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智紀
発情期の終わり
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「……くっ、何だ、これは、」
ヴァルラムの声に、閉じていた目を開いた。
目の前には、立派な体躯。
視線を下にやると、下半身がぴったりとくっついているのが見えた。
ぐぷぐぷと、奥まで入って来ている感覚。
なのに、つらくない。
普段はもう少し、慣れるのに時間が掛かるのに。
「智紀も、発情期が来たのか?」
何を言っているのだろう。
人間には発情期なんてある訳がないというのに。
しかし、ヴァルラムは、とても気持ち良さそうだ。
「っ、中が、うねって。搾り取られそうだ……、」
色気のある声に、ぞくぞくする。
……もしかして。
ヴァルラムを受け入れたい、と強く願ったから。
神様がその願いを聞き入れてくれて。
全部受け入れてもつらくないような身体にしてくれた、とかだろうか?
それは大変ありがたいが。
心身共に清らかであるはずの聖神がそれでいいのだろうか。
……でも、僕の身体で、ヴァルラムが気持ち良くなってくれたら嬉しい。
というのもまた事実である。
「ヴァルラム、大好きだよ。……大丈夫だから、我慢しないで。ヴァルラムの好きなようにして?」
愛するツガイの背に手を回して、ねだった。
*****
「あっ、あ、……ん、」
ガツガツ乱暴に腰を穿たれても、気持ちいいだけで。
苦痛はない。
ヴァルラムも、気持ち良さそうだ。
夢中で腰を振っている。
発情期で、獣性が抑えきれないからだろうか。
獣耳やしっぽが出てしまっている。
不安はない。
半分は獣だが。種の違いなど関係なく、誰よりも僕を想っていてくれる人。
可愛くて、愛おしく思う。
僕は、彼に出会うために生まれてきたのかもしれない。
43年の人生の中で、一番幸福を感じる。
「愛している、私の唯一。智紀……」
抱き締められて、キスをされて。
その状態で、突き上げられる。
全身で、愛していると伝えられる。
狂おしいほど激しい愛情に揺さぶられて。お互いの腹を、僕の喜びが濡らしている。
それは、この行為が決して一方通行ではないことを示している。
「ん、」
根元が、膨らんできた。
「智紀。……中へ、」
「ん、……いいから。出して、」
僕の腹の中に射精したいと言われて、頷いてみせる。
ヴァルラムの全てを、一滴残らず受け止めたい。
*****
「は、……あ、出てる、ヴァルラムの、たくさん、」
脈打つように、動いている。
自分の腹の中に、大量の精液が放たれているのを感じて。ぞくぞくする。
普段よりも量が多いように感じるのは、気のせいではなく。
発情期だからだろうか?
本来、発情期は子作りのためのものである。
犬族は妊娠を確実にするために、相手の腹を精液で満たすのだ。
「私の可愛い智紀。……私のものだと皆にわかるよう、全身に、私の匂いを刻みつけよう」
首を甘噛みされて。
ふわふわした獣耳が当たり、くすぐったい。
犬族は、ツガイにマーキングをするので、相手が誰だかわかるそうだ。
力が強ければ、格下は手出しできないという。
他のオスに対する忌避フェロモンみたいなものだろうか?
相手は生涯一人きりの狼族に比べ、猫族は相手が一人だけということは滅多にないという。
基本、多数を相手にするそうだ。
子孫繁栄にはそれが正解なのかもしれないが。
人間的な恋愛観で考えると、複雑である。
あと、猫族は性器にトゲがあるので痛い、などと言う。
トゲはメスの性器を刺激して排卵を促すのと、その後に他のオスと性交できないよう傷をつける役割のためだそうだ。
ツガイに対して一途な狼族を選んで正解だ、という風にアピールしているつもりだろうか?
