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初めてなんですが。

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は俺とバーン、どっちがいい?』
『子供さえ産んでくれれば、俺はどちらでもいいぞ』


今。
どちらかから、抱かれないといけない。……具体的に言えば、俺の尻に、こいつらのどっちかの性器を挿入されて、中に精液を出してもらわないといけない、と。
……そういうことなのか!?

女性経験もないのに、一足飛びでそっちの処女を喪うことになるとは。
異世界、とんでもないな。


ものすごく、嫌だが。
このままでは、体力が回復せず、衰弱死してしまうかもしれないのだ。

世界遺産的美貌のこの俺が、ここで朽ち果てるとは。国家的損失だ。

背に腹は変えられない。
ここは、犬に噛まれたと思って。

……実際、犬のようなものか。
オオカミだが。


「……では、ランディで……申し訳ないが、バーンは無理だと思う。物理的に」


◆◇◆


『ブツリテキ……に?』
バーンが首を傾げた。

通じなかったか。物理はないのかこの世界。
直接言わないと駄目なようだ。


「……体格的に、……大きさが……無理そう……」

『ああ、』
納得したようだ。

ちょっと嬉しそうなのは何故だ。
この美しい俺を、抱きたくないとでもいうのか?

いや、抱きたくてしょうがなくて駄々をこねられても、それはそれで困るのだが。


ランディは微妙な顔をしている。
それはそれで、こちらのプライドが傷付くのか。

どう見てもこっちのが小さそうだから、と言われてるも同じだったな。
悪いことをした。


『ま、消去法でも、選んでもらえて嬉しいよ』
ランディはシニカルな笑みを浮かべ、肩を竦めた。


『じゃあ、お先に』
毛布ごと抱き上げられた。このまま、自分の家に運ぶつもりらしい。

バーンと並ぶと細身に見えるが、よく見ればランディもかなりいい身体をしていた。

そういえば、弓矢を軽く飛ばしていたが。
あの飛距離を考えれば相当の豪腕だろう。70kg近い男をこうして軽く持ち上げられるのだし、相当腕力もあるだろう。
さすが獣人、というべきか。


『異世界では新婚さんって、初夜は花嫁をこんな風にベッドに運ぶんだろ?』

これ、お姫様抱っこ状態なのか。毛布で包まれていて、微妙な感じだが。
異世界の知識がおかしくないか?


初夜、とか言われると。
これから何をされるのか。想像してしまう。

できれば、こういう展開になるのは避けたかったんだが。
命には代えられないか。


俺は相当、情けない顔をしていたのかもしれない。
ランディは苦笑して。

『……優しくするよ』
頬に、ちゅっ、とキスをされた。


……お手柔らかに頼みたい。


◆◇◆


身体に力が入らないせいか、簡単に脱がされてしまった。

我ながら、どのパーツも芸術的に美しいと思う。水泳の時など、称賛の視線を浴びるのが心地よかったものだ。
しかし、性的な視線で見られるのは恥ずかしかった。


『綺麗だ……、』
そうだろう。どこも綺麗なのはわかってる。

だが。こんな状況で、うっとりしたように言われると。
うわあ、と叫んで逃げ出したいような気持になるものなのだな。動けないが。


興奮を隠せない眼差しで見つめられ。
キスされるかと思ったが。

ランディは俺の首にちゅっ、とキスを落とした。
くすぐったい。

「ちょ、」
『……ああ、悪い。早く回復させて欲しいよな?』

ランディは何を思ったか、ベッドの横にある棚から小さな瓶のようなものを取り出した。
初めてなら必要だよな、との言葉から。それは潤滑油だろうと推測した。

その推測は当たり、ランディは瓶の中からクリーム状のものを掬い取り、もう片方の手で俺の足を抱え上げた。


「っ、」
クリームは、思ったほど冷たくはなかった。ランディの体温が高いからかもしれない。

ランディはクリームをそこに塗り込むように指を動かし、すぐに指先が入ってきた。
ぬるり、と入ってきたそれは、俺の指よりも太い。


『……キツいな、』
これじゃまだ、俺のは入らない、などと恐ろしいことを呟いている。

指が三本入れば、ランディの性器を受け入れられるくらい、慣らされたことになるようだ。
それまでこの恥辱に耐えろと!?


◆◇◆


くちゅ、ぷちゅ、と音を立てながら指を出し入れされて。
あまりの恥ずかしさに死にそうになる。

ランディはかなり興奮していて。一刻も早く繋がりたいというのを隠そうともしていない。
ズボンから盛り上がっている、股間の怒張。

あれは、かなりの大きさがあるだろう。
さすがに小さいとは思っていなかったが。こんなものが、入るのだろうか。


回復するためだと思い、抱かれることを受け入れたものの。
初めてなのに。キスもせず、身体だけを繋ぐのは。あまりに即物的すぎる交わりではないか。ロマンの欠片もない。

挿入する前に。
せめて、愛情を感じるようなキスくらいは先にして欲しい。


「ラ、ランディ、」
我知らず、声が震えてしまっていた。

「お願いだから。先に、キス……を、してくれないか?」
『……!?』


「ん、う、」
ランディは、まるで噛みつくように俺の唇を奪った。


何故だろうか。唾液が、甘い。血も、甘かったような気がしたが。異世界人の体液は甘いのだろうか?
摂取するのに嫌悪感がないよう、そう感じる身体になっているのか?


じわり、とあたたかいものが広がっていく感覚がして。

今まであった、全身の倦怠感が無くなっている。
もしかして。


ランディの背中を、ぽんぽんと叩いた。
何回か叩いたら、解放された。

「は、……何でだ? 腕、動く……」
やはり、すっかり体力が回復しているようだった。

精液でなくとも、効いたのか?
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