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可愛かった幼馴染と、15年ぶりに再会しました。
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……ちょっと待って!?
前から、僕のことを知っていて。
母さんと最後に会ったのは、15年前だって言った。
鷹ちゃんと離れ離れになったのも、15年前だ。
外国在住で。
僕を迎えに来た、なんてことを言う可能性がある人物は。
この世に、たった一人しか該当しない。
まさか、この人が?
どう見ても年上で、立派な紳士に見えるのに?
「よ、鷹ちゃん、だったの……?」
思わず、指を差してしまった。
大企業の総帥であり、由緒正しきイタリアンマフィアの首領でもある、ドン・クリスティアーニ・ヴィットーリオ・デル・テスタ。
改名前の名前、御手洗鷹、20歳は。
総帥らしからぬ悪戯小僧みたいな笑みを、にやっと浮かべていて。
「今頃気付いたのか。遅いぞ、宗ちゃん」
昔のように。
僕の名を呼んだのだった。
*****
いやいやいや、わかんないよ!
名前どころか、背とか顔とか声とか、全然違うし!
変わりすぎて、もはや別人だし!
総帥の貫禄あるし!
絶対、年上だと思ってたのに!
自分はひと目でわかったのに。
全く気付かれなかった上に、全然知らない人扱いされたので、傷付いたから。
僕が自分で気がつくまで黙っていようと思ったそうだ。
で。
更に別人に向かって”鷹ちゃん”って、自分の名前を呼んだので。
腹が立って、つい抱いちゃったって。
何だそれ。
怒るよりも呆れたよ!
改めて、よく観察してみれば。確かに肌艶とかつやつやしてるし。小皺もない。若いな、と思う。
30前後だって言われて、めちゃくちゃ拗ねてたし。
回復も、やたら早かったな……。
大企業の総帥だって思って、フィルターを通して見てたから。すっかり騙された。
だって、態度が偉そうだったし、言葉遣いもあれだし。
明るい金髪で薄い青だった目の色が昔と違うのは、成長するにつれて色が濃くなっていって、黒い髪と深い青の目に変化してしまったようだ。
子供の頃だけ金髪っていうのは、わりとよくあるケースだそうだ。
それにしたって、成長しすぎだと思う。
あんなに可愛かったのが。
まさか、こんな大きくなるとは……。
愛らしいビスクドールが、逞しいダビデ像になってしまったような、ミラクルすぎる変わりようだ。
15年という歳月は、こうも人を変えるものなのか……。
*****
今になって、やっと当時の状況を説明された。
鷹ちゃんのお母さんは、マフィアのボスと知らずにお父さんと恋に落ちて。
結婚して、子供を産んだけど。
危険なマフィアの跡継ぎ問題に巻き込まれたくなくて、日本に逃げてきたという。
それで、うちの母さんとはアパートで隣だったし、シングルマザー同士ということで仲良くなって。
僕も鷹ちゃんと遊ぶようになったんだ。
思えば。
鷹ちゃんが赤ん坊の頃とかに女の子みたいな可愛らしい服を着せられていたのは、身を隠すためだったんだろう。
でも、ボスだったお父さんが事故か何かで亡くなってしまって。
二人は、ボス代理を務めていた叔父さんに見つかってしまい、連れ戻されたんだ。
海には人喰い鮫、周囲には猟犬が放たれている、この島に。
ここは、言葉も生活習慣も違う外国で。
鷹ちゃんは、”御手洗鷹”という名前さえも取り上げられて。
これからは、ヴィットーリオという名前を名乗るように強要された。
お母さんとも引き裂かれて。
跡目なんて継ぎたくない、日本に帰りたい、といくら言っても聞いてくれなかったそうだ。
*****
自分の好きなように、自由に行動したければクリスティアーニ一族のトップに立つしかない、と言われたので。
それならば、と。一族のトップになるべく、叔父さんの監視下に置かれて英才教育を受けながら、数々の試練を乗り越え。
鷹ちゃん……ヴィットーリオは、18歳でマフィアの首領になった。
首領の座だけでなく。
クリスティアーニの財政も牛耳るために、優秀な成績を修めて大学をスキップして。数多の跡目狙いのライバル達をも蹴散らして。弱冠20歳で、総帥の座を手にしたとか。
もうすでに、関連企業の株の大半を所有してるそうだ。
まだ20歳になったばっかりだっていうのに。
ハードすぎる人生だなあ……。
「私は宗ちゃんに会いたい一心で、15年間、脇目も振らず必死で努力した。20歳になり、ようやく総帥の座を得て。攫って囲っても問題ない権力を得たのでやっと会いに行ったというのに。感動の再会とはいかず。とても喜べるような空気ではなかった……」
そりゃ、自由に行動できるようになって喜び勇んで日本へ到着したら、僕の母親の通夜中だったんだもんな。
予想外だっただろう。
たぶん、あの時に鷹ちゃんだって名乗られても、反応は鈍かったと思う。
タイミングが悪すぎた。
……ん? 今、攫って囲う、とか普通に言ったような。
そこは揺るぎないのか……。
いつからそんな歪んだ性癖になったんだろうか。
15年に亘るマフィア生活のせいかな?
