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レティシアにて

イニス:認識の相違

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イザヤは、僕を犯したあの使用人を捕らえ、地下牢に入れて。
男を拷問にかけたようだ。

男は性器を膾切りにされ、万力で睾丸を潰された上にもぎ取られて。
腕に鋸をかけている途中で死んだという。

罪状は、イザヤの所有物に手を出したから。

この国の法律では、盗人は腕を切断され、姦淫の罪は性器を切断されるらしい。
シンプルでわかりやすい、”罪と罰”だ。


では、僕は何の罪でここに送られ、何の罰で性器を切り落とされたのだろうか。誰か教えて欲しい。

あちらでは、理由もなくいじめ抜かれた末に、飛び降り自殺をすることになった。
こちらでは、性器を切断された挙句、男娼にされて。

イザヤに娼館から連れ出されて、やっと助かった、と思ったものの。
イザヤの家の使用人に犯され。イザヤに抱かれ。

まるでイザヤに飼われているような状態だ。

抱かれてしまえば、誰でも受け入れてしまう身体にされた。
だけど、好き好んで男に抱かれたいわけじゃない。


相手がイザヤだけになったというだけで。
男娼と、何が違うのだろうか。


◆◇◆


こちらの成人は、15歳だという。
昔の日本も、元服は15だったというし、戦争をする国では兵隊を得るためか、大人になるのが早いのかもしれない。

イザヤは19歳だと言った。
初めは立派な大人のよう見えたけど。4つしか変わらなかったのか。
日本ではまだ未成年の年齢だとは思えない。

でも、その辺の日本人の19歳とは、体格も中身も、全然違うと思う。
15歳から大人扱いされていたら、そうなるのだろうか。


『あれが?』
『平凡な顔だけどなあ』

のほうが相当いいのかもな』
『試してみたいか?』
『うへえ、性器を膾切りにされるのは嫌だ』

兵士らしき男たちが、こちらを見ながら噂話をしている。

しっかり聞こえてるんだけど。
まだ言葉が通じないと思っているのだろうか。
イザヤが僕にかけたあの魔法は、王族に伝わっている、かなり特殊なものらしい。


僕の顔立ちが、平凡であることは自分でもわかっている。
イザヤの美貌と比べるほうが間違っている。
次元が違う。

何故、そんなイザヤが、僕のような美しさも突出した能力もない地味な男を寵愛しているのか。皆が不思議に思うのは当然だ。


そう。
まさに寵愛だ。

人目もはばからず、僕を可愛がって、大切にしていることをアピールしている。
お陰で、屋敷の使用人からは腫れ物に触るような扱いをされている。
僕に手を出した使用人の男があんな死に方をしたのだから、わからないでもないけれど。


僕にも理由がわからない。
何故イザヤは僕に、あんなにも執着するのだろうか。

そんなに抱き心地が良かったのか。
この世界の人間よりも小さく華奢な、この身体が?

イザヤも少年趣味なのかもしれない。
それならわかる。

実際の少年趣味なら、子供に手を出した罪で罰を下されるけど。
僕なら15歳でこの世界では成人扱いなので、合法だからかもしれない。


◆◇◆


騎士団で、年に二度、視察のために遠征するという。

イザヤはそれに僕を連れて行く、と言ってきかないらしい。
彼の部下である、ハーマンという名の灰色の髪と灰色の目をした騎士が、どうにかならないかと嘆いていた。

僕に言われても困る。
僕はイザヤに飼われている身なので、とやかく言える権利はない。

そう告げると、ハーマンは微妙な顔をした。


『もしかして、殿下がしばらく帰って来なくても、待てたりしますんで?』
いくつだと思われているのだろうか。

「僕は15歳だし、留守番くらいはできます」
答えると、不思議そうに首をひねった。

『こりゃ一方通行かねえ……』
と、部下の指揮をしているイザヤを見て呟いていた。

何の話だろう。


視察に行く前に、金細工の首輪をつけられた。
王家の紋章が入っている。王子の持ち物である証らしい。

完全にペット扱いだ。
まあ、実際、珍しいペットなのかもしれない。イザヤにとっては。


服は、肌がすっかり隠れる制服のようなものを与えられたので、薄い布だけだった娼館よりはマシな程度だろう。
すぐに脱がされてしまうけれど。


◆◇◆


「ア……ッ、」
風呂のふちに座らされて。

足を開いた状態で。イザヤの身体は湯の中だ。
まるでイザヤが僕に奉仕しているような格好で、股間に顔をうずめている。


イザヤは僕の無毛の股間がお気に召したようで、いつも執拗に弄りたがる。
手術の影響か、そこからは陰毛が生えなくなってしまった。
それで余計に、子供のように見えるのが、いいのかもしれない。

排尿コントロールに慣れてきたとはいえ。
後ろを弄られながらだと、気もそぞろになってしまい、粗相しそうになってしまう。


「いや、そこ、やだって……、」
嫌だと言ってるのに。
何度言っても、きいてくれない。

イザヤは僕のそこに舌を這わせて。尿道の孔を、舌先で抉られる。

「ヒッ……!」
じゅるじゅると、吸い付かれて。怖気が走った。
駄目だ。もう。

「や、やだ、もらしちゃうから、放し、」

もがいても、イザヤの腕は、逃がしてはくれない。
押し倒されて、大きく足を開かされた状態で。きつく吸い付かれて。


「ああ……、」
堪えきれず、出してしまった。

我慢していたせいか、黄色い液体が、勢いよく噴き出している。

それを、イザヤはうっとりと見ていた。
何でそんなのを見て、喜ぶんだろう。変態なのか?


小さな子供が好きなんだから、変態には違いないのか。


◆◇◆


『……綺麗にしてあげよう』
言って、濡れたそこに舌を這わせている。汚いのに。

やっぱりイザヤはおかしい。変態だ。


「うう……っ、」
舌は、そのまま後ろへ。

かぷりとお尻を甘噛みして、舌先を差し込まれる。

「そ、そんなとこ、……アアッ、」
厚みのある舌が、ぐりぐりと襞を掻き分けて、中に入ってくる。

ぞくぞくする。
こんなことされて、気持ちがいいなんて。

僕も、変態なんだ。

こんなことされて、悦んで。
気持ち良くなっちゃって。もっとして欲しくて足を開いてねだるような、気持ち悪い、ヘンタイだから。


あいつらも。
それがわかってたから、僕を。


「ア……ッ、」
うつ伏せにされて。

腰を突き出した状態で、後ろから犯される。

イザヤが立ち上がったことで、ザバッ、と湯船からお湯が溢れて。
汚水が流れてくれて、安心する、


『く……っ、すごい、締まる……』
イザヤは気持ち良さそうだ。

僕も。
気持ち良くて、うっとりとしてしまう。


『……私の子を、孕んで欲しい……』
腰を押し付けながら、熱っぽく囁かれた。

「………………?」
いきなり何を言い出すのか。

頭がどうかしてるのだろうか。


『孕んで。……お願いだから……』
抱き締められて。
耳元で何度も囁かれた。


そんな無茶を言われても困る。
性器がないけど、僕は男なんだから。
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