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幼馴染はシチリアンマフィアでした。
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崇の現在の名前は、サルヴァトーレ・T・ヴァレンティーノというらしい。
Tは崇のTだけど。
そこまで知ってる末端の人間は少ないんだって。
今までは次代首領とか呼ばれていて、今はボスになったとかで。
この辺では、崇を本名で呼ぶ人自体、あまりいないんだとか。
じゃあ、名前を聞いて探しても、どのみち見つからなかったのか。
崇は18歳の誕生日に、正式にヴァレンティーノ・ファミリアーリの首領になったそうだ。
マフィアといっても、表向きはオリーブオイルやブラッドオレンジなどの栽培・輸出とか、不動産会社などの会社経営がメインらしい。
そもそも”マフィア”というのは、農地の管理人で。
フランスやスペインなどの支配から反抗するためにできた組織だとかで。
それが反政府組織から、犯罪組織になったりして。
色々あって、血で血を洗う抗争をするようになったとか。
崇が言うには、ヴァレンティーノ・ファミリアーリは由緒正しい組織なので。
観光客・素人には手を出さない、麻薬には関わらないのが掟な、クリーンな一家だそうだ。
地元警察とも友好的関係だって。
いや、魚の餌発言とか、クリーンには程遠いと思うんだけどな!
掟破りをした 輩には、厳しい罰を与えないといけないって?
それはそうかもしれないけど。
怖いってば!
*****
崇が、どうして商売の男の人を買ってたかというと。
一族の首領って重責は半端無くて、めちゃくちゃストレスが溜まるから。
それらのストレスを解消するのに東洋系の少年……に見える成人の男娼を買って、性欲処理してたんだって。
トーニオ……あのチンピラ風な男は、娼婦や男娼の斡旋を手がけているブローカーだという。
この前、崇が前の子をクビにしたので。
トーニオは新しい子を探していて、焦ってたんだろう、という。
それで、崇のオーダーに近い容姿だった僕を見つけて、拉致したのか。
まあ普通にスカウトされても絶対断るもんな……。
あの美少女みたいに可愛かった崇が。
男の子を買って、抱いてたなんて。信じられない。
マフィアのボスになったのなら、とんでもないプレッシャーを受けてるだろうし。
仕方ないのかもしれないけど。色々複雑だ。
……でも、あくまでも、個人の趣味だし。
僕は、年齢的に入店できないって問題もあるけど、えっちなお店に行ったこともないし、行ってみたいと思ったこともないからわからないや。
あ、メイド喫茶ならちょっと行ってみたいかも。
それにしても。
何で東洋系の少年だったのかな。
ひと時でも、楽しかった日本のことを思い出したかったとか?
*****
「……暴力は。殴られたりはしなかった?」
崇の膝の上で。
優しく、顔に傷はないかを確かめられる。
ただでさえこの年で一緒にお風呂とか、恥ずかしいんだけど。
心配そうな、憂いを含んだ青い瞳は、ドキドキしてくるほど色っぽい。
今は、どう見ても男なのに。
こんな格好良いんだから、わざわざ男娼とか買わなくても、いくらでも寄ってきそうなのにな。
でも、商売として割り切った、ドライな関係な方がいいのかな?
恋人とかだとパパラッチとかに情報売られたりしてね。
モテすぎるのも大変そうだ。
「大丈夫。銃で脅されてたから、おとなしくいうことを聞いてたし。叩かれたりはしなかったよ」
半裸にされて、浣腸を強要されたけど。
たぶん、それは言ったらまずいような気がするので言わないでおこう。
「そうか。……それなら、奏太が平和的に、ということだし、軽い罰で済まそう」
頭を撫でられた。
もう子供じゃないのに。
でも、悪い気分じゃない。何だかくすぐったい。
とりあえず、トーニオは魚の餌にはされないようだ。
ほっとする。
いくら自分を拉致して男娼として売った悪い人でも。
見知った人を殺されるのは、目覚めが悪いよ……。それも自分のせいで。
『ロレンツォ、』
崇が扉の方に声を掛けると。
すっ、と。
音もなく、細身の男が現れた。
切れ長で目つきの鋭い青年。顔立ちは整っているけど。
あ、これ素人じゃないなって雰囲気でわかる。
生来の893さんだ。
人を傷つけるのに一切躊躇しない系の。
目を合わせちゃいけない人種だって、僕の小動物的本能が訴えてくる。
崇は、優しく僕の頭を撫でながら彼に言った。
『掟破りのトーニオに罰を。しかし、私のカーロのお願いなので、特別に、温情を与えよう』
僕に対するのとは全く違う、冷淡で、皮肉めいた話し方。
これが普段の、一家の首領の時の崇か。
最初に見た時も、冷たい感じだった。
二重人格ってわけじゃなく、ビジネス的に使い分けてるのかな? マフィアだし、甘い顔はしてられないだろう。
いや、単に、外国語だから変わって聞こえるだけかな?
