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おまけ/温泉施設完成

温泉施設、出だしは好調

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「湯が白く濁っている故、どこに智紀の精が散ったかわからんな?」

はむ、と。首筋を軽く噛まれ。
ぞくぞくした。

「やあ、来ちゃう、からぁ、それ、やだぁ、」


逃げようとする腰を掴まれ、強く突き上げられ。
身体が浮き上がる。

ばしゃばしゃと、水面が激しく揺れている。

ヴァルラム専用の性器と化したそこは。
ヴァルラムだけでなく、僕にも快感を与えるのだ。

その上、抱かれる度に感度が上がってゆくような気がする。


「智紀、……出すぞ」
ぐい、と最奥まで押し付けられたまま、大量の精液を発射される。

あまりの快感に、目の前がチカチカして。


*****


目が覚めたら、”繭”のベッドで横になっていた。
ベッドのひんやりした感触が気持ちいい。

見れば。
ヴァルラムがおろおろしながら、うろうろとベッドの周囲を回っていた。


僕が起きたのに気付いたヴァルラムが、心配そうに寄って来る。

「おお、智紀。目覚めたか。覚えているか? そなたは湯にのぼせ、倒れたのだ。もう気分は良いのか?」
頬を撫でられて、頷く。

心配されるのが嬉しいと思う。
そういえば、長い間、僕の体調を気遣ってくれる人はいなかったのだと思い出した。

結婚するというのは、こういう事なのか。
感慨深い。


「他人事のように言わないで下さい。王が無茶をしたせいで、倒れられたのでしょうに」
イリヤが冷ややかに言い、ヴァルラムを睨んだ。

「……すまなかった、智紀。興奮のあまり、つい、我を忘れて……」

主治医であるイリヤに叱られて、しょんぼりしている。
出てないのに、垂れた獣耳が見えるようである。

「謝らなくていいよ。身体も何ともないし」


あちらの身体だと、不摂生が祟り、血管の一つも破裂していたかもしれないが。
幸いこちらは健康体だ。

単に、お湯にのぼせただけだろう。


「智紀様は王を甘やかしすぎです。調子に乗ってまたやらかしかねませんよ?」
調教は厳しく、と言われても。

ヴァルラムは、本当に僕が嫌がっていたら、我慢して引いたに違いない。
なので。

実のところ、僕も共犯なのである。
僕自身、ヴァルラムに抱かれるのを望んでいたのだ。


今まで、自分は性欲は薄い方だと思っていた。

植物系通り越して、枯れているとまで。
それなのに。

ヴァルラムに触れられてからは箍が外れたように、快楽を求めてしまう身体になってしまったようだ。

ソロプレイが下手だったので感じなかった、という訳ではなく。
運命の相手であるヴァルラムと出会うことにより、奥底に眠っていた何かが目覚めたような感じである。

こんな淫らでいやらしい、肉欲を知ってしまった身体だというのに。

未だに”聖神”などと呼ばれていて良いのだろうか?
詐欺ではないのかと思うが。

しかし、神様が許して下さったのだから、これでいいのかもしれない。


*****


「今度はのぼせないように、ぬるいお湯でしようね?」

「智紀……、」
ヴァルラムが嬉しそうに鼻を寄せてきた。


大きいから、隠れて見えないだろうと思い、ヴァルラムの唇にキスをする。
ヴァルラムもそれに応えて。

はむはむと、唇を唇で挟まれる。

キスの何がいいのか理解できなかったが。
互いに愛情を確認できるし。

何より好きな相手とのキスは気持ち良いということを知った。


「ああもう、そうでした! 新婚のツガイでしたね! お邪魔しました!」
イリヤが拗ねた様子で繭から出て行った。


イリヤも、心配してくれただろうに。
悪いことをしてしまったな。

しかし、ヴァルラムと二人になれて嬉しい、と思ってしまった僕は悪い人間だと思う。


「……さっき、中、出した?」

「智紀が倒れたので、驚いて引っ込んでしまった」
肩を竦めて苦笑いしている。

途中で引っ込むものなのか。
射精し出したら終わるまで止まらないようなイメージだったが。


「じゃあ、やり直し、しよ?」
「いいのか?」

もう大丈夫だと言ってるのに、心配して躊躇う。
そんなヴァルラムが愛おしくて、抱き締めたくなる。


「いいから。……して?」
大好きなツガイの首に腕を回した。


*****


”聖神の湯”はオープン前から長蛇の列で。
もしかして全国民が集まっているのでは? と思うほどの人出だった。

施設に収まりきれないので、入場制限をし。
番号の書かれたチケットが発行された。

三日待ちもいるという。


そこまで期待されて、実際はどうなのか、反応が心配だったが。
温泉施設は獣人にも大好評だった。

リピーター続出で、更に大混雑である。


マスコットキャラクターのユロー君の評判も好評を博し、家族の土産に、とタオルやクッキーは予想以上に売れたそうだ。
きっとモデルが良かったのだろう。

何しろ、この世界で一番ハンサムな狼なのだから。

しかし、イラストを描いたのが僕だということは公表していないのに、高く評価されたことは素直に嬉しかった。


イリヤやユリアーン達が王であるヴァルラムに対する態度を見ていると、おべっかとか使わない、自分に正直な人たちというイメージがあるが。
どうにも僕に対しては色眼鏡が掛かり、過剰に褒めているように感じていたのだ。

しばらくして、気を遣って表現を濁すことはあるが、獣人は基本的にお世辞などは言わない性質であることを知った。

小さな子供にも遠慮なくダメ出ししているところを目撃したりして。


僕も、ユロー君の絵本を頼まれたが。
最初の案は通らなかった。

子供にもわかりやすく、などの厳しい指摘で、何度か訂正した。


そうして出版された絵本は子供に好まれ、大人からも好評で。
続編を期待されているという。


*****


子供の頃から、絵を描くのが好きだった。

作品を投稿して、認められ。
担当が付いて、雑誌に載って。

初めての単行本を出してもらった時。何度も本屋に通った。

誰かが僕の本を手に取るたび、ドキドキしていた。


そんな昔のことを思い出して。
何故か涙が零れ。ヴァルラムを心配させてしまった。


美貌の王に溺愛されて、とても幸せな毎日なのだが。

たまに何かあって天気が曇ったりすると。
国民から「もっと聖神様を大切に扱って!」と多くの苦情を寄せられるそうだ。

最愛のツガイが、謂れもない咎で責められないように、何があっても心身を鍛える修行をしなくては、と思う昨今である。




おわり
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みんなの感想(2件)

Aiiro
2022.07.09 Aiiro

モフモフ最高でした。
はじめはハーレムルートとかキャラ別ルートありか⁉︎と思いましたが、溺愛わんこモフモフルート1択でしたね💕
個人的にはかわいいもの好きクマさんにキュンとしました🐻

解除
2022.07.02 ユーザー名の登録がありません

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