「町内会の会議所に一人でぽつんと座っていた宗ちゃんが、悲しみに打ちひしがれている様子で。あまりに可愛くて可哀想だったので、私は多くは語らず、そのままこの島に連れ去ることにした」
「いや、そこの飛躍はおかしい」
何でそうなる。
語れよ。
まず、名乗ろうよ。
新しいほうじゃなくて、前の名前をさあ!
先に、自分が幼馴染みの鷹ちゃんだったって、正体明かしてくれよ!
色々悩んじゃったじゃないか!
*****
「てっきり、昔、母さんに一目惚れした人で。立派になってプロポーズしようとして来たのに死んじゃってたから、顔が似ていた僕を身代わりにしたのかと思ってた……」
「プロポーズしに来たのは間違いはないが。夏子さんは女性だし、君は愛らしいが、一応男だろう。それに、そんなに似ていない。死者を冒涜する気はないが、君の方がずっと可愛らしい。身代わりなど不可能だと思うが?」
おかしなことを言う、みたいな顔をされたけど。
男だろう、って。
その男に、ベビードールとか女物の下着を着せてた人が言うセリフじゃないよね!?
何だよ一応男って!
ちんこでかいからっていい気になるなよ!?
女性用の下着とかを着せたのは。可愛いから、似合うと思った?
は?
よく見ろ! 僕なんてその辺にいる、普通の男子大学生だってば。大学生にも見えないって失礼な。
目がどうかしてるんじゃないか?
あと頭。
前から、僕のことを知っていて。
母さんと最後に会ったのは、15年前だって言った。
鷹ちゃんと離れ離れになったのも、15年前だ。
外国在住で。
僕を迎えに来た、なんてことを言う可能性がある人物は。
この世に、たった一人しか該当しない。
まさか、この人が?
どう見ても年上で、立派な紳士に見えるのに?
「よ、鷹ちゃん、だったの……?」
思わず、指を差してしまった。
大企業の総帥であり、由緒正しきイタリアンマフィアの首領でもある、ドン・クリスティアーニ・ヴィットーリオ・デル・テスタ。
改名前の名前、御手洗鷹、20歳は。
総帥らしからぬ悪戯小僧みたいな笑みを、にやっと浮かべていて。
「今頃気付いたのか。遅いぞ、宗ちゃん」
昔のように。
僕の名を呼んだのだった。
*****
いやいやいや、わかんないよ!
名前どころか、背とか顔とか声とか、全然違うし!
変わりすぎて、もはや別人だし!
総帥の貫禄あるし!
絶対、年上だと思ってたのに!
自分はひと目でわかったのに。
全く気付かれなかった上に、全然知らない人扱いされたので、傷付いたから。
僕が自分で気がつくまで黙っていようと思ったそうだ。
で。
更に別人に向かって”鷹ちゃん”って、自分の名前を呼んだので。
腹が立って、つい抱いちゃったって。
何だそれ。
怒るよりも呆れたよ!
