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幸見

けだものだもの

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今日からここが、俺とアレックスの部屋になるのか。

2人で使うには、広すぎる部屋だと思う。
シンプルというか、余計な家具が置かれてないのはアレックスの趣味なのかな?

でも、家具が高級そうなのはわかる。
この革製っぽいソファーも、やたら座り心地がいいし。

新品みたいだけど。
あまり家には帰らなかったとか? ソファーとお揃いのクッションも、触り心地がいいな。


ソファーに座っていたら。
アレックスが、すぐ隣に腰を下ろした。

パーソナルスペースが狭いというか。やたらと距離が近いのは、こちらの習慣なんだろうか?


『お腹は空いてないか?』
頭を撫でられる。

「まだ空いてない……」

さっき、お菓子を食べたばっかりだ。
異世界のお菓子、美味しかったな。口の中でほろほろ溶けるようで。
チョコレートとマシュマロの中間みたいな、不思議な感触だった。

異世界の食べ物が、見た目も普通で。普通に美味しく食べられるのは新発見だった。
見た目ゲテモノだったら困るし。そこは助かった。


*****


アレックスは、城での不機嫌そうな顔が嘘みたいに、ニコニコしながら俺の頭を撫でている。

外では気を張ってただけで。
これがの状態なのかな? 優しいお兄さんって感じ。


別に、触られるのが嫌なわけではないけど。
頭を撫でられるとか。

俺って、どれくらい小さな子供だと思われているのだろうか?
元の世界でも、たまに中学生に見られることはあったけど。まさか、小学生くらいに見えてるわけじゃないよな?

あ、そもそも俺、この人の年齢知らなかった。


「アレックス、年はいくつ?」
『ん? 俺の年? 19だ』

まさかの十代。
老けてるというのか、大人びているのか。

「へえ、みっつ上なんだ……」

19歳か……。
大学生と考えると、まあアリかな? 

日本の大学生でも、外国人から見たらだいぶ幼く見えるんだろうな、と思う。
精神的に子供っぽいのかな?

っていうか。19歳でもう騎士として一人前になってて、屋敷まで持ってるとかすごくない?
それにしても、この体格で、19歳?

俺があと3年経っても、こうなれるイメージは……ないな。100%ありえない。
もう、人種的な問題だと思っておこう。


『って……16なのか!?』

驚いてる。
やっぱり、かなり子供だと思われていたようだ。


『そうか……16か……』
なにやら納得したように頷いてる。


でも、頭を撫でるのをやめないのは何故だろう。
そんなに触り心地がいいのだろうか。

確かに猫の毛はほわほわして、触り心地いいけど。


*****


……なんか、俺ばっかり触られるの、ずるい。
自分で自分のを触っても、面白くないし。

そうだ。


耳は、ちょっと遠いから。
近くにあったアレックスのしっぽを掴んでみる。

『!?』

わあ、ふかふかだ。
手入れをされているようで、毛並みはいいし、触り心地がいい。

犬のしっぽもいいもんだな、もふもふしてて。
大型犬みたいだ。


「ひゃっ!?」

いきなり、俺のしっぽを掴み返された。
仕返しか?

年上のくせに、大人げないな。

「ん、」

……うわ。何だこれ。
ぞくぞくする。

身体の力が抜けて。
いや、抜けるっていうより、何か。変な気持ちになってくる。


思わず前かがみで、内股になってしまう。
どうしよう。

……勃っちゃいそうだ。


『……ひとの尻尾を、いきなり掴むもんじゃない』
諭すように言われて。


理由は、自分が掴まれて、わかった。
性器を掴まれるのと同じようなことなんだって。

でも、弱点がむき出しって危なくない?

アレックスは、俺にしっぽを掴まれても平気そうな顔してるけど。
大人だから?


わかったから。もう、離して。


*****


「ひゃ、あっ、」

しっぽの付け根を、指でくすぐられて。
その刺激が、股間にダイレクトに伝わってきてしまう。

「しっぽの、内側は、駄目、だってば……!」
変な声、出ちゃう。

スラックスには、しっぽの穴を開けられてるから。
その隙間から、指を差し込まれてしまう。

ど、どこ弄ってるんだよ!? 駄目だって、そんなとこ。


「ちょっ、……や、」

嘘だろ。何で?

これ、気持ちいい。
男に触られても、嫌じゃないどころか気持ち良くなっちゃうなんて。

どういうことだよ?


「や、あ、」
アレックスの、指が。入ってきてる。

下着はTバックだから、ずらされて、簡単に侵入を許してしまう。

中に入ってるアレックスの指は太くて。ごつごつしてるのがわかる。
……動かすなってば。

なんか、ゾクゾクしてしまう。


ぎゅっと抱き締められて。
腕の中に、閉じ込められてしまう。

「ん、うう……、」


キス、されてる。
舌を差し込まれて。舌を吸われたり、絡めたり。

本気のキスだ、これ。


ひどい。
……俺、はじめてだったのに!


*****


足に当たってる、アレックスの。
勃ってるのがわかる。

興奮してるんだ。


何で?
何で、こんなことになったんだ!?


何故かふにゃふにゃと、身体の力が抜けてしまう。
こんなの、ダメなのに。

こういうことは、好きになった相手としなくちゃ。


いつの間にか、ベッドに転がされていて。
服を、脱がされてた。

上掛けも、すべすべしてて肌触りがいい。
これ、高そうなのに。汚しちゃったらどうしよう。


身体中、あちこち舐められたり、吸い付かれたりして。
何で、こんな気持ちいいんだろう。

頭がぼーっとしてしまって、まともに物が考えられない。


キスしてる時、触ったけど。……犬耳も、触り心地いいな。
しっぽ、もっと触りたかったのに。

今は手、届かないや。


俺のしっぽ。

先の方は、そうでもないけど。
根元を触られると、すごくぞくぞくする。性感帯、というやつなのかな。ここも。

アレックスは、俺のお尻に指を突っ込みながら、親指でしっぽもくすぐってる。

そうされると、もう、身体中ふにゃふにゃになっちゃって。
抵抗できなくなっちゃう。


四つん這いで、高く腰を上げた恥ずかしい格好で。
しっぽを上げて。

もっとをして欲しいと、ねだってしまう。
こんなこと、正気じゃ絶対できないことだ。
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