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ー遠足 落ちましたー
しおりを挟む単位制高校の遠足の行き先は
バスで1時間半のマツハイランドパーク。
バスの座席は補助席でお尻に優しくないけどさ!
左隣に、仲良くなりたいユンちゃんがいる。
それだけで椅子のコンディションなんて
全く気にならない。
むしろ最高の席に感謝する。
とはいえ、
話したことないしなんかドキドキしてきたぞ。
俺はとりあえずユンちゃんに背を向けて
タカ先輩、ノリさん、マオさんの会話に乗る。
話題はもっぱら
【みんな何でジョージ高に転入とか編入したのか】
「俺はさ~、チャリ乗りながらタバコ吸ってたら
センコーに見つかって1週間停学。そのあと
気に入らねえやつボコって、それでもイライラ
収まらねえから教科書とかいろいろそいつの私物
プールにぶちまけたらチクられて停学からのクビ」
タカ先輩、さすが短気(笑)
「受験面倒だし、俺頭悪いからさ、楽に入れるとこ
っていったらここだった(笑)
俺は踊って遊べればそれでいいんだよね~」
ノリさんの肩の力抜けた雰囲気通りだ、自由人。
ダンスがすごい上手いらしい。
「俺は、赤点ばっかで単位落として1年だぶった。
だぶって1個下のやつらと同じクラスなったら
浮きすぎて無理でさ。そこからまた行かなくなって
2ダブりの危機は回避したくてここに来た」
マオさんは大人だなって思ってたらそうか、
タカ先輩のさらに1個年上なんだな。
みんな色々あるんだな~俺だけじゃないな。
仲間。仲間。
「で?つっちーは な~にやらかしたんだよ?」
タカ先輩が話を振ってきた。
すぐ隣に、ユンちゃんいるし、ここは存在を
わかってもらわなくちゃ!!
トークセンス問われるやつだ。
「俺っすか?俺は~私立のG高ギリ入れたんすけど
ちょうど成長期というか寝る子は育つってやつで
授業中寝てたり、お家で寝てたりしたら
周りの大人にキレられて。
むしゃくしゃして駅で会った他校のやつと喧嘩して
相手ボッコボコにしたらお巡りに包囲されて(笑)
補導されちゃって。
その後、親も学校に呼び出しくらってすげえ謝ってて。
そしたらセンコーが親に向かって
『どんな育て方したらこんな風に育つんです?
お母さんおひとりで兄弟も沢山いるって
お聞きしてますけど、経済的にも愛情的にも
無責任に子ども作りすぎたんじゃないですか?』
って言いやがったんだ。俺止められなかった。
母さんのことバカにするのは許せなかった。
突発的にそのセンコーの顔面1発ぶん殴ってた。
そしたら眼鏡ぶっ飛んでセンコーもぶっ飛んで。
自主退学のすすめと転校のすすめ
をされちゃいました。へへっ」
みんなガチな顔して俺のこと見てる。
「あれ?やだなー俺、熱く語りすぎて引かれちゃい
ましたか?」
「いや、つっちー、お前いいやつだよ」
タカ先輩もノリさんまでマオさんもうなづいた。
「いやなんか恥ずかしいっすね」
俺の焦りようったらない(笑)
チラッと左隣に視線を向けた。
「つっちーくん、お母さん想い!ふつうに声が
大っきいから全部聞き入っちゃったよ、もぅ~」
あきらちゃんが笑う。
ゆ、ユンちゃんは?俺はユンちゃんの顔をチラ見した。
「どーしたの、ユンちゃん?ちょっと涙目??」
あきらちゃんがユンちゃんに言ってる。
た、確かに俺から見てもユンちゃんの目は潤んでた。
元からキラキラお目目なだけなのだろうか。
いや、すこし目も赤いし…!!
「えへへ、もぅやだな~!年寄りだから涙腺弱いのっ!
自分と重なっちゃって。お母さんを先生に侮辱された
とき体が震えるくらい怒りがこみ上げたの思い出して。
それと、お母さんを大切に思ってるんだな~
って思ったら母親目線でぐっときちゃった」
ユンちゃんが涙を溜めた目で俺の方をチラッと見て
照れ笑いをした。
いや、俺のこと見たんじゃないかもしれないけど
目、合ったよね??
年寄りとかいうけど19歳ってまだ未成年だよ!
そして、どうして、どうしてそんなに真剣に
俺の話聞いて感動してくれるの?!
ユンちゃん、あなたというお姉さんは!!
か、可愛いです。
俺は落ちた。
言わなくちゃ、ユンちゃんに!!!
「あ、あの!!俺、津沢ヒロです。つっちーです。」
なんかへんなとこで自己紹介しちゃった、俺(笑)(笑)(笑)
「なーに今更自己紹介だよ、つっちーは!!(笑)
天然だな!!可愛いやつだ~」
タカ先輩たちも爆笑。
「あはははー、ツッコミ大歓迎です」
…俺ってば何言ってんだか。って照れてたら
「私はユンです。よろしくね、ヒロくん」
って小さくユンちゃんが言ってくれた!!
顔見れない、見たい、見れない、見る!!!
俺の頭の中ハイスピードで色んな感情回ってる!
見た!!
ふわっとした優しい笑顔のユンちゃん…
…落ちた完全に♡!!!
「
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