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滞在するだけで疲労するとか、異世界おかしい。
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ここルクレティアは、国土の大半が森であり、獣人が多く存在する国だった。
獣人とは、ケモノにもヒトにもなれる生き物だ。
異世界だからといって、ファンタジックにも程がある。
しかもこの世界、女がいないというのに。大男のケモ耳は、俺の目に優しくない。
獣人は、魔力や力が強く、不死に近いが。
唯一の弱点が、銀だという。
触れば火傷をするし、体内に入ると組織が爛れて死ぬという。
ランディはオオカミで、バーンはクマの獣人だった。
驚いたりすると、つい獣の本性が出てしまうのだと言った。
◆◇◆
「15万オレで売れたぞー」
とんでもない金額で売れてしまったので、小切手で支払われた。
2人からそんな怖ろしいものは持ち歩かないでくれ、と泣いて頼まれたので、銀のウォレットチェーンを売り払ってきたのだ。
この世界では、銀は特に、稀少な金属だった。
鉱山の即戦力である獣人が、銀山では働かないからだそうだ。
いや、体質的に働けない、というべきか。
職業内容的に人間だった金属商は、ほぼ純銀の塊を見て飛び上がらんばかりに驚いていた。
こんな純度の高い銀を見るのは初めてだという。
この世界……いや、この国の文化水準を見るからに、それも納得だ。見たところ、いいとこ中世レベルだろう。銃もないし、移動は馬か馬車で。ほとんどのものが木製か石だからな。
『良かったな。しばらくは生活に困らないぞ』
『それじゃあ買い物再開するか』
銀製品は売ったと思い、2人はほっとしているようだが。
……実は、銀のペンダントヘッドは売ってない。
もし、望まぬ行為を強要された場合。切り札に使おう、と取っておいたのだ。
2人は親切であったが、それは下心があるからだ。自衛のためにこれくらいは持っていてもいいだろう。
生活雑貨は、自分で買うことにした。
なるべく借りは作らないでいたほうがいい。
それを楯に脅すほどゲスなやつらではなさそうだが。人の心は何がきっかけで変わるか、予想が出来ないものだ。
人ではないものなら、なおさら。
◆◇◆
……身体が重い。だるい。
いつもの時間に目が覚めたのだが。
起き上がろうとしても、身体が思うように動かなかった。
まるで重力が何十倍にもなったように、腕が重くて持ち上がらない。
身体も動かせないので、起き上がれない。
疲労感? いや、倦怠感だろうか? 何故か身体が異常にだるいのだ。
どういうことだ。何かの呪いか?
数時間、ベッドで困っていたら。
『おはよう、ミヅキ。そろそろ朝食の時間だが。……まだ寝ているのか?』
ランディが俺を起こしに来てくれた。
……助かった。
「……すまない、どうやら体調を崩したようだ。起き上がれない」
そう告げると。
ランディは頭をかきながら。困ったように眉尻を下げた。
『あー、ごめん。言うの忘れてた』
……何を?
曰く。
異世界の人間がこちらの世界に来た場合。いくら寝ても、体力や魔力は回復しない。
回復する方法は、ただ一つ。
この世界の魔力の強い人間から、精を与えてもらうこと。
精とは、精液のことだという。
異世界人は、魔力の強い人間から、定期的に経口もしくは腸に精液を注がれなければ、衰弱して死んでしまう、だと!?
何だ、その理不尽なルールは!?
◆◇◆
俺に魔力があるのかは知らないが。
この世界にとどまっている限り、体力は減る一方で。一切、回復しないというのだ。
ゲームで例えると、減ったHP及びMPは宿屋で一泊しても回復せず、その上普通に過ごしているだけでも毒沼に入ってるようにじわじわとHPが減っていく状態か。
なんたる理不尽。
なんて不条理な世界なんだ。
何を考えているんだ、この世界の女神とやらは。
本当に存在するというなら、理由を聞いてみたい。
そして文句を言いたい。
何の恨みがあってこの俺を、こんな世界に飛ばしてくれたんだ!? と。
『これ。この緑色のマント。この国で、これを着けてるやつは魔力が高いか、身分が高いかだから。万が一があっては困るから、一応、覚えておいたほうがいいな』
ランディは自分のマントを示して言った。
万が一、自分たちがいない場所で燃料切れになったら、そいつに頼めとでも?