崇は8歳だったし。日本語の知識はその頃で止まってるのかも。
日本語だとちょっと子供っぽくて、可愛い話し方になるんだよな。
『……そうだな、骨の5,6本で許してやれ』
『はい』
ロレンツォと呼ばれた男は恭しく腰を折ると。
現れた時と同じように、すっと消えた。
忍者みたいだ。
……温情とは何だっけ、と考える僕だった。
骨の5,6本って。
それ、かなり重傷じゃないの!? 生きてる?
*****
caroは愛しい相手、男性に対して言う表現、か。
女性の場合はcara。なるほど。
早速、トーニオに没収されてた荷物が返却されたので。
何か無くなっている物はないか確認して欲しい、と言われて。
服を着て。持ち物をチェックしたついでに、気になってた単語を携帯で調べてみたんだ。
本人に聞けばいいんだろうけど。
何となく、聞けなかった。
だって。
アクシデントとはいえ。
……抱かれちゃったんだよな。崇に。
あの、女の子みたいに可愛かった幼馴染みがあんなになっちゃってるとか、予想外すぎだよ。
……色々、すごかったな。
体格もそうだけど。通常時でもおっきかったし。
腰が抜けちゃって、歩けないのを、ひょい、って軽く抱き上げられて。
ベッドまで運ばれちゃった。
小さくても、僕だって男だ。さすがに50キロ以上はあるだろうに。
すごい力持ちだ。
もう、恥ずかしくて、まともに顔が見れないよ……。
崇は僕だってことを知らなかったとはいえ。
マフィアのボスになった幼馴染みに、男娼と間違われて抱かれた、なんて。
あまりにも酷すぎる再会だよ。
色々ショッキングすぎて、脳が追いつかないのかな?
まだ、いまいち現実感がわかないのは、あまりに非現実的な状況だからかもしれない。
涙も出ない。
……マフイアか……。
重いなあ。
まだ8歳だった崇が、どんな苦労をして、一家のボスにまでなったのかは想像もできないけど。
大変だったんだろうなあ。
*****
「奏太? 荷物の確認は終わった? 無くなっているものは?」
ノックの音がして。
崇が顔を出した。
パジャマにバスローブ姿だ。
風呂上りだからかな?
妙に色気があって、何だかドキドキしてしまう。
「あ、大丈夫。全部あったよ」
靴下に入れた現金も戻って来てるし。
崇は、それを聞いて。
外にいるらしき人……多分ロレンツォに、追加の仕置きはなしだ、と言った。
ひええ。
Tは崇のTだけど。
そこまで知ってる末端の人間は少ないんだって。
今までは次代首領とか呼ばれていて、今はボスになったとかで。
この辺では、崇を本名で呼ぶ人自体、あまりいないんだとか。
じゃあ、名前を聞いて探しても、どのみち見つからなかったのか。
崇は18歳の誕生日に、正式にヴァレンティーノ・ファミリアーリの首領になったそうだ。
マフィアといっても、表向きはオリーブオイルやブラッドオレンジなどの栽培・輸出とか、不動産会社などの会社経営がメインらしい。
そもそも”マフィア”というのは、農地の管理人で。
フランスやスペインなどの支配から反抗するためにできた組織だとかで。
それが反政府組織から、犯罪組織になったりして。
色々あって、血で血を洗う抗争をするようになったとか。
崇が言うには、ヴァレンティーノ・ファミリアーリは由緒正しい組織なので。
観光客・素人には手を出さない、麻薬には関わらないのが掟な、クリーンな一家だそうだ。
地元警察とも友好的関係だって。
いや、魚の餌発言とか、クリーンには程遠いと思うんだけどな!
掟破りをした 輩には、厳しい罰を与えないといけないって?
それはそうかもしれないけど。
怖いってば!
*****
崇が、どうして商売の男の人を買ってたかというと。
一族の首領って重責は半端無くて、めちゃくちゃストレスが溜まるから。
それらのストレスを解消するのに東洋系の少年……に見える成人の男娼を買って、性欲処理してたんだって。
トーニオ……あのチンピラ風な男は、娼婦や男娼の斡旋を手がけているブローカーだという。
この前、崇が前の子をクビにしたので。
トーニオは新しい子を探していて、焦ってたんだろう、という。
それで、崇のオーダーに近い容姿だった僕を見つけて、拉致したのか。
まあ普通にスカウトされても絶対断るもんな……。
あの美少女みたいに可愛かった崇が。
男の子を買って、抱いてたなんて。信じられない。
マフィアのボスになったのなら、とんでもないプレッシャーを受けてるだろうし。
仕方ないのかもしれないけど。色々複雑だ。
……でも、あくまでも、個人の趣味だし。
僕は、年齢的に入店できないって問題もあるけど、えっちなお店に行ったこともないし、行ってみたいと思ったこともないからわからないや。
あ、メイド喫茶ならちょっと行ってみたいかも。
それにしても。
何で東洋系の少年だったのかな。
ひと時でも、楽しかった日本のことを思い出したかったとか?