種族の習性とはいえ。
この美貌の王様の寵愛を一生独り占めしてしまっていいものか、未だに迷うが。
そういう生き物だし。
本人が望んでいるのだから、それでいいと納得しておこう。
愛される、というのもいいものだ。
*****
「ん……、」
夢の中で、イタズラな手が動いている。
すっかり性感帯にされてしまった胸を弄ったり。
お尻を揉んだり。
それだけでなく、あちこち舐められて。
現実でも、夢の中でもエッチなことをされてしまうとは。
いくら発情期と言っても、僕には関係ないのに。
……ああ、入って来てる。
おっきいのが。
「ふぁ、……あ?」
やけにリアルな感覚だと思っていたら。
夢ではなかった。
うつ伏せにされた状態で、奥まで挿入されていて。
ヴァルラムが腰を揺すっていたのである。
「ね、寝てる時、そういうこと、するの禁止!」
「なに、寝ていたのか? 可愛く甘えてきたので、起きているものと思ったが」
擦り寄ってきたので、して欲しいのかと思ったという。
それは、寝ぼけただけだと思う。
いや、起きていてもするかもしれないが。
「もう起きたなら、良いだろう?」
ヴァルラムは遠慮なく、ぐい、と腰を進めた。
激しい動きに、シーツにしがみついて。
「はぅ、……ん、も、いい、けど。もう、寝てる時にしちゃ、駄目」
「何故だ?」
「……キスとか。覚えてないの、もったいない、から。ちゃんと、起きてる時にして欲しい、」
ぴたりと動きが止まって。
「わかった。意識があると、きちんと確かめてからにしよう」
ヴァルラムは嬉しそうに笑った。
しっぽもぶんぶん振っている。
可愛い。
*****
理性が吹っ飛んで野獣と化すのではないかと懸念していた、初めてのツガイと過ごす発情期だったが。
獣耳としっぽが出たくらいで、比較的理性を保てたまま済んだようである。
危機を感じて、繭のベッドに逃げ込むこともなく。
ヴァルラムの発情期の性衝動は、一週間ほどで終わった。
発情期が終わっても、普通に抱かれてしまっているが。
僕がヴァルラムを受け入れられる身体になったのも良かったのだろう。とはいっても、緩んだり拡がった、という訳ではないようだし。
自分では変化がよくわからないのだが。
それで身体に負担を受けることなく過ごせたのだから、問題ないと思うことにする。
男同士で身体を重ねても。
罰を受けるどころか、このような変化を許してくれるとは。
ヴァルラムと結ばれることは、神の意に背く悪い行いではない、ということなのだろうか?
ツガイというやつだから? それなら嬉しい。
発情期が過ぎ。
国民も落ち着きを取り戻した頃。
王であるヴァルラムから国民へ、重大な発表がある、と。
集会を開いたのだった。
ヴァルラムの声に、閉じていた目を開いた。
目の前には、立派な体躯。
視線を下にやると、下半身がぴったりとくっついているのが見えた。
ぐぷぐぷと、奥まで入って来ている感覚。
なのに、つらくない。
普段はもう少し、慣れるのに時間が掛かるのに。
「智紀も、発情期が来たのか?」
何を言っているのだろう。
人間には発情期なんてある訳がないというのに。
しかし、ヴァルラムは、とても気持ち良さそうだ。
「っ、中が、うねって。搾り取られそうだ……、」
色気のある声に、ぞくぞくする。
……もしかして。
ヴァルラムを受け入れたい、と強く願ったから。
神様がその願いを聞き入れてくれて。
全部受け入れてもつらくないような身体にしてくれた、とかだろうか?
それは大変ありがたいが。
心身共に清らかであるはずの聖神がそれでいいのだろうか。
……でも、僕の身体で、ヴァルラムが気持ち良くなってくれたら嬉しい。
というのもまた事実である。
「ヴァルラム、大好きだよ。……大丈夫だから、我慢しないで。ヴァルラムの好きなようにして?」
愛するツガイの背に手を回して、ねだった。
*****
「あっ、あ、……ん、」
ガツガツ乱暴に腰を穿たれても、気持ちいいだけで。
苦痛はない。
ヴァルラムも、気持ち良さそうだ。
夢中で腰を振っている。
発情期で、獣性が抑えきれないからだろうか。
獣耳やしっぽが出てしまっている。
不安はない。
半分は獣だが。種の違いなど関係なく、誰よりも僕を想っていてくれる人。
可愛くて、愛おしく思う。
僕は、彼に出会うために生まれてきたのかもしれない。
43年の人生の中で、一番幸福を感じる。
「愛している、私の唯一。智紀……」
抱き締められて、キスをされて。
その状態で、突き上げられる。
全身で、愛していると伝えられる。
狂おしいほど激しい愛情に揺さぶられて。お互いの腹を、僕の喜びが濡らしている。
それは、この行為が決して一方通行ではないことを示している。
「ん、」
根元が、膨らんできた。
「智紀。……中へ、」
「ん、……いいから。出して、」
僕の腹の中に射精したいと言われて、頷いてみせる。
ヴァルラムの全てを、一滴残らず受け止めたい。
*****
「は、……あ、出てる、ヴァルラムの、たくさん、」
脈打つように、動いている。
自分の腹の中に、大量の精液が放たれているのを感じて。ぞくぞくする。
普段よりも量が多いように感じるのは、気のせいではなく。
発情期だからだろうか?