改めて、よく観察してみれば。確かに肌艶とかつやつやしてるし。小皺もない。若いな、と思う。
30前後だって言われて、めちゃくちゃ拗ねてたし。
回復も、やたら早かったな……。
大企業の総帥だって思って、フィルターを通して見てたから。すっかり騙された。
だって、態度が偉そうだったし、言葉遣いもあれだし。
明るい金髪で薄い青だった目の色が昔と違うのは、成長するにつれて色が濃くなっていって、黒い髪と深い青の目に変化してしまったようだ。
子供の頃だけ金髪っていうのは、わりとよくあるケースだそうだ。
それにしたって、成長しすぎだと思う。
あんなに可愛かったのが。
まさか、こんな大きくなるとは……。
愛らしいビスクドールが、逞しいダビデ像になってしまったような、ミラクルすぎる変わりようだ。
15年という歳月は、こうも人を変えるものなのか……。
*****
今になって、やっと当時の状況を説明された。
鷹ちゃんのお母さんは、マフィアのボスと知らずにお父さんと恋に落ちて。
結婚して、子供を産んだけど。
危険なマフィアの跡継ぎ問題に巻き込まれたくなくて、日本に逃げてきたという。
それで、うちの母さんとはアパートで隣だったし、シングルマザー同士ということで仲良くなって。
僕も鷹ちゃんと遊ぶようになったんだ。
思えば。
鷹ちゃんが赤ん坊の頃とかに女の子みたいな可愛らしい服を着せられていたのは、身を隠すためだったんだろう。
でも、ボスだったお父さんが事故か何かで亡くなってしまって。
二人は、ボス代理を務めていた叔父さんに見つかってしまい、連れ戻されたんだ。
海には人喰い鮫、周囲には猟犬が放たれている、この島に。
ここは、言葉も生活習慣も違う外国で。
鷹ちゃんは、”御手洗鷹”という名前さえも取り上げられて。
これからは、ヴィットーリオという名前を名乗るように強要された。
お母さんとも引き裂かれて。
跡目なんて継ぎたくない、日本に帰りたい、といくら言っても聞いてくれなかったそうだ。
*****
自分の好きなように、自由に行動したければクリスティアーニ一族のトップに立つしかない、と言われたので。
それならば、と。一族のトップになるべく、叔父さんの監視下に置かれて英才教育を受けながら、数々の試練を乗り越え。
鷹ちゃん……ヴィットーリオは、18歳でマフィアの首領になった。
首領の座だけでなく。
クリスティアーニの財政も牛耳るために、優秀な成績を修めて大学をスキップして。数多の跡目狙いのライバル達をも蹴散らして。弱冠20歳で、総帥の座を手にしたとか。
もうすでに、関連企業の株の大半を所有してるそうだ。
まだ20歳になったばっかりだっていうのに。
ハードすぎる人生だなあ……。
「私は宗ちゃんに会いたい一心で、15年間、脇目も振らず必死で努力した。20歳になり、ようやく総帥の座を得て。攫って囲っても問題ない権力を得たのでやっと会いに行ったというのに。感動の再会とはいかず。とても喜べるような空気ではなかった……」
そりゃ、自由に行動できるようになって喜び勇んで日本へ到着したら、僕の母親の通夜中だったんだもんな。
予想外だっただろう。
たぶん、あの時に鷹ちゃんだって名乗られても、反応は鈍かったと思う。
タイミングが悪すぎた。
……ん? 今、攫って囲う、とか普通に言ったような。
そこは揺るぎないのか……。
いつからそんな歪んだ性癖になったんだろうか。
15年に亘るマフィア生活のせいかな?
「町内会の会議所に一人でぽつんと座っていた宗ちゃんが、悲しみに打ちひしがれている様子で。あまりに可愛くて可哀想だったので、私は多くは語らず、そのままこの島に連れ去ることにした」
「いや、そこの飛躍はおかしい」
何でそうなる。
語れよ。
まず、名乗ろうよ。
新しいほうじゃなくて、前の名前をさあ!
先に、自分が幼馴染みの鷹ちゃんだったって、正体明かしてくれよ!
色々悩んじゃったじゃないか!
*****
「てっきり、昔、母さんに一目惚れした人で。立派になってプロポーズしようとして来たのに死んじゃってたから、顔が似ていた僕を身代わりにしたのかと思ってた……」
「プロポーズしに来たのは間違いはないが。夏子さんは女性だし、君は愛らしいが、一応男だろう。それに、そんなに似ていない。死者を冒涜する気はないが、君の方がずっと可愛らしい。身代わりなど不可能だと思うが?」
おかしなことを言う、みたいな顔をされたけど。
男だろう、って。
その男に、ベビードールとか女物の下着を着せてた人が言うセリフじゃないよね!?
何だよ一応男って!
ちんこでかいからっていい気になるなよ!?
女性用の下着とかを着せたのは。可愛いから、似合うと思った?
は?
よく見ろ! 僕なんてその辺にいる、普通の男子大学生だってば。大学生にも見えないって失礼な。
目がどうかしてるんじゃないか?
あと頭。
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