*****
「……暴力は。殴られたりはしなかった?」
崇の膝の上で。
優しく、顔に傷はないかを確かめられる。
ただでさえこの年で一緒にお風呂とか、恥ずかしいんだけど。
心配そうな、憂いを含んだ青い瞳は、ドキドキしてくるほど色っぽい。
今は、どう見ても男なのに。
こんな格好良いんだから、わざわざ男娼とか買わなくても、いくらでも寄ってきそうなのにな。
でも、商売として割り切った、ドライな関係な方がいいのかな?
恋人とかだとパパラッチとかに情報売られたりしてね。
モテすぎるのも大変そうだ。
「大丈夫。銃で脅されてたから、おとなしくいうことを聞いてたし。叩かれたりはしなかったよ」
半裸にされて、浣腸を強要されたけど。
たぶん、それは言ったらまずいような気がするので言わないでおこう。
「そうか。……それなら、奏太が平和的に、ということだし、軽い罰で済まそう」
頭を撫でられた。
もう子供じゃないのに。
でも、悪い気分じゃない。何だかくすぐったい。
とりあえず、トーニオは魚の餌にはされないようだ。
ほっとする。
いくら自分を拉致して男娼として売った悪い人でも。
見知った人を殺されるのは、目覚めが悪いよ……。それも自分のせいで。
『ロレンツォ、』
崇が扉の方に声を掛けると。
すっ、と。
音もなく、細身の男が現れた。
切れ長で目つきの鋭い青年。顔立ちは整っているけど。
あ、これ素人じゃないなって雰囲気でわかる。
生来の893さんだ。
人を傷つけるのに一切躊躇しない系の。
目を合わせちゃいけない人種だって、僕の小動物的本能が訴えてくる。
崇は、優しく僕の頭を撫でながら彼に言った。
『掟破りのトーニオに罰を。しかし、私のカーロのお願いなので、特別に、温情を与えよう』
僕に対するのとは全く違う、冷淡で、皮肉めいた話し方。
これが普段の、一家の首領の時の崇か。
最初に見た時も、冷たい感じだった。
二重人格ってわけじゃなく、ビジネス的に使い分けてるのかな? マフィアだし、甘い顔はしてられないだろう。
いや、単に、外国語だから変わって聞こえるだけかな?
崇は8歳だったし。日本語の知識はその頃で止まってるのかも。
日本語だとちょっと子供っぽくて、可愛い話し方になるんだよな。
『……そうだな、骨の5,6本で許してやれ』
『はい』
ロレンツォと呼ばれた男は恭しく腰を折ると。
現れた時と同じように、すっと消えた。
忍者みたいだ。
……温情とは何だっけ、と考える僕だった。
骨の5,6本って。
それ、かなり重傷じゃないの!? 生きてる?
*****
caroは愛しい相手、男性に対して言う表現、か。
女性の場合はcara。なるほど。
早速、トーニオに没収されてた荷物が返却されたので。
何か無くなっている物はないか確認して欲しい、と言われて。
服を着て。持ち物をチェックしたついでに、気になってた単語を携帯で調べてみたんだ。
本人に聞けばいいんだろうけど。
何となく、聞けなかった。
だって。
アクシデントとはいえ。
……抱かれちゃったんだよな。崇に。
あの、女の子みたいに可愛かった幼馴染みがあんなになっちゃってるとか、予想外すぎだよ。
……色々、すごかったな。
体格もそうだけど。通常時でもおっきかったし。
腰が抜けちゃって、歩けないのを、ひょい、って軽く抱き上げられて。
ベッドまで運ばれちゃった。
小さくても、僕だって男だ。さすがに50キロ以上はあるだろうに。
すごい力持ちだ。
もう、恥ずかしくて、まともに顔が見れないよ……。
崇は僕だってことを知らなかったとはいえ。
マフィアのボスになった幼馴染みに、男娼と間違われて抱かれた、なんて。
あまりにも酷すぎる再会だよ。
色々ショッキングすぎて、脳が追いつかないのかな?
まだ、いまいち現実感がわかないのは、あまりに非現実的な状況だからかもしれない。
涙も出ない。
……マフイアか……。
重いなあ。
まだ8歳だった崇が、どんな苦労をして、一家のボスにまでなったのかは想像もできないけど。
大変だったんだろうなあ。
*****
「奏太? 荷物の確認は終わった? 無くなっているものは?」
ノックの音がして。
崇が顔を出した。
パジャマにバスローブ姿だ。
風呂上りだからかな?
妙に色気があって、何だかドキドキしてしまう。
「あ、大丈夫。全部あったよ」
靴下に入れた現金も戻って来てるし。
崇は、それを聞いて。
外にいるらしき人……多分ロレンツォに、追加の仕置きはなしだ、と言った。
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