本来、発情期は子作りのためのものである。
犬族は妊娠を確実にするために、相手の腹を精液で満たすのだ。
「私の可愛い智紀。……私のものだと皆にわかるよう、全身に、私の匂いを刻みつけよう」
首を甘噛みされて。
ふわふわした獣耳が当たり、くすぐったい。
犬族は、ツガイにマーキングをするので、相手が誰だかわかるそうだ。
力が強ければ、格下は手出しできないという。
他のオスに対する忌避フェロモンみたいなものだろうか?
相手は生涯一人きりの狼族に比べ、猫族は相手が一人だけということは滅多にないという。
基本、多数を相手にするそうだ。
子孫繁栄にはそれが正解なのかもしれないが。
人間的な恋愛観で考えると、複雑である。
あと、猫族は性器にトゲがあるので痛い、などと言う。
トゲはメスの性器を刺激して排卵を促すのと、その後に他のオスと性交できないよう傷をつける役割のためだそうだ。
ツガイに対して一途な狼族を選んで正解だ、という風にアピールしているつもりだろうか?
種族の習性とはいえ。
この美貌の王様の寵愛を一生独り占めしてしまっていいものか、未だに迷うが。
そういう生き物だし。
本人が望んでいるのだから、それでいいと納得しておこう。
愛される、というのもいいものだ。
*****
「ん……、」
夢の中で、イタズラな手が動いている。
すっかり性感帯にされてしまった胸を弄ったり。
お尻を揉んだり。
それだけでなく、あちこち舐められて。
現実でも、夢の中でもエッチなことをされてしまうとは。
いくら発情期と言っても、僕には関係ないのに。
……ああ、入って来てる。
おっきいのが。
「ふぁ、……あ?」
やけにリアルな感覚だと思っていたら。
夢ではなかった。
うつ伏せにされた状態で、奥まで挿入されていて。
ヴァルラムが腰を揺すっていたのである。
「ね、寝てる時、そういうこと、するの禁止!」
「なに、寝ていたのか? 可愛く甘えてきたので、起きているものと思ったが」
擦り寄ってきたので、して欲しいのかと思ったという。
それは、寝ぼけただけだと思う。
いや、起きていてもするかもしれないが。
「もう起きたなら、良いだろう?」
ヴァルラムは遠慮なく、ぐい、と腰を進めた。
激しい動きに、シーツにしがみついて。
「はぅ、……ん、も、いい、けど。もう、寝てる時にしちゃ、駄目」
「何故だ?」
「……キスとか。覚えてないの、もったいない、から。ちゃんと、起きてる時にして欲しい、」
ぴたりと動きが止まって。
「わかった。意識があると、きちんと確かめてからにしよう」
ヴァルラムは嬉しそうに笑った。
しっぽもぶんぶん振っている。
可愛い。
*****
理性が吹っ飛んで野獣と化すのではないかと懸念していた、初めてのツガイと過ごす発情期だったが。
獣耳としっぽが出たくらいで、比較的理性を保てたまま済んだようである。
危機を感じて、繭のベッドに逃げ込むこともなく。
ヴァルラムの発情期の性衝動は、一週間ほどで終わった。
発情期が終わっても、普通に抱かれてしまっているが。
僕がヴァルラムを受け入れられる身体になったのも良かったのだろう。とはいっても、緩んだり拡がった、という訳ではないようだし。
自分では変化がよくわからないのだが。
それで身体に負担を受けることなく過ごせたのだから、問題ないと思うことにする。
男同士で身体を重ねても。
罰を受けるどころか、このような変化を許してくれるとは。
ヴァルラムと結ばれることは、神の意に背く悪い行いではない、ということなのだろうか?
ツガイというやつだから? それなら嬉しい。
発情期が過ぎ。
国民も落ち着きを取り戻した頃。
王であるヴァルラムから国民へ、重大な発表がある、と。
集会を開いたのだった。
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