他の国では、色が違うらしい。
エリノアは赤、レティシアは橙、ネイディーンが青だそうだ。カラフルだな。
そういえば街中でも、マントを着用してるのと、してないのがいたな。
防寒とか、お洒落アイテムではなかったのか。
……つまり、ランディとバーンは、魔力が高いのか?
『俺は誇り高いロルフの一族だから、身分と魔力が高い』
ランディは鼻高々だった。
ロルフとは、オオカミか、人狼のことだろうか?
もとの世界にない言葉だと、変換されないでそのまま聞こえるようだ。
前にも言ってたな。
こちらの世界の言葉を通じるようにする魔術のときだったか。
ロルフに伝わる魔法とやらだったか。
◆◇◆
『……どうしたんだ?』
バーンも来て。
『精気切れだ』
ランディに聞いて、バーンは頷いた。
おいおい。異世界人は体力回復にこちらの男の精が必要だというのは、この世界じゃ一般常識なのか?
『ああ、……早いな? 数ヶ月は平気なのもいると聞いたが』
バーンが不思議そうに首を傾げてる。
異世界人が体力回復せず、魔力の強い人間から定期的に経口もしくは腸に精液を注がれなければ衰弱して死んでしまうのは、この世界では一般常識だったが。
その話は、俺の身体の調子を様子を見つつ、教えてくれるつもりだったようだ。
確かに、突然そんな聞かされても。実際に、こんな風に異常なほど身体が怠くならなければ信じられなかったと思う。
バーンによると。
俺は異常に体力の消費? が早いようだ。
と、いうことは。わりと短期的に精気の補給を必要とする、ということで。
……つまり。
獣人とは、ケモノにもヒトにもなれる生き物だ。
異世界だからといって、ファンタジックにも程がある。
しかもこの世界、女がいないというのに。大男のケモ耳は、俺の目に優しくない。
獣人は、魔力や力が強く、不死に近いが。
唯一の弱点が、銀だという。
触れば火傷をするし、体内に入ると組織が爛れて死ぬという。
ランディはオオカミで、バーンはクマの獣人だった。
驚いたりすると、つい獣の本性が出てしまうのだと言った。
◆◇◆
「15万オレで売れたぞー」
とんでもない金額で売れてしまったので、小切手で支払われた。
2人からそんな怖ろしいものは持ち歩かないでくれ、と泣いて頼まれたので、銀のウォレットチェーンを売り払ってきたのだ。
この世界では、銀は特に、稀少な金属だった。
鉱山の即戦力である獣人が、銀山では働かないからだそうだ。
いや、体質的に働けない、というべきか。
職業内容的に人間だった金属商は、ほぼ純銀の塊を見て飛び上がらんばかりに驚いていた。
こんな純度の高い銀を見るのは初めてだという。
この世界……いや、この国の文化水準を見るからに、それも納得だ。見たところ、いいとこ中世レベルだろう。銃もないし、移動は馬か馬車で。ほとんどのものが木製か石だからな。
『良かったな。しばらくは生活に困らないぞ』
『それじゃあ買い物再開するか』
銀製品は売ったと思い、2人はほっとしているようだが。
……実は、銀のペンダントヘッドは売ってない。
もし、望まぬ行為を強要された場合。切り札に使おう、と取っておいたのだ。
2人は親切であったが、それは下心があるからだ。自衛のためにこれくらいは持っていてもいいだろう。
生活雑貨は、自分で買うことにした。
なるべく借りは作らないでいたほうがいい。
それを楯に脅すほどゲスなやつらではなさそうだが。人の心は何がきっかけで変わるか、予想が出来ないものだ。
人ではないものなら、なおさら。
◆◇◆
……身体が重い。だるい。
いつもの時間に目が覚めたのだが。
起き上がろうとしても、身体が思うように動かなかった。
まるで重力が何十倍にもなったように、腕が重くて持ち上がらない。
身体も動かせないので、起き上がれない。
疲労感? いや、倦怠感だろうか? 何故か身体が異常にだるいのだ。
どういうことだ。何かの呪いか?
