう説明すればいいだろうか。
　今のところまだそこまで到達してはいないけれど、このまま読んでいけばそこに至るだろうな。

　隠しておくべき？　ダンボール箱一つに入るかどうかって量なんだけど、いまさら隔離するとその説明ができない。
　やっぱりそういう文化もあるってことを説明した方がいいか・・・。

　うちに来て一ヵ月弱。勉強も進みテレビで学習もしているので、一緒に外出してみよう。
　私の都合だけどね。古本屋と古着屋と手芸店に行きたい。ネットで布は買ったからボタンを見てきたい。レイサスのコートを作るつもりです。買うと高い。

　私の趣味の一つに手芸があります。特に編み物が好きで、作ったものを売ったりしているけれど、裁縫もできる。
　普通の服は既製服と布代が同じくらいになっちゃうから作る気力がわきにくいけれど、レイサスくらいの長身だと作ったほうが確実に安い。
　住宅ローンは繰り上げ返済の予定だから、生活に困ってはいないけれどお金は重要。やっぱり食費は倍以上になっているしね。

　どの服を着ようかな。服は好きだけど、普段はスーツで家ではまあひどい格好なので、まともな服を着る機会は少ない。
　レイサスはスカートが懐かしいようだから、スカートにしようかな。
　いつもならタイツをはくけれど、イユリスにはないらしい。カルチャーショックを少なくするために生足で行くか。寒いのは我慢するか。よし、幸い青あざはなさそうだ。

　レイサスは買ってきたパーカーとシャツと、申し訳ないが私の作ったパンツをはいてもらう。
　本当に申し訳ない。もっとまともな格好をさせればもっとかっこいいのに。
　だけどこれ以上目立っても困る。少しでも地味で普通の格好にしておきたい。

　本の部屋から追い出して私が着替える。本の部屋は私の服の部屋でもあるんで。めったに着ない服を貯めている。

　何種類か着ては脱ぎ、こんなもんでいいかとドアを開けるとレイサスが立っていた。居間にいると思ってた。
　私を見てにっこり笑った。「とても綺麗だ」
　おふっ。イケメンの笑顔とお世辞は破壊力がある。
　まあ、いつもと比較すればちょっとはきれいになっていないとまずいしね。

　レイサスはよく笑うようになった。
　いい兆候だ。保護した猫が香箱座りをしているようなものかな。
　落ち着いてきたみたい。安心できる環境であればいいんだけど。

　しかしこのままでいられるわけではないから、これからどうするか私が考えないと。
　とりあえず準備はできたから出発しよう。