数時間、ベッドで困っていたら。
『おはよう、ミヅキ。そろそろ朝食の時間だが。……まだ寝ているのか?』
ランディが俺を起こしに来てくれた。
……助かった。
「……すまない、どうやら体調を崩したようだ。起き上がれない」
そう告げると。
ランディは頭をかきながら。困ったように眉尻を下げた。
『あー、ごめん。言うの忘れてた』
……何を?
曰く。
異世界の人間がこちらの世界に来た場合。いくら寝ても、体力や魔力は回復しない。
回復する方法は、ただ一つ。
この世界の魔力の強い人間から、精を与えてもらうこと。
精とは、精液のことだという。
異世界人は、魔力の強い人間から、定期的に経口もしくは腸に精液を注がれなければ、衰弱して死んでしまう、だと!?
何だ、その理不尽なルールは!?
◆◇◆
俺に魔力があるのかは知らないが。
この世界にとどまっている限り、体力は減る一方で。一切、回復しないというのだ。
ゲームで例えると、減ったHP及びMPは宿屋で一泊しても回復せず、その上普通に過ごしているだけでも毒沼に入ってるようにじわじわとHPが減っていく状態か。
なんたる理不尽。
なんて不条理な世界なんだ。
何を考えているんだ、この世界の女神とやらは。
本当に存在するというなら、理由を聞いてみたい。
そして文句を言いたい。
何の恨みがあってこの俺を、こんな世界に飛ばしてくれたんだ!? と。
『これ。この緑色のマント。この国で、これを着けてるやつは魔力が高いか、身分が高いかだから。万が一があっては困るから、一応、覚えておいたほうがいいな』
ランディは自分のマントを示して言った。
万が一、自分たちがいない場所で燃料切れになったら、そいつに頼めとでも?
他の国では、色が違うらしい。
エリノアは赤、レティシアは橙、ネイディーンが青だそうだ。カラフルだな。
そういえば街中でも、マントを着用してるのと、してないのがいたな。
防寒とか、お洒落アイテムではなかったのか。
……つまり、ランディとバーンは、魔力が高いのか?
『俺は誇り高いロルフの一族だから、身分と魔力が高い』
ランディは鼻高々だった。
ロルフとは、オオカミか、人狼のことだろうか?
もとの世界にない言葉だと、変換されないでそのまま聞こえるようだ。
前にも言ってたな。
こちらの世界の言葉を通じるようにする魔術のときだったか。
ロルフに伝わる魔法とやらだったか。
◆◇◆
『……どうしたんだ?』
バーンも来て。
『精気切れだ』
ランディに聞いて、バーンは頷いた。
おいおい。異世界人は体力回復にこちらの男の精が必要だというのは、この世界じゃ一般常識なのか?
『ああ、……早いな? 数ヶ月は平気なのもいると聞いたが』
バーンが不思議そうに首を傾げてる。
異世界人が体力回復せず、魔力の強い人間から定期的に経口もしくは腸に精液を注がれなければ衰弱して死んでしまうのは、この世界では一般常識だったが。
その話は、俺の身体の調子を様子を見つつ、教えてくれるつもりだったようだ。
確かに、突然そんな聞かされても。実際に、こんな風に異常なほど身体が怠くならなければ信じられなかったと思う。
バーンによると。
俺は異常に体力の消費? が早いようだ。
と、いうことは。わりと短期的に精気の補給を必要とする、ということで。
……つまり。
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